「竹島は無主の島」で韓国大騒ぎ 米、韓国の主張を拒否
【ソウル=黒田勝弘】竹島(韓国名・独島)問題で反日・愛国ムードが高潮している韓国で、今度は米政府機関の「地名 委員会(BGN)」が島に対する韓国の領有権主張を退けていることが判明し、大騒ぎになっている。BGNの公式資料によると、島の名称は中立的な「リアン クール岩礁」を基準とし、領有権については「主権未確定」としている。
韓国のマスコミはこのことを連日、大々的に報じ、韓国政府の対応不 足を激しく批判。同時に「この背景には日本政府の執拗な工作がある」と日本非難を展開している。韓国政府は緊急対策会議を開き、在米大使館を通じ経緯の把 握に乗り出すとともに、米側に韓国の立場を伝達するよう指示。さらに各国での実情調査も進めるという。
「リアンクール岩礁」は19世紀に この島を“発見”したフランス捕鯨船の名称からきたもので、海外の文献にしばしば登場する。BGN資料には「竹島」や「独島」などいくつかの名称も“別名 ”として記載されているが、韓国マスコミは「独島」より前に「竹島」が紹介されていることにも不満が強い。
BGNは、領有権が対立してい るという客観的な事実にのっとり中立的な措置を取ったものとみられる。しかし韓国では政府、マスコミをはじめ官民挙げて「あの島はわが国固有のもので紛争 の対象ではない」という建前と思い込みが強いため、今回のような国際社会の“中立的態度”にも極度に反発する結果となっている。
【竹島問題】李政権、記述再変更でホッと一息
【ソウル=黒田勝弘】韓国政府は米政府機関の地名委員会(BGN)が竹島(韓国名・独島)の記述を韓国有利に再変更 したことを大いに「歓迎」し、対米説得の一大成果と評価している。今回の一連の表記の動きをめぐって韓国では一時、「米政府が韓国の立場を退け、日本寄り になった」として、まるで韓米同盟が揺らぐかのような見方が広がっていた。反政府・左派系メディアなどはこの問題でも早速、反米論調を展開しつつあった。
李明博政権にとってはブッシュ大統領の訪韓(5、6日)を前に、米国産牛肉輸入問題をきっかけに広がった反米・反政府運動の再燃が懸念されていただけに、国内世論を納得させる“ビッグ・プレゼント”としてホッとしている。
韓国では米国の「意外に素早い韓国への配慮」(政府筋)に驚いているが、韓国内の反米感情を念頭においた「ブッシュ大統領の即興的な政治的判断」で、国内政治的に苦しい状況にある李明博政権に対するテコ入れとの見方もある。
米政府は領有権問題では中立の立場を強調しているが、韓国世論の大方は「米国も韓国の主張を認めた」と受け止めている。このため米政府の、他の資料の表記や記述がどうなっているかなど今後さらに論議を呼ぶ可能性がある。
今回、韓国政府は米国に対し、地名委員会の資料は日本の北方領土の領有権についてはロシアの立場を、尖閣諸島については日本の立場を優先するな ど、それぞれ現状重視の判断をしていると指摘。韓国が実質的に支配している竹島・独島については「未指定」というあいまいな表現になっていると「不公平 さ」を強調した。
米政府が再変更に踏み切ったのは、この指摘と説得が効いた結果といわれる。
ただ、地名委員会は1970年代から島の名称については竹島や独島ではなく、中立的な「リアンクール岩礁」を「標準」として使っており、これがそのまま残ったことにも韓国では不満が強い。今後の対米説得工作ではこれを「独島」に変えさせることに全力を挙げるという。
また米国のみならず、これを機に国際的に韓国の領有権を認めさせる活動を官民上げて展開すべきだとの声が高まっており、政府は先頭に立って各国の地図をはじめ各種の資料を点検し、「独島」の名称の定着を含め韓国の立場を反映させる方針という。
ブッシュ米大統領、竹島問題で「中立」強調
【ワシントン=山本秀也】米政府機関の地名委員会(BGN)が竹島(韓国名・独島)の帰属先を「韓国」に戻した問題 で、ブッシュ米大統領は韓国メディアなどとの会見で、「争いは日韓間で解決されるべきだ」との理由で、ライス国務長官にデータベースを以前のままとするよ う命じたことを明らかにした。ホワイトハウスが7月31日、会見の詳報を公表した。
会見は北京五輪開幕式出席など、大統領が韓国、タイ、中国を歴訪するのを前に、7月30日、関係国の一部メディアを招いて行われた。
ブッシュ大統領は、「問題は主権国の政府間によるもので、当面の争いをわれわれが調停することはできない。しかし、対話や理解を助けることは可能だ」とし て、米国の中立的な立場を強調した。こうした役割を果たすため、大統領は、米国が地域内でのプレゼンスを背景に、関係国と良好な関係を築く重要性を指摘し た。
また、「(日韓間での)緊張は承知している」として、関係国首脳の主張を慎重に聞く考えを表明した。6日にソウルで行われる米韓首脳会談で、韓国側が竹島問題を議題に取り上げることを織り込んだ発言とみられる。
BGNがデータベースの帰属先を当初の「韓国」から「主権未指定」に変更したことで、米政府は韓国側から猛烈な抗議を受けた。米国家安全保障会議(NSC)のワイルダー・アジア上級部長は30日の会見で、帰属先などの表記を元に戻したことを明らかにしていた。
ブッシュ大統領は、表記変更の背景に公式訪問を控えた韓国の強硬姿勢があったことには言及していない。
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