同じ穴の狢図鐔
同じ穴の狢図鐔 無銘
真鍮地を高彫にし、金銀赤銅素銅の色絵を加え、穴倉に集まる何やら怪しげな様子の人々を描いた作。いずれも宗教色のある風体だが、果たして真実は如何に。これらは、先に紹介した節季候にも通じる、庶民と宗教の対象とを結んでいた一つの流れであり、市井にあっては、主に年末に動いていたようだ。この鐔の作者は彼らから痛い思いをしたのであろうか、批判的な視線を投げかけている。即ち、裏面に狸のような尻尾をのぞかせているぞと。彼らは、市井にあって門々を廻り、わずかばかりの金銭を要求し、代わりに神仏に祈ってくれると言うのだが、それを断ると、逆に脅しにかかるという。多くの人々は、煩わしいやら怖いやらで、金銭を与えてしまうのである。頗る面白い、時代を表した風俗の図である。
これまで十年以上、古美術雑誌『目の眼』において《装剣小道具の世界》と題して連載ページをいただき、刀剣に関わる金工芸術の魅力を紹介してきましたが、雑誌の内容を大きく変更する方針となり、連載が休止となりました。今後は、Web上にて同様に装剣金工作品の魅力を伝えてゆくつもりでおります。これまでは月刊雑誌という点から制約がありましたので、月一という紹介でしたが、今後は、掲載日を定めずに紹介して行く予定です。同様に、売品については価格を記載できなかったものを、Web上では価格表記も可能になりましたので、お求めをお考えの方にとっては、コレクションに直接つながる楽しみもあろうかと思います。このブログ同様に楽しんでいただければ幸いと考えております。
《鐔 Tsuba 装剣小道具の世界から》
同じ穴の狢図鐔 無銘
真鍮地を高彫にし、金銀赤銅素銅の色絵を加え、穴倉に集まる何やら怪しげな様子の人々を描いた作。いずれも宗教色のある風体だが、果たして真実は如何に。これらは、先に紹介した節季候にも通じる、庶民と宗教の対象とを結んでいた一つの流れであり、市井にあっては、主に年末に動いていたようだ。この鐔の作者は彼らから痛い思いをしたのであろうか、批判的な視線を投げかけている。即ち、裏面に狸のような尻尾をのぞかせているぞと。彼らは、市井にあって門々を廻り、わずかばかりの金銭を要求し、代わりに神仏に祈ってくれると言うのだが、それを断ると、逆に脅しにかかるという。多くの人々は、煩わしいやら怖いやらで、金銭を与えてしまうのである。頗る面白い、時代を表した風俗の図である。
これまで十年以上、古美術雑誌『目の眼』において《装剣小道具の世界》と題して連載ページをいただき、刀剣に関わる金工芸術の魅力を紹介してきましたが、雑誌の内容を大きく変更する方針となり、連載が休止となりました。今後は、Web上にて同様に装剣金工作品の魅力を伝えてゆくつもりでおります。これまでは月刊雑誌という点から制約がありましたので、月一という紹介でしたが、今後は、掲載日を定めずに紹介して行く予定です。同様に、売品については価格を記載できなかったものを、Web上では価格表記も可能になりましたので、お求めをお考えの方にとっては、コレクションに直接つながる楽しみもあろうかと思います。このブログ同様に楽しんでいただければ幸いと考えております。
《鐔 Tsuba 装剣小道具の世界から》