黒木売り図鐔 山城國伏見住金家
黒木売り(樵)図鐔 銘 山城國伏見住金家
束ねた黒木を担いで山から下ろす男が主題。画題の面白さから大原女などが売り歩く姿が採られることが多いものの、長常の小柄にも例があるように、男の黒木売りもあったことは間違いなかろう。あるいは樵の可能性もあるが、奇麗に束ねられた粗朶は、大原女が頭上にしているそれと同質にも感じられる。急峻な山道を下る途中であろうか、休む男の背後を飛脚が駆け下りてゆく。黒木とは、乾燥させた粗朶を燻すなどして火が着き易いよう加工した薪のことで、特に冬場の生活の必需品。
さて、この背後の飛脚により、この鐔が製作された(図の描かれた)年代を、飛脚制度が定められた頃以降と断定した研究家がおられる。筆者はその説は採らない。もう少し古い可能性があることを指摘したい。ごく簡単なことだが、制度や法律は、ある事項について問題が生じたり、収拾がつかなくなることによって定められる。即ち、飛脚制度が定められる以前から飛脚があり、飛脚が多くなり、あるいは飛脚の有用性が認められたが故に制度化されたと考える。未だ金家が生きた時代の判断はつかないのである。
記事を更新しました
《鐔 Tsuba 装剣小道具の世界から》
古美術雑誌『目の眼』において《装剣小道具の世界》と題して連載ページをいただき、刀剣に関わる金工芸術の魅力を紹介してきましたが、雑誌の内容を大きく変更する方針となり、連載が休止となりました。今後は、Web上にて同様に装剣金工作品の魅力を伝えてゆくつもりでおります。これまでは月刊雑誌という点から制約がありましたので、月一という紹介でしたが、今後は、掲載日を定めずに紹介して行く予定です。同様に、売品については価格を記載できなかったものを、Web上では価格表記も可能になりましたので、お求めをお考えの方にとっては、コレクションに直接つながる楽しみもあろうかと思います。このブログ同様に楽しんでいただければ幸いと考えております。
黒木売り(樵)図鐔 銘 山城國伏見住金家
束ねた黒木を担いで山から下ろす男が主題。画題の面白さから大原女などが売り歩く姿が採られることが多いものの、長常の小柄にも例があるように、男の黒木売りもあったことは間違いなかろう。あるいは樵の可能性もあるが、奇麗に束ねられた粗朶は、大原女が頭上にしているそれと同質にも感じられる。急峻な山道を下る途中であろうか、休む男の背後を飛脚が駆け下りてゆく。黒木とは、乾燥させた粗朶を燻すなどして火が着き易いよう加工した薪のことで、特に冬場の生活の必需品。
さて、この背後の飛脚により、この鐔が製作された(図の描かれた)年代を、飛脚制度が定められた頃以降と断定した研究家がおられる。筆者はその説は採らない。もう少し古い可能性があることを指摘したい。ごく簡単なことだが、制度や法律は、ある事項について問題が生じたり、収拾がつかなくなることによって定められる。即ち、飛脚制度が定められる以前から飛脚があり、飛脚が多くなり、あるいは飛脚の有用性が認められたが故に制度化されたと考える。未だ金家が生きた時代の判断はつかないのである。
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《鐔 Tsuba 装剣小道具の世界から》
古美術雑誌『目の眼』において《装剣小道具の世界》と題して連載ページをいただき、刀剣に関わる金工芸術の魅力を紹介してきましたが、雑誌の内容を大きく変更する方針となり、連載が休止となりました。今後は、Web上にて同様に装剣金工作品の魅力を伝えてゆくつもりでおります。これまでは月刊雑誌という点から制約がありましたので、月一という紹介でしたが、今後は、掲載日を定めずに紹介して行く予定です。同様に、売品については価格を記載できなかったものを、Web上では価格表記も可能になりましたので、お求めをお考えの方にとっては、コレクションに直接つながる楽しみもあろうかと思います。このブログ同様に楽しんでいただければ幸いと考えております。