吾輩は設備設計である

設備設計という仕事に云十年。理不尽なこと自分のぷち自慢、失敗談などを書いています

マンションの排水系統ー福岡方式

2006-03-18 10:58:21 | Weblog
昔 昔 私が20代のころである
当時 住宅公団 という巨大な 組織があり そこの設備設計も随分担当した
そのときのノウハウは今でも共同住宅を設計する際の自分の深層心理のなかに組み込まれているに違いない 当時のお役所としては 技術的 建築思想的にも最先端を走っていて いわゆる他の地方公共団体や民間のアパート等は ココから波及した技術が経験がもとになって現在に至っているのは誰でも認めることである
そこでやっていたことはほぼ経験側に裏づけられていて間違いは無かった

ところがである
福岡の各ゼネコン(福岡の地場ゼネコンは低層アパートに関しては大手にヒケをとらない) のアウンの決まりごとがある これは公団方式に比べて過剰設備になっている (予算はキュウキュウなのにだ)
住戸最下階の排水横引き管は単独で 上階とは別系統で放流する  というもの
私の事務所は少なくとも10年前まではそんなことはしたことがない
でも ハンで押したようにマンション得意のゼネコンや建築事務所は うちの図面に対して まるで常識が無い とでも言わんばかりの 自信と確信をもって”そうしろ”と迫ってくる
10年前までは 現説の質疑で 必ずヤリダマに挙がっていた 
そのつど わたしは 今の設計のままで良い 変更はしない と言い続けた
我が社の物件はでも、それをしなかったことによるトラブルが生じたことは一度も無い

では何故 そういう福岡伝説というか福岡方式 が生まれて それが神話みたいになっていったか 
 最近ある傾向に気がついた
福岡で民間のマンションを得意とする設備屋さんは10社位あって
どうもそのあたりの会社は勾配に関してコダワリがさほど重要視していなくて
管理者の意識が 我々とは全く違って ”水は高いところから低いところに流れるっちゃけん ”  と 少々フラットになっている排水管を施工することに対してサホド罪の意識を持っていないのだ
そのせいなのか
ある西区の他人がやったマンションの大便器からの汚水の逆流の2年に渡るトラブルに関して相談を受けたことがあって その物件は 最下階が別系統になっていなかった  そのときの原因は その下流にあった 1階の排水横引き管が一部 逆勾配になっていた 1階の玄関ホールは石貼り そこを大きくはつり 管を別のルートにやり直して解決したみたいだ
つまり 福岡の最下階別系統伝説は 勾配が甘い (これは初期の段階でスリーブを入れるときにすでに原因がある) のが原因で 出来上がっていたことを確信した  
この排水管のトラブルの相談は以外に多い 全部といっていいほど”施工ミス”である 設計のミスではここまでならないからだ
でも その伝説は根強いもので うちの設計も そうすることが多くなった
こんな金もかかるし梁も穴が多くなるし やりたくない 一種の手抜き工事の保険みたいなもの キチット工事監理できればこんな必要はないのに
つまり福岡の業界グルミで 手抜きを前提とした工事を行われているのか
  というわけで そのつど うちが工事監理につく場合は 別系統にしないことで VE の提案をする
これが福岡 マンション建設業界の一端である
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