筏に菱透図鍔 (鍔の歴史)
筏に菱透図鍔 刀匠
桃山時代以前の刀匠鐔を古刀匠鐔と呼び分けているわけだが、先にも述べたように、桃山文化は江戸時代初期にまで及んでいる。在銘で年紀作であれば、江戸時代に入っているのか、桃山時代であるものか、それ以前であるのか判断は容易だが、総て無銘。そこで、桃山文化の影響を遺している江戸初期までを桃山時代に含め、古刀匠としている。現実にこの間の数十年の違いが明確に読み取れるものであろうか、保存状態の違いも考慮しなければならない。
この筏に菱透鐔などは、戦国時代と考えても良さそうだが、刀匠鐔と鑑られている。複雑な透しから甲冑師鐔に含められる可能性もある。地鉄は、鍛えた痕跡が所々に残されていて、色合い黒々としており、質も良さそうだ。透かしの細い線が良く残っていると思う。この繊細な様子は、今でこそ繊細と表現するも、実用の時代においては、もっと別の感覚で捉えられていたのかも知れない。味わい深い作である。85.2ミリ。
筏に菱透図鍔 刀匠
桃山時代以前の刀匠鐔を古刀匠鐔と呼び分けているわけだが、先にも述べたように、桃山文化は江戸時代初期にまで及んでいる。在銘で年紀作であれば、江戸時代に入っているのか、桃山時代であるものか、それ以前であるのか判断は容易だが、総て無銘。そこで、桃山文化の影響を遺している江戸初期までを桃山時代に含め、古刀匠としている。現実にこの間の数十年の違いが明確に読み取れるものであろうか、保存状態の違いも考慮しなければならない。
この筏に菱透鐔などは、戦国時代と考えても良さそうだが、刀匠鐔と鑑られている。複雑な透しから甲冑師鐔に含められる可能性もある。地鉄は、鍛えた痕跡が所々に残されていて、色合い黒々としており、質も良さそうだ。透かしの細い線が良く残っていると思う。この繊細な様子は、今でこそ繊細と表現するも、実用の時代においては、もっと別の感覚で捉えられていたのかも知れない。味わい深い作である。85.2ミリ。