すずめ休憩室

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「まろ、ん?」読了

2006年11月24日 | 漫画・本
読み終わりました~!!「大掴源氏物語 まろ、ん?」

この本のレビューは持ち主の満天さんがこれ以上はない!という位の素晴らしいレビューを書かれているので割愛しますが私なりに感じたことを少し。

率直に面白かった~!!
今まで「源氏物語」と言えば、大和和紀先生の「あさきゆめみし」が最高傑作だと思っていたけど(いえ、今もその気持ちは変わらないんですけどね・笑)、別の意味でこれは凄いと思った。

54帖全て1帖につき見開き8コマで表現するというスゴ技もさる事ながら、簡潔なのでそのお陰で客観的に見れる感じがしますね。大和版「あさき」の方は煌びやかな宮中絵巻のようで、美男子の光の君があちこちで浮名を流してても紫の上を大切にしているシーンがあちこちあったせいかそれほど「不実」だと感じなかったのだけど、こちらを読むと出来事だけを簡潔に漫画にしているせいか恋多きまろを待つしかない紫の上が可哀想だと思ってしまった。いくらまろが「貴方以上の女性はいない」と紫の上を褒めちぎっていても、ただの気の多い男の世迷言のように思えて・・・(苦笑)

もう1つ凄いなと思ったのが大和先生が「大和和紀ドリームス」と言う雑誌で語られていましたが、この「源氏物語」に出てくる登場人物って「誰それに似ている」という表記が多いのですって。なので大和先生はまるっきり違う雰囲気の姿形にするわけにもいかず登場人物の書き分けにとても苦労したのだとか

ざっとあげるだけでも
光の君の母・桐壺更衣と藤壺女御が似ていて、その藤壺に紫の上は似ている。
光の君と息子である冷泉帝も似ている
朱雀帝の息女・女三の宮と姉である女ニの宮(落葉の宮)も当然似ているし
八の宮の息女・大君と中の君も似ていて、異母姉妹になる浮舟も似ている

そして登場人物が名前でなくその当時の役職で呼ばれるので出世していくと呼び名も変わるのでますます判りづらい
それをこの「まろ、ん?」では帝に繋がる男子を「どんぐり」、まろ(光の君)に繋がる男子を「栗」、そして頭中将に繋がる男子を「ソラ豆」顔にするという斬新なアイデアで書き分けているんですね。
また当時の服装、髪型や役職などきちんと調べている他、平安時代の豆知識も含まれていて、8コマ漫画と言えども侮れない仕上がりになってました。

またところどころに書かれてた言葉が紫の上の苦悩というか、平安時代のみなならず、現代にも通じる様で印象深かったです

「秘め事が知れたら恋人や妻を苦しめるというのに、
 それを告白することが誠実なことだと思っている。
 だがそれは自分の罪悪感から逃れたいと思っているだけだ。
 つまり甘えているだけである」
「恋をすると喜びだけでなく、
  悲しみや苦悩がついてくる」

ん~全くその通り。
そういう面ではまろ(光の君)は女性に甘えているんだろうなぁ・・・
その分周りの女性が苦しむとも知らずに・・・

大和版「源氏物語」を読み知っていると、この「まろ、ん?」を読んでいても「あさきゆめみし」のシーンの数々が頭をよぎりましたが、それはそれで楽しかったです。栗顔を見ながらリンクしている部分を思い出されて平安浪漫に浸れるというかあまりの違いを比較できるという新たな楽しさがあって。

「源氏物語」や「あさきゆめみし」を知っている人も知らない人も充分に楽しめる漫画だと思いますね。興味のある方は是非お読みくださいませ(栗やら空豆だけど・爆)

そして満天さん、良い漫画の紹介をありがとう~