「それって、箸の持ち方とか食べ方とか? 」
「まぁ、そんな感じや。あんな、父さんの場合は、ドライブに行った時な、横から入ってくる車すべてに道を譲ってたん。それで、うちら、どんどん遅れてくんやけど、お構いなし。最初はなんや頼りない人やなて思たし、急いどったら、ちょっと意地悪したなるのが普通やろ。そやけど、お父さん、いつも、にこにこしながら譲るんや。それをずっと横で見ててな、この人と一緒におったら穏やかな幸せがやってくるかもと思たん。それが好きになり始めたきっかけやったな。」
「じゃあ、母ちゃんが好きだった人はどうだったの? 」
「ええ人やったよ。イケメンやったしな。身体の相性もよかったしな。」
「かっ、身体の相性! 」
「ああっ、きららにはまだ早かったな。これは、彼氏が出来るまでとっとくわ。」
「ええっ。でも、話くらい聞いておきたい。」
「あかん。これはもうちょっと大人になってからや。」
「わかりました。」
「ええ子やな。で、話の続きや。その好きだった彼氏を振る事になったんは、彼は猛烈にモテてたからや。」
「モテてたらどうなるの? 」
「他の女性がほっとかんやろ。それで、浮気するかもしれんし、いや、もうしてたかもしれん。そんな人やったら、ずっと心配しとらなあかんし、しまいには、嫉妬に身を焼かれてしまう。そんなことで心がボロボロになるんは、もうたくさんやった。」
「もうたくさん? ボロボロになった事があるの? 」
すると母は、よほど悔しい想い出だったのか、酔いが回ってきたのか、饒舌に拍車がかかった。
「まぁ、そんな感じや。あんな、父さんの場合は、ドライブに行った時な、横から入ってくる車すべてに道を譲ってたん。それで、うちら、どんどん遅れてくんやけど、お構いなし。最初はなんや頼りない人やなて思たし、急いどったら、ちょっと意地悪したなるのが普通やろ。そやけど、お父さん、いつも、にこにこしながら譲るんや。それをずっと横で見ててな、この人と一緒におったら穏やかな幸せがやってくるかもと思たん。それが好きになり始めたきっかけやったな。」
「じゃあ、母ちゃんが好きだった人はどうだったの? 」
「ええ人やったよ。イケメンやったしな。身体の相性もよかったしな。」
「かっ、身体の相性! 」
「ああっ、きららにはまだ早かったな。これは、彼氏が出来るまでとっとくわ。」
「ええっ。でも、話くらい聞いておきたい。」
「あかん。これはもうちょっと大人になってからや。」
「わかりました。」
「ええ子やな。で、話の続きや。その好きだった彼氏を振る事になったんは、彼は猛烈にモテてたからや。」
「モテてたらどうなるの? 」
「他の女性がほっとかんやろ。それで、浮気するかもしれんし、いや、もうしてたかもしれん。そんな人やったら、ずっと心配しとらなあかんし、しまいには、嫉妬に身を焼かれてしまう。そんなことで心がボロボロになるんは、もうたくさんやった。」
「もうたくさん? ボロボロになった事があるの? 」
すると母は、よほど悔しい想い出だったのか、酔いが回ってきたのか、饒舌に拍車がかかった。