橋弁慶図小柄
橋弁慶図小柄 無銘
橋弁慶の題の通り、この図は牛若丸よりも弁慶が主人公。出生地として語られることの多いのが、紀伊国。母は三年ものあいだ胎内に子を宿し、その間毎日のように鉄を食らい、誕生したときにはすでに髪は肩まで伸び、歯も生え揃っており、身体の色は鉄のように黒かったという。
もちろん弁慶の存在は物語の中のもので、実在は怪しい。しかし、母が鉄を食うというところは、超人誕生の伝説であると同時に、製鉄技術や鍛冶に関わる技術を有した集団との関連を強く匂わせており、頗る興味深い。
長じた弁慶は、自らを託することのできる主を探すも目的で京は五条の橋辺りにたむろし、屈強の者を見つけては武器を賭けて対決したのである。その一人が牛若丸。
弁慶にはもう一つ、鍛冶と関連する伝説がある。松江に刀鍛冶を生業とする叔父がいた。弁慶は叔父に太刀の製作を依頼したのだが、その切れ味が頗る高いため、同じような太刀を二つと製作され、他の者が利器を持つことを恐れ、叔父をその場で殺してしまったという。
橋弁慶図小柄 無銘
橋弁慶の題の通り、この図は牛若丸よりも弁慶が主人公。出生地として語られることの多いのが、紀伊国。母は三年ものあいだ胎内に子を宿し、その間毎日のように鉄を食らい、誕生したときにはすでに髪は肩まで伸び、歯も生え揃っており、身体の色は鉄のように黒かったという。
もちろん弁慶の存在は物語の中のもので、実在は怪しい。しかし、母が鉄を食うというところは、超人誕生の伝説であると同時に、製鉄技術や鍛冶に関わる技術を有した集団との関連を強く匂わせており、頗る興味深い。
長じた弁慶は、自らを託することのできる主を探すも目的で京は五条の橋辺りにたむろし、屈強の者を見つけては武器を賭けて対決したのである。その一人が牛若丸。
弁慶にはもう一つ、鍛冶と関連する伝説がある。松江に刀鍛冶を生業とする叔父がいた。弁慶は叔父に太刀の製作を依頼したのだが、その切れ味が頗る高いため、同じような太刀を二つと製作され、他の者が利器を持つことを恐れ、叔父をその場で殺してしまったという。