月見舟図鐔 葛龍軒政盧
月見舟図鐔 銘 葛龍軒政盧
江戸時代後期の、平和な空気感が作品の要。月を見上げるお大尽といった風情の人物のみが描かれている。多くは状況説明という点から漕ぎ手が描かれるのだが、それを排し、小舟の先端と小波、芦といった添景のみで舟に揺られている様子を表現している。真鍮地を高彫にし、金銀赤銅の色絵。その地金の選択も巧みであり、粋に通じる渋さも魅力である。江戸の風情を楽しみたい作品である。政盧は奈良派の流れを汲む江戸の遠山直随の門人で、後に同じ浜野本家の誠随に学んだ名工の一人。□
月見舟図鐔 銘 葛龍軒政盧
江戸時代後期の、平和な空気感が作品の要。月を見上げるお大尽といった風情の人物のみが描かれている。多くは状況説明という点から漕ぎ手が描かれるのだが、それを排し、小舟の先端と小波、芦といった添景のみで舟に揺られている様子を表現している。真鍮地を高彫にし、金銀赤銅の色絵。その地金の選択も巧みであり、粋に通じる渋さも魅力である。江戸の風情を楽しみたい作品である。政盧は奈良派の流れを汲む江戸の遠山直随の門人で、後に同じ浜野本家の誠随に学んだ名工の一人。□