まだ幼さが残る彼の顔をじっと見つめる。体温が感じられるまで近づくと自然に瞳を閉じた。
重なり合う唇。柔らかく暖かい。さっきまで飲んでいた甘い紅茶の味がする。
脳幹がしびれている。顔も火照っている。理性とか倫理とか道徳という作り物が崩壊してゆく。
私がコンプレックスと感じていたものを、いとも簡単に打ち砕いた。
ゆっくりと唇が離れると、抱きしめてほしいという想いが込み上げる。
「水野さん。」
「うん。」
私は彼の横に座りなおし、互いの背中に手を回した。
外は厚い雲が広がり、冷たい北風が強く吹き続き、時頼窓ガラスを揺らしては、ゴーっと唸っている。
エアコンの暖房では温まりきらない互いの体温を確かめ合いながら、少しづつ、少しづつ、濃密な距離に引き合ってゆく。
ぎこちない動きさえも身体が反応してしまう。彼のすべてが愛おしい。
ためらいが消え去った頃には、お互いのすべてをさらけ出し合うまでになっていた。
「私、初めてなの。だから、優しくして。お願い。」
「僕も同じです。上手く出来ないかもしれません。」
「気にしないで。」
恥ずかしい位に潤む女の私は、彼を、ゆっくりと受け入れていった。
痛みは次第に薄れ、甘美な酒に酔いしれるように、深い快感に変わってゆく。浜に押し寄せる波のように繰り返えされる感覚に我を失う。
築き上げてきた城壁は、彼の前では砂の楼閣だった。
私達は時を忘れ、気持は堰を切った水のように溢れ、川の流れのように留まりを知らず、何度も求め合った。
もう、引き返せなくなった。私は彼の為に生きていこうと決意した。
重なり合う唇。柔らかく暖かい。さっきまで飲んでいた甘い紅茶の味がする。
脳幹がしびれている。顔も火照っている。理性とか倫理とか道徳という作り物が崩壊してゆく。
私がコンプレックスと感じていたものを、いとも簡単に打ち砕いた。
ゆっくりと唇が離れると、抱きしめてほしいという想いが込み上げる。
「水野さん。」
「うん。」
私は彼の横に座りなおし、互いの背中に手を回した。
外は厚い雲が広がり、冷たい北風が強く吹き続き、時頼窓ガラスを揺らしては、ゴーっと唸っている。
エアコンの暖房では温まりきらない互いの体温を確かめ合いながら、少しづつ、少しづつ、濃密な距離に引き合ってゆく。
ぎこちない動きさえも身体が反応してしまう。彼のすべてが愛おしい。
ためらいが消え去った頃には、お互いのすべてをさらけ出し合うまでになっていた。
「私、初めてなの。だから、優しくして。お願い。」
「僕も同じです。上手く出来ないかもしれません。」
「気にしないで。」
恥ずかしい位に潤む女の私は、彼を、ゆっくりと受け入れていった。
痛みは次第に薄れ、甘美な酒に酔いしれるように、深い快感に変わってゆく。浜に押し寄せる波のように繰り返えされる感覚に我を失う。
築き上げてきた城壁は、彼の前では砂の楼閣だった。
私達は時を忘れ、気持は堰を切った水のように溢れ、川の流れのように留まりを知らず、何度も求め合った。
もう、引き返せなくなった。私は彼の為に生きていこうと決意した。