すずめ休憩室

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気の向くままにつづってみました。

「テレキネシス」3巻

2006年12月23日 | 漫画・本
11月から12月にかけていつも楽しみにしている漫画の新刊が続々と出てとても嬉しい。
この芳崎せいむさんの「山手テレビシネマ室 テレキネシス」もその1つ

関東民放局山手テレビに入社したマキノは月9ドラマ志望で入社したはずなのに配属先は深夜映画。上司である東崋山(あずま・かざん)は局内でも超問題児らしい。でもそんな東がセレクトする懐かしい数々の映画は人生に悩みを抱える人々を幸せにするためにほんの少し後押しをしているようで・・・

芳崎さんの漫画といえば、漫画好きの人が主人公となり漫画にまつわる思い出を描いた「金魚屋古書店」が有名で、遅れて出たこちらの「テレキネシス」はそれの映画版というイメージがあるせいか、それほど話題になりませんが、これが中々の出来だと思うのです。まっ「金魚屋」と違い「テレキネシス」の方は原作者がいるのである程度はそうじゃないと困るんだけどね(笑)

さてこの3巻では「砂漠の戦場エル・アラメン」「三十四丁目の奇跡」「告白」「シェーン」などの映画が取り上げ、会社という縦社会の中で葛藤したり苦悩したり人々に映画の中のメッセージが「意味」や「意義」を指し示している感じとなってますが、私が心惹かれた話は「アラバマ物語」の章

母親の再婚で居場所をなくした息子
ちょっと道をそれ、不良仲間と行動を共にするようになり、ある事件で警察へ捕まってしまいます。
ですが冤罪だったことが判り、その息子はすぐに釈放されるのですが、
警察官もその息子の態度や格好で
「バカ疑われても仕方が無い、態度が悪い、親の躾が悪い」と言い放つ始末。

そんな息子をみて義理の父は息子に頭を下げるのです
「疑って悪かった」と言うのです
そして「刑事さん、息子は冤罪だったんでしょ、あなたも息子に謝ってください」と

大人になり、血の繋がりを越えた絆と信頼を築いた息子は義父に言いました
「あの時の父ちゃんはグレゴリー・ペックみたいにカッコよかった・・・」

「アラバマ物語」も黒人男性・トムが白人女性をレイプしたと偽証され冤罪受けた事件が物語の中心、人種差別もあり、勝ち目はないと思われていたその裁判に真っ向から向かっていった弁護士(グレゴリー・ペック)とその裁判を通し大人の暗部を見つめる子供たちの話となっています。

なんか大人になると「間違い」を「間違えてた、すまなかった」と言える人ってどれだけいるんだろうと思ってしまった。
ましてその相手が小さな子供だとしたら「謝る」より「ごまかす」大人の方が多いような気がするのだけど。

でも子供はある意味そういう大人のズルさに敏感だから
私も間違いは素直に謝れる人間になろう。
世間では色々と「ごまかし」が横行しているけど教育云々を言う前に大人がそういうトコ気をつけないとね・・・

さてこの漫画、実は義父にその謝罪の言葉を言わせた人物は他にいたのですのですが、それは読んでのお楽しみ。

余談ですが、この「アラバマ物語」のグレゴリー・ペックはあの名作「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールを抑えてのオスカー受賞だそうです・・・知らなかったよ