すずめ休憩室

日々のこと、好きなこと、飼っていたペットのことなどなど・・・。
気の向くままにつづってみました。

3月のライオン

2008年03月05日 | 漫画・本
「3月のライオン」 羽海野チカ 白泉社

或る日突然、家族を事故で失いたった一人になったしまった少年・桐山零。彼は自分の居場所を得るために将棋を選びプロ棋士となる。内に深い孤独を抱え、人との摩擦とトラウマで他人との交わりが苦手になっていた零だったが、下町で暮らす3姉妹と出会い、少しずつではあるが失っていた何かを取り戻していく・・・。

大ヒット作「ハチミツとクローバー」の作者、羽海野さんの最新作です。
あれほどのヒットの後、何を持ってくるんだろうと期待して手に取りましたが、まず感じたのが「コレはハチクロを超える作品になるかもしれない」と思ったこと。

ユニークなキャラ設定と一見雑めのタッチ、ところどころに折りこまれるギャグというか笑い部分に意識を取られがちになりますが、この方の書きたいモノの根本は「人」なんですよね~
今回もそれが前面に出ています
ハチクロの時もつぶやくようなセリフ回しが相まって、情感を書くのが上手いなーと思ったけど、今回はさらにそれに磨きがかかっているように思えます


僕はカッコウだ・・・
おしのけた命の上に立ち
春をうたえと呼ぶ声をきく

そして思う

いっそ本当に鳥だったらと

そうしたら
こんな激しい痛み
知らずに済んだのにと


深い深い悲しみが伝わってくるセリフです

そこまでも自分を責め続け孤独を抱え続ける主人公・零と零を取り巻く人達のほんわかとした小さなエピソードがページを読み進めるごとにまるで縦糸と横糸のように重なり合い、癒しという色をまとい、物語という1枚の布を織り上げているかのようです。
傷ついた人を癒し、救うのはやはり人なんですよね・・・
羽海野さんの手によって紡がれた糸がどんな作品に仕上がるのか・・・とっても今後が楽しみの新作です

※二階堂クンを見た時、確か同じような病気を抱えていたこういう孤高の棋士さんが居たよなーと思っていたら、その方がモデルだと知ってちょっと嬉しかった、私
でも二階堂くんには早世はしないでほしいな・・・だって可愛いんだもの(笑)