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今日は帝劇 明日は日劇 はたまた国技館に後楽園ホール さらには落語家の追っ掛け 遊び回る日常を描きます。

皆川博子「壁ー旅芝居殺人事件ー」

2020-09-05 10:00:59 | 日記
もう一日、読書のお話です。
皆川博子さんの「壁ー旅芝居殺人事件ー」
例によって、私、この方の作品初読みです。

地方の芝居小屋「桔梗座」を舞台にした作品。
15年前に、上演中に起きた事故と事件。
それが、また新たな悲劇を生むというお話。

探偵役は、三藤秋子という若い女性。
父の跡を継いで「桔梗座」のオーナーになった。
15年前は、彼女は、まだ9歳。
「市川蘭之助劇団」が興行を打っていて、楽日を間近に控えた時、
事件が起きる。
座長の蘭之助が、四綱というケレンの技を披露していた時、誤って落ちてしまったのだ。
さらに、2つの死体が見つかる。
それから15年、「桔梗座」に現れた謎の人物。
15年前の真相が明らかになっていく
というお話。

私は、謎解きよりも、地方の芝居小屋の仕組み•仕掛け。
或いは、一座の人間模様が面白かった。
座長を中心に、旅回りを続ける一座。
座長を盛り立てていかなければならないはずが
芸の上ではライバル。
その微妙な関係。
或いは、座長と母親との窺い知れない確執。
こうした糸が縺れあって、起きた事件。

良く出来た作品でした。