授業中、気失う子続々…ギリシャ、緊縮財政で
緊縮財政下のギリシャで「飢え」が問題になっている。授業中に空腹で倒れる学童が出る事態に、民間ボランティアが救済に乗り出した。
アテネ郊外の住宅街にある民間活動団体(NGO)「アルトス・ドラッシ」は、賞味期限が迫った食材などを地元の協力で集め、毎日約120人分の料理や食品を無料で配っている。昼近くになると、大きな手提げ袋を持った人が次々と訪れる。
「毎週、新しい人が来るの。1年前と比べたら2・5倍に増えたわ」と、ボランティアのカリオピさん(66)が話す。17年前、クルド難民を支援するために始まった活動は、今や訪れる人々の大半がギリシャ人になったという。
市内に住むレフテリスさん(51)は週に1度、バスで1時間かけてやって来る。大型船の船員だったが3年前に失業。工事現場の短期労働などで13 歳の息子とおばを養う。「職探しがあるから毎日は来られない。息子の学校では親の失業で食事を十分にとれず、授業中に気を失う子どもが増えている」と表情 を曇らせた。
ギリシャの学校には給食制度がなく、売店でパンなどを買うのが一般的だ。親の現金収入が消えれば、子どもは空腹のまま授業を受けるしかない。欧州 連合(EU)統計局によると、可処分所得が国民の平均値の6割に満たない人の割合を示す貧困率は、2011年のギリシャでは約21%で、加盟27か国の中 でワースト5位だった。今年3月の失業率は27%に上る。
アテネの非営利組織(NPO)「プロレプシス」は4月、アテネや北部テッサロニキの低所得層の多い地域で、小学校児童計7000人を対象に週3 日、サンドイッチや牛乳などの「給食」を配る活動を始めた。対象地域で調査した結果、1日の食事が「1食以下」の日が「月に2~3回ある」と答えた児童が 約30%もいた。代表のアテナ・リノス・アテネ医大教授(62)は「アフリカ諸国の一部と同程度の深刻さだ」と指摘した。(アテネで 青木佐知子、写真 も)
ギリシャの財政危機 2009年に発足したパパンドレウ政権(当時)が財政赤字の大幅な上方修正を公表した結 果、信用不安が拡大。ギリシャ国債の相場は大幅に下落し、財政危機に陥った。欧州連合(EU)などから金融支援を受ける条件として同政権や、その後のパパ デモス、サマラス各政権が増税、年金削減、公務員数の削減などの財政緊縮策を進めている。
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