「長崎新幹線」着工、自治体同意が不要に
2007年12月17日22時53分
沿線自治体が反対していた九州新幹線西九州(長崎)ルートの建設問題で、佐賀、長崎両県とJR九州は17日、新幹線と並行する在来線の運行をJRが20
年間継続し、両県が線路などの施設を買い上げて赤字補填(ほてん)に充てるとの合意に達し、政府・与党に報告した。これまでは並行在来線の経営をJRから
分離する計画で、沿線自治体の同意が着工条件だった。JRが運行を続けることでこの同意は不要になり、同ルートは着工へ向けて動き出すことになった。
並行在来線JR運行合意 「特急本数減は不便」「新幹線で活性化を」住民に波紋
九州新幹線長崎(西九州)ルート建設問題で、並行在来線(長崎線)区間をJR九州が全線運行することで佐賀、長崎両県とJR九州の3者が合意したことは、関係自治体の市民や町民に様々な波紋を呼んだ。
「商用などで、長崎線は絶対に必要」と言う鹿島市古枝、幸姫酒造の峰松幸弘社長(59)は「うまい落としどころを考えた」と合意内容を評価した が、運行方式が電化からディーゼルに切り替えられ、特急の本数も減ることが分かると、「だまし討ちにあったよう」と、ぶぜんとした表情を浮かべた。
同市の鹿島実高3年、片渕誠君(18)は「長崎ルート建設はメリット、デメリットがあり、県の説明は上っ面ばかり。多額の税金をつぎ込まなくてはならないという市の反対理由はよく分かった。(同ルートは)いらないと思う」と話した。
江北町山口の主婦(68)は、長崎ルート着工への条件が整ったことに、「これまであった特急が、長崎ルート整備で新幹線に代わる。料金が上がり、 庶民にとっては不便になる。利用客増につながるのかということ以外にも、踏切の安全性確保、防音対策などいろんな問題が想定される」と、不安を語った。
武雄市武雄町、婦人服販売店経営岩永英雄さん(56)は「観光産業に特化している嬉野市と違い、武雄市の産業構造は、いろんな業種からなる。武雄 温泉駅は途中駅で、終着駅ほどの経済効果は期待できないかもしれない。まちづくりを真剣に考えていかなくてはならない」と力をこめた。
一方、新幹線の新路線となる嬉野市。同市塩田町の菓子店代表、馬場安谷さん(54)は「鉄道のない嬉野市に新幹線が通れば、市の活性化につながるはず。歓迎するが、次の世代の負担増にならないか不安も残る」と、複雑な表情だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます