雪文透図鐔
雪文透図鐔 甲冑師
雪の表現になる図で過去に紹介したことのある鐔。モコモコとした雪の様子を意匠したもの。土手耳とされた耳際の厚さが6.5ミリと極厚であり、縦が93ミリであるから、かなりどっしりとしている。これによって江戸時代の作、即ち甲冑師鐔と極められている。耳際の厚い部分はわずかに傾斜が付き、表面の観察では鑢仕上げの痕跡が残って景色となっており、地面は中高で、厚手の耳際が幾分薄い仕立て。さらに表裏では地面の肉取りもごくごくわずかに異なっている。構造にも妙趣が感じられる名鐔である。
幾度か述べているが、鐔は刀のバランスを調整するためにもある、総ての古い甲冑師鐔が薄いわけではない。厚手の古い甲冑師鐔があって然りであるが、否定しておられる方もおられるようだ。江戸時代に入ってから、どのような目的でこの鐔が製作されたのであろうか。戦国時代末期の天正頃から江戸時代に入って慶長、元和頃までの、南北朝時代写しのがっしりとした刀に装着されたものであろうか。それともさらに時代は下がると鑑ておられるのであろうか。江戸時代も降ると、拵総体の意匠についてなかなかイメージできない。この鐔は鉄味も良く、保存状態も良く、表面が平滑で錆薄く綺麗であるところも時代が下がると判断された要点のようでもある。□
雪文透図鐔 甲冑師
雪の表現になる図で過去に紹介したことのある鐔。モコモコとした雪の様子を意匠したもの。土手耳とされた耳際の厚さが6.5ミリと極厚であり、縦が93ミリであるから、かなりどっしりとしている。これによって江戸時代の作、即ち甲冑師鐔と極められている。耳際の厚い部分はわずかに傾斜が付き、表面の観察では鑢仕上げの痕跡が残って景色となっており、地面は中高で、厚手の耳際が幾分薄い仕立て。さらに表裏では地面の肉取りもごくごくわずかに異なっている。構造にも妙趣が感じられる名鐔である。
幾度か述べているが、鐔は刀のバランスを調整するためにもある、総ての古い甲冑師鐔が薄いわけではない。厚手の古い甲冑師鐔があって然りであるが、否定しておられる方もおられるようだ。江戸時代に入ってから、どのような目的でこの鐔が製作されたのであろうか。戦国時代末期の天正頃から江戸時代に入って慶長、元和頃までの、南北朝時代写しのがっしりとした刀に装着されたものであろうか。それともさらに時代は下がると鑑ておられるのであろうか。江戸時代も降ると、拵総体の意匠についてなかなかイメージできない。この鐔は鉄味も良く、保存状態も良く、表面が平滑で錆薄く綺麗であるところも時代が下がると判断された要点のようでもある。□