長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

クラリネット、ヴィオラ、ピアノ

2010-04-26 07:09:34 | Weblog
昨日は、そんな題名のないような題名のコンサートだった。

お店を早めに閉店して、二階の「エリカ庵」で、整体をやって
もらっていたら、1階のドアをあけて、「おはようございます」
という声がした。3人の演奏家が、待ち合わせをして、リハーサル
が始まった。えりさん、りかさんの整体も、体をリフレッシュしてくれる
けど、これから始まる演奏の素晴らしさの序曲みたいな感じだった。

エリカ庵も時刻どおりに閉店して、彼女たちも、コンサートのお客に
なって、いっしょに堪能した。

前半が、モーツァルトのクラリネット、ヴィオラ、ピアノのための三重奏曲KV.498
「ケーゲルシュタット」
長い演奏で前半は、この一曲を堪能して、蕎麦会になった。
ちなみにケーゲルシュタットというのは、ボーリングという意味らしい。
1786年にあったボーリングとは、今とは、少し違ったものかも知れない。

後半は、マックス・ブルックのクラリネット、ヴィオラ、ピアノのための8つの小品より
5曲を選んで演奏した。
N響の山根さんの説明によると、モーツァルトもブラームスもシューマンも
晩年になると、なぜだかクラリネットの曲をつくる、そうだ。
天国が近づいてくると、クラリネットのえもいわれぬ寂寥感あふれる音色を
奏でる夢でも見るのかしらん。

演奏の前に、熊本出身のヴィオラの中竹さんが、「NHK交響楽団」
と印刷した名刺をくれた。お店に張ってあるワカのことを紹介した。
この2月に旅立ったワカの縁で、ピアノが天真庵にきたり、ジャズやクラシックの音楽家
たちが、集まってくれるようになった。彼は熊本の人吉高校の出身で・・
と紹介したら、なんと、彼も人吉高校だった。また不思議な神の計らいを
感じた瞬間だった。

ピアノの金崎さんは近くに住むピアニスト。N響はじめ、有名なオーケストラの
御用達の女性ピアニスト。よくお店の前を通ったそうだが、「入りにくい」というこ
とで、昨日が天真庵デビューということになった。肺炎を起しておられ、酸素ボンベを
持ちこみながらの演奏だった。けど、ピアノの音を聴いていると、そんな状態の人が
奏でるレベルをはるか凌駕した素晴らしく元気な演奏だった。頂点を極める人たち
の領域の崇高さみたいなものを、垣間見たような昨日の演奏会だった。

今日は「順受の会」。簡単にいうと論語の会。
孔子も、人間が晩年になり、人間性を磨くためには
芸術、とくに音楽は不可欠なものだ、といっていたそうだ。
この会を発足する縁になった故・岡田武彦先生(九州大学の先生)
がそんなことを言っていた。先生も晩年はクラシックをよく
聴いておられたらしい。

30日(金)は、「三丁目のジャズ」
ワカは、今週2度も、天真庵にやってくる。
病気療養中に武蔵小金井から足を運んだことを考えると、
天国から天真庵にやってくるのは、ダムエターにのって
二階からくる、くらい簡単かも知れない。