竹取庵の屋根を開け、口径20センチの反射望遠鏡に大きいほうのカメラを取り付ける。近場の3等星でピントを合わせ、筒先を星雲に向けた。カメラ感度3200、露出7分。ガイドをコンピューターに任せて居眠りしながら写し取ったのがこれ。
淡いピンクのガスのあちこちに見える虫食いのような黒い穴は「グロビュール」と呼ばれる星の卵だ。この先端で、今まさに星が生まれつつある。
この1枚を撮ったところで時刻は午前1時を回ってしまった。もう帰ろう。と言うわけで、この画像は重ね合わせ無し。キメが粗いのはその為だが、入梅前の記念の1枚というところだろうか。
天の川の下流、いて座のシンボルとも言える南斗六星の柄の先から少し南に下ったところに、肉眼でもはっきりと分かる光の塊りが有る。日本から見ればまるで銀色の川の河口付近に出来た小さな干潟。 M8。この塊りに「Lagoon Nebula=干潟星雲」の名を与えたのはイギリス人女性アグネス・クラークだと言われている。1890年のことだ。
明日は仕事が有るので余り時間は無いが、せっかく夏の天の川を撮影しに来たのだからと、欲を出してこの干潟星雲も撮影する事にした。