蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

数え方の思想、食事作法の続きHP投稿

2019年10月07日 | 小説
(10月7日)
同書の第6部(LaBalanceEgaleつじつま合わせ)を対象にしている。
数え方の思想をここでは論じている。

1 基本数詞による数え方。
1,2,3..と続け(10進法では) 10で終える。この数字は基本で分解できない。10を越えて11となるが10+1と合成されており、分解できる。基本数の合成と分解で20,21,22,...100、1000、万の位取りが加味され無限大まで数えられる。どんどん一方向に進むだけの数え方。また数詞には数量の概念が内包される、それ一つを取りだしてもリンゴ100ヶなどと意味が通じる。
2 もう一つの数え方は序列数、それぞれの数に数列での「序列」が意味づけられている。例として(小筆は)チュウ、チュウ、タコ、カイ、ナの数え方を挙げた。チュウもタコも1番、2番、3番...の意味のみを有し数量概念を内包しない。序列から取りだしたら意味が無くなる。美人3姉妹は伝わるが美人タコ姉妹は意味を成さず、要らぬ誤解を聞く耳に与えてしまう。また序列数は折り返し(やり直し)式になる。「ナ」で5に達したら、折り返してもう一度チュウチュウ...とやり直す。無限大を数えたければ、無限に繰り返す。(チュウチュウ...なる数えは今や廃れている。ネット諸氏にはなじみが薄いだろうから幼少の記憶をたどる小筆が実践とはを;おはじきの山から10を取り出すに用いる。チュウチュウと一の拍子に2個を摘んで山から分離し「ナ」で終わり、10を選ぶ。3ヶ摘んで15の分離も可能である)

以上が数え方の古典的理論である(レヴィストロースはこれを提唱するSalzman氏の名を出しているがネットでは調べられなかった)。しかるに彼は2点を追加した。
 
3 二通りの数え方には数量が仲介しているとした。前記で序列数には数量が無いとしたが、最後の折り返しで数量10を内包する。数えるのは5拍子だが2ヶずつなので10。この10と基本数の10が同数として対比する。序列数10には特別な力が含まれる。<la notion de decade nous a suggere qu’elle exprimait la plenitude>(288頁)訳;10日間(あるいは兄弟10人の単位など)10の数には充満、横溢の思想が籠もる。(途中の7,8,9などは数量の概念を帯びない。非特異点である)この力は基本数の10にも影響を与えている。
4 序列数10を特異点として、その形式は「力」であり、また「元に戻る」である。回帰であり周期性である。この周期性を神話に移して10兄弟の宇宙創造など神話が伝承された。

写真:10兄弟を揃え力みなぎるシャイアン族が同じく10兄弟の鳥と戦った図。本書から

HP本文中では「助けのバイソン婦人、太陽からみなぎる力を抜き取る」「10姉妹対10兄弟」など北米神話を引用している。部族民通信HPには左コラムのブックマークHPをクリックしてください。了

アラカルト(中野浩一選手20連勝を見逃す)
PDF(数え方の思考)を作成し本文にリンクを設けている。
コメント
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