浜千鳥図鐔 安親
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浜千鳥図鐔 銘東雨
波に太陽という取り合わせから思い浮かぶのが千鳥。我が国の海辺における自然観の代表ともいうべき風景であろう。この鐔の作者は、江戸金工の画題や作域において大変な幅の広さを示した、言わば金工の祖の一人、土屋安親であり、東雨はその号。古典的主題や新趣の題を採り、さほど彫り出しを高くするわけではないものの、遠近の風景としては頗る自然な景色に仕上げて小さな鐔の画面に広大な世界を展開した。
この鐔も、まさに安親の表現域。松原を近景に遠く広がる海原に波と岩場を描き、棚引く雲のさらに遠くには銀布目象嵌で夕日を配している。裏面はそのまま連続した景色であろう、小山から目前に広がる海原を眺める作者の前に千鳥が飛び交っている。鉄地高彫金銀象嵌。安親には、この千鳥の他、後に紹介する政随の鐔のような千鳥の文様も生み出している。81.2ミリ。