高額な料金で劣悪な生活 京都のフリースクール監禁虐待事件
京都府京丹波町の「丹波ナチュラルクール」の入所者監禁虐待事件は、府警が南丹署に捜査本部を設置してから7日で1 週間を迎えた。これまでの調べで、スクールは保護者から高額な料金を受け取る一方、入所者の食費や光熱費をありえないほど切り詰めるなどしていたことが判 明。スクールが「教育目的」を掲げながら、組織的な関与で不当に巨額の収入を得ていた悪質な実態が明らかになってきた。
□極限まで節約
調べでは、経営者の朴聖烈容疑者(60)=傷害罪で起訴、逮捕監禁容疑で再逮捕=らスクール側は、保護者に対し、入所金として200万~500万円▽強制 的に連れ去る場合は別途30万~50万円▽月謝10万~15万円-など、高額の料金を請求。平成18年1月以降だけで、二十数人の入所者から1億数千万円 の収入があったことが判明している。
一方入所者の食事は、朴容疑者の親類が経営するコンビニエンスストアから無料で譲り受けた期限切れの 弁当などを充当。ほかにも照明器具の半分を取り外す▽風呂は1回5分間で、冬は5日に1回、夏でも隔日▽トイレは時間を決めて数人がまとめて使用し、最後 の人が水を流す-などを強要。十数人が生活するスクール全体の光熱費は月4万円程度だったという。
□組織的に関与
逮捕監禁容疑で逮捕された朴容疑者ら11人(健康上の理由で1人は釈 放)は、入所者の監視や夜間の宿直、嫌がる入所予定者の移送などを役割分担。実質的な責任者だった森下美津枝容疑者(55)ら数人は月数十万円を受け取っ ていたほか、3交代で宿直に当たっていた3人は1回1万円を、また入所予定者の連れ去り要員は1回10万円程度といった具合に、作業ごとに報酬を受け取っ ていた。
メンバーは朴容疑者が集めた親類や知人などで、数人の容疑者は「塾長に指示されてやった」「金に困っていたので引き受けた」などと供述しているという。捜査本部は「塾長」である朴容疑者を頂点として、組織的に入所者を監禁していたとみている。
□入所者を選別
府警は8月中旬、施設を逃げ出して保護された少女が「監禁され、虐待を受けている」と訴え、実際にけがをしていたことから本格捜査に入った。施設に多くの入所者が残っていたことを考慮し、実態解明よりもまず摘発を優先。9月9日に傷害容疑で朴、森下両容疑者を逮捕した。
その後、スクールの運営に関与していたメンバー全体による組織的な監禁が判明。日常的に暴行を加えるなど極めて悪質として、殺人などのケースを除く虐待事件としては、異例の捜査本部設置を決めた。
朴容疑者は、本当に手のかかりそうな子供は引き受けを断り、支配できそうな入所者を選んでいたという。関係者への報酬を除いても、朴容疑者の手元には相当な現金が残っていることから、捜査本部は金目当ての運営だったとみて全容解明を進めている。
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