このことに気付いたのは還暦が過ぎ母の亡くなった頃、クライアントの手持ち案件が片付いたら引退をと考えた矢先だった。あるセンターから高齢者の就業支援の話しが舞い込み、現場に精通した講師がいないということで軽い気持ちで引き受けた。母の引合せではなかろうが、それが社会への恩返しのスタートとなった。
『年齢を重ねると二つの手があることに気付く。自分を守ろうとする手は誰しも持っているが、もう一つの他人を助けようとする手、これがあることを忘れてはならない。』(詠み人知らず)
脱サラ後、経営コンサルタントとして全国各地を転々と駆け回り振り返れば延べ百数十社のクライアント、且つ講演・研修会始め中小企業大学校や各地の商人塾の講師も担当、それなりに報酬をもらっていた。それからというもの、本業とは別にもうひとつの手で、審議会始め座学講師や実技教室などを積極的に受け持っている。培った専門分野で社会と関わり、自分の存在価値を確認しながら人生の励みを実感している。