今回は忙しくて題名も確認できず早めに行った。
原作はアメリカの陪審員制度を扱ったもので、今年から日本でも裁判員制度が始まり興味深い作品だった。
舞台は幕が上がりっぱなしで照明も会場と同じ照明。
今までと少し違う展開に観客の私が戸惑ってしまった。
陪審員のテーマは16歳の少年が父親を殺したと言う容疑の刑を決める為に12人の陪審員が話し合う場面からスタートした。
最初に評決を取ったら一人の男が無罪だと手を上げた。
ここから話が発展していくのだがその男が立ち上がり「果たしてこの少年は本当に殺人を犯したのだろうか。もし、間違っていたら16歳の少年の命を奪うことになる。安易に有罪とせずにもっと検証して何が本当かを突き詰める責任がある」
と他の陪審員に提案するが、誰も「早く帰りたい」「いつも虐待されているから殺したに違いない」など考えようとしない。
が、この男は粘り強く一つづつ検証を進めていく。
12人の役者さんの個性がとても面白く、一つづつ検証するたびに無罪を挙手する人が増え最後は全員が「無罪」の評決をする。
その謎解きがまさに手に汗を握るくらいの面白さです。
最初は確固たる無罪の証明は出来なかったけど全員が検証に参加し、白熱の議論を戦わせることで少しづつ無罪への道が開けてきた。
自分が裁判員になった時の心構えとして本当に参考になった。
休憩も無く白熱した演技を最後まで持続できるのはやはりベテラン。
いい舞台だったなあと思う。
だが、反面観客としてのマナーの悪さは目に余るものがあった。
今回私の席は一番前。
照明がつきっぱなしなので舞台からも丸見えである。
いい場面で舞台に見入っていたら突然目の前に人影が。
左隣の男性が堂々とトイレに行かれた。
次に右の二人目の女性が大きな口を開けていびきをかき始め煩い。
「つついて起して下さい」と隣の人にお願いしたが困った顔をされた。
その隣の人もコソコソカサカサとかばんに手を突っ込み飴を口に入れる。
やれやれと思うまもなく左手から女性がトイレに立ち、帰ったら次の人が紙袋にものを入れたり出したり・・・・。
もはや、私は恥かしくて舞台が見られないような状況になった。
客席が暗ければまだしも舞台で懸命に演技されている役者さんに対し失礼この上ない。
テーマが裁判員制度なので退屈だったのか、集中力が続かないのかこれはどうにかしたい。
昔はいわゆる「芝居好き」の会員が多くお年寄りの方は入る余裕が無く、今はやっと余裕ができ芝居を楽しもうとされているのはいい事だと思うが先輩方にマナーを理解していただくにはどうしたらいいのだろう。
毎回マナーについて口を酸っぱくして上演前にお願いしている役員さんも頭を悩ませていることだろう。
いい気分と嫌な気分を味わった市民劇場でした。