ようこそ、卯月です。
手首を切ってしまいました。
これまで踏ん張ってきたのに。
全部崩してしまった。
カウンセリングに行ったら、前の患者さんの声が聞こえてきた。
先生に、大きな声で悪態をついていた。
私は固まってしまった。
診察室から出てきたその患者さんを殴りつけてやろうかと一瞬思った。
ここでそんなことしたって誰も助からないし喜ぶ人もいないよ。私は自分を必死でなだめた。
このやろう。
私の大切な先生に向かって、なんて口をきいてんだよ。
私の、私の大事な先生に向かって、なんて態度だよ。
悔しかった。
自分の大切にしていた場所を、土足で踏み荒らされたような気がして、悔しくて、それを守れなかった自分のことが、なんだかとても情けなく思えた。
その一瞬あとに、「私だって同じじゃないか」と言う私がいた。
私だって先生にさんざん悪態をついてきたのだ。大声でわめいたこともある。暴れたこともある。さんざん困らせてきたのは、私だって同じなのだ。
いい人ヅラすんじゃねえ。私は私に言った。
被害者面すんじゃねえ。てめえが加害者なんだよっ。
その言葉が私を打ちのめした。
カウンセリングでは、「私は悔しかった」と話したけれど、うまく気持ちを言えなかった。ただ泣いた。
先生は「悔しかったと言うのは、私を守ってくれようとした、ということ? どうもありがとう」と言ってくださった。
私は私を許さなかった。
帰って一人になって(子どもたちはそばにいなかった)、私は私に刃を向けた。
てめえが加害者なんだよっ!という言葉が、心の中にこだました。
ごめんなさい。
先生、ごめんなさい。
子どもたちも、みんなも、ごめんなさい。
頭の中がまだごちゃごちゃです。