しんしんと冷えてきた。観測デッキはまだ本格的な冬支度をしていない。時計の針は午後10時を少し回った程度だが、飛行機にも邪魔されたし、そろそろ帰ろうかな。そう決めてカメラを望遠鏡から外した。後片付けを済ませて竹取庵に鍵を掛け、荷物を持って車に向かう。
見上げると満天の星。まだ撮って。空はそうせがんでいるように思えた。振り返ると竹取庵の向こうに冬星座。ああ、本当に冬が来るんだ。分かったよ、もう一枚。今夜の記念にと、持っていた荷物を地面に置いて三脚を広げ、小さいほうのカメラに対角線魚眼のレンズを付けた。
灯の消えた竹取庵。この天文台は、僕が離れると眠りに付く。星空の下で。また明日逢おうね。そう別れを告げて丘を下りた。
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