観測にまつわる問題

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農業と価格小考(2024/11/23)、農林中金の巨額損失に由来する歴史的円安再来の可能性

2024-11-23 08:16:58 | 農林水産
鳥インフルエンザ過去最多 農家を悩ます“処分地”問題(NHK 2023年4月26日)

安い鶏卵(や鶏肉)が家計と健康を守っていると思いますが、これじゃあ高くなるのも当然です。対策としては・・・
①焼却場の整備。
②分割管理の検討。
②感染予防効果が認められればワクチン
・・・が考えられます。

日本の卵は安すぎて不気味なので安全か調べてみる(環境めぐり)

日本の卵は安いんです。しかも安全なようです。これが変に高くなってしまうと何で高くなったんだ(怒)になるでしょうね。

食費をどうする 物価上昇の中で エンゲル係数30%超の月も(NHK 2024年11月15日)

日本が貧しくなったと良く言われますが、実質賃金が上がってない/下がっただけではなく、お金の使い道(エンゲル係数の上昇)も関係するかもしれません。所得が低いほどエンゲル係数が高いと言われるからです。

食は健康な生活を送るのに重要であり、タイパもあって、切り詰めれば万歳という訳でもありません(浪費も肯定はしませんが)。生産者サイドとしては高値で売る余地がありますが、食料安全保障の観点もあり、政府が供給を増やすためにお金を出して、低価格を維持することは悪くない政策だと考えます。

これは日本の農業者にとっても悪い話ではありません。何故なら、食を完全に市場経済に任せれば、工場生産で無人化とか、人件費の安い途上国で生産して輸入になるからです。いずれにせよ、高級食材を否定しませんが、普通の食材は極力安く供給するのが政策目標になると考えます。

新米の相対取引価格 10月の平均は前年同月比57%高 過去最高に(NHK 2024年11月19日)

>9月下旬からスーパーなどでのコメの販売量は減少している

・・・円安は輸入食糧の高騰で米が価格競争に勝って拡販するチャンスだと思うんですがね。供給を絞って米価を上げると、消費者のエンゲル係数が上がり/実質賃金が下がりますし、食料自給率も向上しないと思います。

減反政策を止めるチャンスでもあるんですが、農水省の面子がそれほど大切でしょうか?価格戦略で儲けられるだけ儲けたい気持ちは否定はしません。ですが何でも良い面悪い面あって、健康に関わる農政は一定の自国生産を確保し、安い農産物を提供したりするために専門性があるんじゃないかと思います。

自民「食料安全保障強化本部」新設 本部長に森山幹事長が就任(NHK 2024年11月22日)

農業水産畜産は健康社会に必要な産業ですから、業界の利益を最大化する方向性ではなく、食料安全保障を守りながら、価格を抑える方向性で政策を検討するべきなんだろうと思います。安定的な円安の今が日本の食料自給率向上の絶好機ではないでしょうか?

巨額含み損の農林中金 その背景を検証へ(NHK 2024年10月3日)

農林中金の失敗は金利の低い時に米国債を買ったことですが(これから更に傷口が広がる可能性も否定できません)、どうも石破さんは歴史的円安の再来を促し、米国債の円建てでの評価金額を上げ、米国債を売却することで、農林中金を救うシナリオを考えているようにも見えます。

日本銀行
@Bank_of_Japan_j
(金融研究所DPS)デフレは、若年層の負担を増大させ、資本形成を阻害する結果、産出量と社会厚生を低下させる可能性が指摘されています。本研究は、少子高齢化に直面した日本経済を対象に、デフレが実体経済に及ぼす長期的な影響を評価しています。
https://buff.ly/3Z04VVn

インフレがーって声が最近止まっている感じなのは、歴史的円安が止まっているからなんでしょうね。ただ石破さんは農林中金を救うために歴史的円安を再来させる可能性が結構高いです。

デフレ対策と低価格戦略は一見矛盾するように見えるかもしれませんが、世帯所得(実質)の向上を政策目標にするなら、避けて通れない論点だと思います。少子化問題(低所得世帯中心に希望出生率を満たすことを諦める傾向がある)を考える上でも、世帯所得(実質)がベースになると考えます。

農業と所得、食料安全保障

2024-09-14 08:39:20 | 農林水産
石破茂衆議院議員に聞く(1)「農業所得と自給率に国費を」【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】(JAcom)

>「生産調整をやめる」と言い、かなり抜本的な農政改革に手を着けましたが、民主党政権になって頓挫しました。
>「こんなことを言っているからだめなんだ。米価は下がるのだからその分、直接所得補償でいいんだ」
・・・なるほどですね。さすが理にかなっていると思います。

農家の皆さんは全力で農業に勤しめばいいと思うんです。ただ米は目立ちますが、米だけを特別扱いする必要はないような気はします。自由にやれば、農家の皆さんが自分で調べて需要に合せた農業をするのであり、そうであるべきです。畜産と併せて認定農家に一律の給付をするのが経済的だと私は考えます。

石破茂衆議院議員に聞く(2)「農協はもっと政治運動を」【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】(JAcom)

>民主党が戸別所得補償を出した時にさんざん罵倒したのは私たち
・・・あれは社会主義です。足りない分を補償するという発想ではなく、自民党は一律で(畜産含む)農家に給付して、農家の意志を尊重するのが経済的です。漁業は獲り過ぎが問題なので、また別のスキームが必要。

追記:【世界比較】各国と日本の農業保護の度合いを比べてみた|jd🇳🇵農業

日本の農業所得に占める公的補助(PSE)の割合(%) (2021)は欧米と比べて高いようです。土地が狭いんだから当たり前でしょうが、民主党勢が思いっきりデマを流しているようです。そもそも「所得補償」も欧米のパクリなのに専売特許のように喧伝していて辟易しますが、まぁ連中は事情を知らない選挙民を騙せれば、それでいいと考えているのだと思います。

所得補償と言うと、生産量に関わらず一定の所得を保証する政策の印象ですが、(民主党がパクった)アメリカの「所得補償」とは、目標価格と市場価格の差を支払う(補償する)制度のようで、生産量が多いほど儲かるようにはなっているようです。

私が主張した一律の給付ですが、アメリカでは農家に対する直接固定支払い制度として実施された時期があったようです(何故止めたかは不明)(米国の農業政策 農林水産省)。日本でも水田活用の所得補償交付金においては、戦略作物助成・二毛作助成・耕畜連携助成でそれぞれ一定の金額の交付が行われています(1 農業者戸別所得補償制度 - 農林水産省)。そう考えると、農家に対する直接固定支払いをしないのは、保守的な農家が革新的な農業に意外と挑戦しないからなのかもしません(日本では米粉用米、飼料用米の交付金は高く、農水省的にはお勧めのようです)。また日本では畑作物の所得補償交付金を行っています。これは恐らく米がダブついている(需要の減少に供給の減少が追い付かない)からで、一種の減反政策だと思います。私等は農家に任せれば、米の価格低下を受けて転作が進むのではないかと思うのですが、高い米価を主張してきた農家の方はそう簡単に転作しないのだと農水省は見切っているのかもしれません。しかし米の需要は減少してきたのでしょうか。

なぜ食べない!コメの消費が減り続ける真因(東洋経済)

どうも食の多様化が進んだ理由は複合的なようで、若者ほど米離れしているようです。そうだとすると、政府が原因を分析して新品種を開発する等しないと、流されるままに日本文化は衰退してしまうのかもしれません。ただ米粉の利用(米麺)だと日本文化を守っていると言えるかは微妙でしょう。パンが嫌で麺を食べて文化が守られたと言えるでしょうか。米を炊くのが手間なら、レトルトパックご飯が競争力がある可能性はあります。ご飯につきものの味噌汁で言えば、即席みそ汁市場が市場拡大しているようです。つまり日本文化への一定の愛着はあって、レトルトパックご飯も売れており、消費者の時短志向を上手く取り込むことが農業政策に必要なようです。パンが好きでも家でパンをつくる人はそんなにいるとは思えません。時短と言えば、農水省は防衛省と協力してレーションを共同開発してみるのも面白いかもしれません。戦闘用食料で悠長に炊飯は出来ないはずです。その技術が民間に広まることも有り得るでしょう。

また食料安全保障の観点で重要なのはカロリーのある作物をつくることです。幾ら農家が儲かっても花ばかりつくったのでは食料安全保障になりません。そう考えると農家に対する直接固定支払い制度が不味いのは、例えば儲かる花(や野菜等)をつくることを誘導してしまうからなのでしょうか。カロリーの無い食物・農作物が儲かるのは、需要に対してギリギリの供給が狙えるからです。不作だったら食べなければいいんですね。主食の場合は不作だから飢饉では困りますから、余裕のある生産の必要があり、従って常に供給過剰で価格が低水準になります。だから政府が保証しないといけない訳ですが、ほどほどに供給過剰である必要はあります。ですから、日本のカロリーベース自給率がいいか、生産額ベースの自給率がいいかの論争がありますが、生産額ベースの自給率は食料安全保障の観点からは妥当ではないとなるでしょう。いざという時、カロリーの無いものを食べても腹は含まれんせんからね。ただし自給自足の観点でエネルギーの輸入が途絶えたらどうするという問題があります。

エネルギーの自給と言えば、電動化でしょう。農業にもその波はあるようです。ただし課題もあって、充電時間と稼働時間の問題で、FCVも選択肢のようです。また一種の太陽光発電でバイオディーゼルも面白く、農地不足の観点から、ユーグレナに可能性があるようです。また未利用資源や廃棄物の利用の可能性も考えられます。

農家の所得の問題に戻ると、カロリーと自給と文化・環境・人手不足等の観点から補助金を出すのが最適解かもしれません。つまりカロリーのある作物に限って、農家に対する直接固定支払い制度の検討をするのがシンプルのように思います(カロリーの無い作物は適切な価格まで自然に上がります)(減反をやらなくても需要が減る予測があったら、農家の方は調整できると信じます)。海外作物との競争は関税があるでしょう。自給に関しては、農業機械に関する補助金が考えられます。文化面は稲作・ご飯に関する補助金が有り得るでしょう。地域によっては、田園風景と観光などと組み合わせた戦略も有り得ます。環境負荷の観点で補助金があっても良く、人手不足にロボット等で対応するべきなのは、カロリー供給を目標にした農業は儲からないからです。農業って多面的ですね。

山林投資と林業、及び熊

2023-11-03 19:34:29 | 農林水産
お荷物が「宝の山」に? 山の取引価格、31年ぶり上昇(日経 2023年8月23日)

>国内の山林取引価格が31年ぶりに上がった。世界的な木材資源の供給懸念や、環境意識の向上による注目の高まりが背景にある。
>主因は21年に発生した世界的な木材不足「ウッドショック」だ。
>国産材へのシフトが進み、02年に19%だった木材自給率は、21年には41%まで上がっている。

コンクリートに使う砂が有限で日本では採取できず、輸入しています。中長期視点で木造建築を見直すことが必要かもしれません。耐震性や耐火性も現在はそんなに悪くないようです。日本は木材の輸入を主に先進国に頼っているようですが、特に消失の激しい熱帯雨林の収奪林業(天然林も再生するなら、伐採不可ではありませんが、急激な熱帯雨林の減少の事実は現在の伐採が持続可能か疑問を抱かせます)は問題であって、国産材による合板の需要等、増える可能性も考えられます。いずれにせよ、アメリカの住宅ブームは、日本等でも住宅ブームが起こる可能性、日本の林業のチャンスを想起させました。

>アウトドア人気を受け、レジャー用の購入も話題だ。

何にせよ、実需に基づく土地取引が活発になるのであれば、歓迎できます。

>外国人の購入などに懸念の声もあがるが、比賀社長は「中国人は合理的に、投資商品として割安とみて買っている」とみる。

日本で中国人が林業するとは聞きませんが、実需に基づく投資なら、何人でもまぁいいんじゃないかと思います。また、転売目的の投機ですが、日本の山林も広いですから、(東京のタワマンなんかと違って)実需の妨げにならないようにも思われ、固定資産税を払ってくれる(なら)お客さんと言えるかもしれません。

>東京農業大学の関岡東生教授は、人工林のうち「大まかに7〜8割は放置林ではないか」と話す。安値の海外材の流入、大規模化の遅れ、高級木材頼みの経営など、要因は様々で「どこから手をつけていいか分からないほど複雑で深刻だ」と話す。

まぁ林業は息の長い産業なので、出来ることは限られていると思います。今、成長している木をどう利用するかが中心の課題になると思うのですが、利用できないなら損切する必要もあると思います。今から木を植えて将来ペイするか考えると、勿論難しい問題になると思いますが、一つの考え方として、どんな木が世界で植えられているか=供給から逆算するのは一つの手法かもしれません。即ち、供給が見込める樹種を今から植えても競合してペイしない可能性が高いです。世界でペイしている林業は大陸の適地の林業でしょうから。よって(熱帯雨林の収奪林業とか)問題のある林業にターゲットを絞って、競合する樹種を植えたらどうだろう?となります。スギもいいんですが、需要が供給を上回っているから、林業の衰退が言われる訳でしょう?だったら、他の樹種を植えるしかありません。また天然林や放置された人工林の木の活用(チップになる?)も考えていいと思います。どうせまた生える訳ですから。

>国も森林整備の財源となる森林環境税を導入し、花粉症対策を掲げてスギの伐採・活用の促進策も打ち出す。官民挙げて対策を急ぐが、活用は道半ばで「宝の山」のイメージとの差は大きい。

森林環境税(1人年額1000円)の問題は小さくありません。額は大して大きくなくとも、上手く利用できないと批判は必至でしょうね。日本の国土の多くは山林です。上手な活用が望まれますが、損切で花粉症対策するのは、一つの考え方だと思います。合成生物学の林業への適用/研究とかも考えていいかもしれませんね。


山林と言えば、動物が住んでいるところですが、今話題なのが熊です。続いて熊について考察してみます。

過去最悪ペースで人を襲うクマ 「2010年問題」追う専門家に聞く(朝日 2023年10月26日)

>環境省の2018年の分布調査によると、クマの分布域は04年と比べて40%ほど広がっていました。九州は絶滅していますが、四国以外のほとんどの生息地で拡大しています。人的被害も1980年代は年平均12人でしたが、2010年代は平均96人、20~22年度は平均107人でした。
>――クマの急増は2010年代のこと。里山の変化とタイムラグがあるようだ
>例えば、シカは、早い時期から増加と被害がクローズアップされてきました。繁殖率が高い動物で、かつての里山に戻る反応が速かったと考えられます。多産なイノシシはもっと速いサイクルです。しかし、クマは動物園なら20~30年ほど生きます。子どもも2、3年に1度しか産みません。その分、進出も緩やかだったかもしれません。

どうも増えている原因は中山間地域の衰退/ハンターの減少による自然増のような気がします。鹿の増え過ぎは以前に話題になりましたよね。要は鹿に遅れて熊も増えたということなのでしょう。猪や鹿と違って、熊のジビエはあまり聞きませんし。

まぁジビエを普及させるなら、食中毒の問題が言われ、よく加熱する必要があるんでしょうが、放射線照射も選択肢に入れていいかもしれません。水産物で言えば、アニサキスなんかは放射線に対する抵抗性が高いようですが、海外では当たり前の食中毒対策「放射線照射」 消費者にもメリット…日本ではなぜ使えないのか(産経 2018/8/10)によれば、牛肉でも何でも照射すればいいのかもしれません。牡蠣なんかも放射線照射で食中毒が無くなるなら、大歓迎でしょう。日本に放射線アレルギーはあるんでしょうが、合理的に研究する必要があると思います。

ともあれ、本州・北海道はハンターを増やせば?といったところですね(個人的には森林環境税も流用していいと思います)(狩猟税をとっている場合?)。九州のように絶滅、四国のように減らし過ぎて回復困難なところまで追い込めとは言いませんが、適度な生息数にまで減らせば、人里まで降りてくることは少なくなるんじゃないかと単純に思います。林業を守ることにも繋がるかもしれませんしね。対処療法では熊は増える一方だと思いますよ。

変温動物である魚の漁獲量を最大化していく方法

2023-09-25 17:56:20 | 農林水産
日本の漁業の未来ですが、漁業とは海の狩猟でどうしても獲り過ぎ問題がつきまといます。どうしても獲り過ぎると収穫が減っていくんですね。ですから、漁業権があり、獲り過ぎを抑制するようになっているはずですが、魚群探知機はそれでも獲り過ぎを促進している情勢です。担い手が増え、水揚げが増えれば増えるほどいいと単純に言えない自然の収穫に依存する商売とも言えます。ですから、ほどほどの収穫で、漁獲高を寧ろ上げていくようにするのが産業として持続する条件です。

ですから、単純に復興支援で福島の水産物が売れたと喜ぶことは出来ません。獲れば獲る程いいとか、何なら福島産に偽装してまで売るのようなことは(各地域のブランド育成上)有り得ない訳で、まぁ買ってくれて有難う、獲れたものが売れたら品切れです、ぐらいの感覚でいいはずです。中国向けのホタテなんかは在庫が積みあがっているらしく、こういうのは何とか国内で消化したいですけどね。廃棄するんじゃもったいないですから。中国向けホタテは殻付きと言い、まぁ直ぐには対応できないのかもしれませんが、その辺は中国リスクということで我慢してもらうしかないと思います。でもホタテも生鮮食品ですから、鮮度の問題はありそうです。(スーパーに殻付きで並べるのは妥当でないか知りませんが)料理人・魚屋の腕は何のためにあるのかとは思いますが。

魚は特定の魚種で獲れる年と獲れない年があるようです。この原因ですが、私は(魚は海水温の変化に非常に敏感とされ)魚が変温動物であることと深く関係していないかと思っています。同じく変温動物の昆虫とかカエルとか大発生したりしますよね。変温動物は気候変動の影響を受け易いと思われ、魚なんかは水温の上昇と共に北に移動したりすると言われます。研究者も魚の漁獲量の変動に頭を痛めていると言いますが、省庁横断的に環境省の知恵を借りられれば、問題の真相に迫れる可能性もあります。いずれにせよ、漁業のあり方としては、獲れた魚を食べるのが良いと思われ、「時価」といった獲り過ぎを防ぐ魚食文化の発展が必要になってくるだろうと思います。食べてしまえば品切れとかでいいんですね。回転寿司とかの話ですが。回転寿司は明朗会計の安心感で発展したとも言われるようですが、多く獲れた魚を安く、あまり獲れなかった魚は高くするのは、本来理に適っています。時価と言っても事前に値段が分かっていればいいはずではないでしょうか。

ただ何時もの魚が何時もの値段である安心感はあるかもしれません。従って農業類似の養殖業も重要だとは思います(ただし水温が上昇したら、養殖する魚種を変えなければならない可能性はあるかもしれません)。遠洋漁業や魚の輸入もいいんですが、日本の気候で出来る養殖業を海外に委託するのは、食料自給率/食糧安全保障の観点から適正化という視点は有り得るでしょう。また稚魚の放流の効果を環境省の視点から見るのも重要かもしれません。

気候にあった農林業の可能性

2023-05-22 05:49:53 | 農林水産
有機野菜は割高でも売れる? ドイツの大臣、滞在延長して農園を視察(朝日 2023年5月20日)

ドイツは高緯度の大陸国なので、その意味であまり参考にならない気はしますね。

日本の農業は高温多湿で特殊でしょうが、太平洋諸島も高温多湿と思われ、農業をやってもらうのはアリかもしれませんね。日本はトンガの農業に関与しています。まぁ輸出市場として中国とかになりかねないとは思いますが。

ドイツの林業は日本より面積が狭いにも関わらず、2倍の木材生産量を誇るようではあります。まぁ地形が急峻でないというのはあるんでしょう。

地形が急峻にも関わらず、林業が黒字なのはスイスとされます。

世界の森林が減少を続ける中、日本は林業を捨てるべきではないと思いますが大赤字です。

日本の樹種にあった林業を創出しないといけないんでしょうね。日本は照葉樹林帯と落葉広葉樹林帯が主で針葉樹林帯は北の方に偏ります。日本の林業はスギ・ヒノキ(針葉樹)に偏っているのですが、気候に合わないんじゃないかという気はします(だからコスト高?)。今はパルプも広葉樹でいけるとかで、手をかけない林業でパルプを生産するとかどうでしょう?放っておいたら生えてくるものが売れれば、コストをあまりかけずに木材を生産できると思う訳です。手間暇かけても海外産に勝てなければ(今凡そ勝ててないみたいですが)採算割れになってしまいます。

スギやヒノキの大量植林がどうにかなれば、花粉症の問題もどうにかなるでしょうし。放置系林業(?)が軌道に乗れば、森林環境税を廃止(減税)することも考えられるでしょう。スギやヒノキは間伐が必要みたいですしね。大体、スギやヒノキの大量植林以前はどういう木材利用だったんでしょうね?法隆寺はヒノキと言い、スギ・ヒノキも悪くないと思いますが、適した気候があるような気もします。スギは雪に強く、秋田県が適地とか、宮城に天然林があるとか。杉は天然では中々生えてこないと言い、苗から育林しているようですが、そのコストが競争力の低下に繋がっているのではないでしょうか。屋久杉は有名ですが、標高500m以上の自生で、標高が100m上がるごとに気温が約0.6~0.7℃下がるようです。ヒノキは雪に強く、太平洋岸に自生とか。いずれにせよ、人工林のほとんどが針葉樹林で、天然林のほとんどが広葉樹林というところに日本の林業復活の鍵が潜んでいるような気がしてなりません。

鳥インフルエンザ雑考

2023-04-30 09:53:27 | 農林水産
卵不足、GWの土産需要直撃 「白い恋人」品薄続く(日経 2023年4月28日)

明らかに鳥インフルエンザが(卵の)物価にまで影響していますよね。普通にワクチンで何とかならないものかと思ったのですが、ウィキペディア「鳥インフルエンザ」では2011年2月現在の情報として、海外のワクチンを使用した地域ではウイルス撲滅に成功しており、養鶏業界からはワクチンの接種を認めるように求める声が高まっているとしています(ソースなし)。

アメリカではワクチンを検討しているみたいですね。

参考:猛威を振るう「鳥インフルエンザ」に対抗すべく - Wired Japan

厚労省 鳥インフルエンザA(H7N9)に関するQ&A では「現在、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに有効なワクチンはありません。」としていますが、感染予防効果が認められていないことを言っているのか疑問があります。ヒトへの感染が懸念されているため、厚労省が出張ってくるのは分かります(食品安全を厚労省はやる必要があります)が、獣医学は農水省の管轄のような気もします(農水省 鳥インフルエンザに関する情報ではワクチンに言及していません)。家畜は殺処分も可能な経済動物です。

ただ、変異ウイルスの常在化が懸念されているようですね。

参考:鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス - 内閣官房

しかし、コロナで分かったのは、ウイルスが増えると自然に変異が発生するということではないかと思います。ウイルスをワクチンで少しでも抑えるのが重要では?

なお「パンデミックウイルスの出現を監視する上で非常に重要な知見」は既に得られているようではあります。

後はコストの問題ですね。ワクチンが安いのか、現状/殺処分が安いのか、新しい挑戦/分割管理が安いのか。

[農家の特報班]鳥インフル、重い全羽殺処分 「分割管理」は可能か(日本農業新聞 2023年4月5日)。

しかし何故最近鳥インフルエンザが猛威を振るっているんでしょうね?変異ウイルスのせいかもしれませんが、起源や歴史に迫るのも重要かもしれません。

鳥インフルエンザの流行、2004年 国立感染症研究所・感染症情報センター 岡部信彦

「家禽ペスト」という形で昔からあったようではありますが。鳥の飼育が高度化した(密になった)せいもあるんでしょうか。

抗生物質の耐性株の出現は大きな問題ですが、ワクチン耐性ウイルスの出現はインフルエンザの例を見る限り、大きな問題ではないような気もします。今の効果では集団免疫には達しないかもしれませんがね。これに対して感染による免疫の効果は比較的高いかもしれません。ワクチンと感染と何が違うんでしょうかね。感染による免疫は問題が大きいからワクチンに頼る訳ですが、感染による免疫のいいとこどりが出来ないか今後の研究に期待したいところではあります。




ウッドショック、森林環境税、日本の林業

2023-02-27 14:16:58 | 農林水産
ウッドショックは落ち着いた?原因や影響、2023年の見通しだといつまで続く?(スペースシップアース 2023年1月29日)

>2023年1月29日・・・林業は長いスパンで行われる産業で今行った施策が結果に繋がるまで長い時間がかかると認識していますが、世界的な森林減少傾向に歯止めがかからない現在、日本が木材需要を出来るだけ国内で賄うことは重要なんだろうと思います。地方の活性化にも繋がる。世界的に供給が減った時、日本の供給が機能しなかったことに大きな問題意識があっていいとは思います。

1人1000円取られる税金 なのに活用されない!? 森林環境税とは(NHK 2022年11月24日)

森林環境税が有効に活用されることを期待します。人口規模で都市部に配るのは違うような気も。需要政策に税を使うのは疑問ではあって、世界の需要を満たし森林減少を食い止めるための供給政策を重視するべきではないでしょうか。林業で応益負担は疑問で応能負担でいい気も。林業が地方で雇用を増やし、少子化対策に繋がる「給与水準」が実現することを望みます。

海水温の上昇で獲れる魚種が変わっている?

2022-10-11 22:44:53 | 農林水産
あの魚が食べられなくなるかも 温暖化で日本の海が激変!?(NHK クローズアップ現代取材班 2022年10月11日)

 漁獲量を見れば日本が魚を獲りすぎているか基本的には分かると思いますが、魚種が変わって魚が獲りにくくなっている可能性も考えられはしますね。日本近海の海水温の変化は100年で+1.19℃で世界平均の+0.56℃より大きいようです。これ自体、何故か興味がありますね。この理論だと海面養殖業に影響もありそうですね。採れる魚種が変わっているなら、特定の魚種に依存する街づくりにも影響が出ざるを得ません(函館の名物のイカの漁獲が激減しているとか)。次々に流行りのテーマに飛びつくのではなく、このテーマで深堀りしたら面白いのでは?個人的には動きながら観測するのは難しいので、定点観測がいいと思いますよ。
 日本は欧米に比べて環境意識が低いのか知りませんが、グリーン産業は育ってはいないようです(だから前政権で力を入れようとしたのでしょう)。いずれにせよ、低炭素を本気で目指すなら、原発は避けられないと思いますよ。日本は資源小国でもありますし。地震国であることは重く受け止めるべきですが、怖がるだけでなく(不安商法は悪徳商法)、前を向いて政策をやるべきではないかと個人的には思います。

種苗法改正見送りについて

2020-05-21 20:24:53 | 農林水産
 種苗法改正は育種家を守るということで期待していましたが、今国会での成立が見送られたようです。⾃家増殖とは、農業者が収穫物の⼀部を次期作付⽤の種苗として使⽤することをいう(農水省)ようです。農業者が登録品種を含め広く自家増殖していることが見送りに繋がったようですが、権利が無い一般品種の自家増殖は自由に行っていいとして(それが購入とどちらが効率がいいかは知りません)、登録品種を自家増殖されると一度買えばコピーのし放題となって、育種家が儲けようがないことは明らかです。本なんかだとコピーに労力がいるので、実際に丸々する人はそうはいないでしょうが、自炊の問題なんかはありますね。専門書なんかは馬鹿高かったりもしますが。確かに登録品種を栽培している農家にとっては負担増になるかもしれません。しかし今まで育種にとてつもない労力がかかっている新品種を安く栽培できたことに感謝してもいいような気がします。登録品種だって、栽培してくれなかったら儲けにならないのですから、そうそう馬鹿みたいな値段をつけるとも思えません。誤解があるかもしれませんが、育種家は公共団体に限らず、個人も多いようです。育種家が適切な対価を得られるようになれば、今後素晴らしい品種が生まれてくる可能性もあります。
 付け加えて言えば、国会で的外れの批判や擁護が目立つような気もします。何でそうなるのかは良く分かりませんが、互いにあさっての方向を撃っているとすれば、国会が言論の府として機能するはずもありません。議論が分かれる問題はあるでしょうが、議論にならずに流れるなんてことは勘弁してほしいものです。与党側にせよ野党側にせよ理解が深まらないという言い分も言い訳めいており、理解を深めるのが国会の議論だと思うのですが、パフォーマンスに終始する国会に期待するのが馬鹿げているということでしょうか。勿論国会議員の方で少なくとも担当者は理解していると思いますよ。さすがに。きっと。多分。そうだとしても、関係者・一般に理解を広げるのが国会だということでしょう。一知半解という言葉もありますし、筆者も勿論よく理解している訳ではありません。それにしたって、一々個別に指摘しませんが、議論になってない部分は見て分かりますし、酷いんじゃないかと思った次第です。

種子法の廃止並びに松前町の食と課題:松前町議会(12月11日 総務産業建設常任委員会から)

2018-12-11 14:15:56 | 農林水産
イネ「こんなにいろいろあるんだ!」(農林水産省)

松前町(マサキチョウ)議会を初傍聴。前半の議題は種子法の廃止関連で農業の話題でした。決議は非採択。そういう訳で、議会での議論をベースに農政について記事にしておきます。

主要農作物種子法(衆議院)

>(目的)第一条 この法律は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他助成の措置を行うことを目的とする。
>(定義)第二条 この法律で「主要農作物」とは、稲、大麦、はだか麦及び小麦をいう。

結局、優良な種子の生産及び普及の促進を目的に助成するための法律が種子法です。これが撤廃されることにより、優良な種子の生産及び普及を目的とした助成ができなくなる訳ではないでしょうが、特にそれをしなくとも法律を大義名分に助成を要求されることは無くなるんだろうと思います。廃止に反対の記事がネット等で見られますが、特に反対する理由はないように思います。

また、稲・大麦・はだか麦・小麦に関しての話であり、果実や野菜に元々種子法は関係ありません。にも関わらず反対論によるデマが流れることもあるようです。

参考:種子法廃止についてデマや勘違いを解説します(Togetter)

上記記事でも指摘されていますが、種子法に基づき都道府県ごとに開発され続けるブランド米ですが、いい加減米の需要も減っているのに何時までもこの法律を撤廃しなかったことこそおかしな話です。食糧難の時代に制定された法律を今まで維持してきたことが脅威的とも言えますが、ようやく安倍政権が重い腰を上げてくれたということなのでしょう。 新潟・埼玉・兵庫は種子法廃止に伴い、独自に条例を制定したようですが、そういう県があってもいいんだろうと思います。新潟なんかは日本を代表する米処ですしね。今後、新潟県が創り続けるブランド米が市場を制していくのかもしれません。まぁ米に限らず、公金を投じて各都道府県が創造しつづけるマニアックな新品種が日本にとってどう役にたつのか、お手並み拝見といったところなのでしょう。それはともかく、種子法が無くなり、内心喜んでいる首長は案外いらっしゃるのかもしれません。農業界は基本反対なのかもしれませんが、猫も杓子も米の種を研究するという時代では少なくともありません。

日本がこれまで開発してきた種子には優れたものも多くあるんだろうと思います。議会では穀物メジャーを批判する意見が見られましたが、日本は日本でその遺産を活かして世界で商売すればいいのではないでしょうか。種子法がありながら(公金を投じながら)、穀物メジャーのような存在が日本で見られないことこそ問題でしかありません。自由貿易の推進は強い日本農業を目指すのであれば、寧ろチャンスと言えるではないでしょうか。特許料で稼ぐだけのネタは日本にあるのでは?

また、議会でも指摘されていましたが、安全性に関する誤解もあるようです。種子法廃止の問題点と指摘されている食品安全に関しては、食品衛生法の領域なのであって、種子法廃止に関係あるとは思えません。米は日本古来より親しまれている基本農産物なのであって、今更安全性も何もないものです。寧ろあえて言えば種子法に基づき開発される新品種こそ危険性を完全に否定しきれないといったところでしょう。

ただ、公金が断たれ、種子が高くなる可能性はあるのかもしれません。議会で指摘されているように食料自給率の問題もありますし、先進各国同様、農家に対する補助は必要だとは思います。でも、それが種子法による必要はないと思います。今まで幾らなんでも需要を見ずに惰性で公金を投入しすぎたと考えます。残念ながら(バラ撒きはあまり好きではありませんが)、直接所得補償した方が効率的なのは間違いありません。

更に食料自給率の問題ですが、緩やかな減少傾向にはあって、懸念があるのは当然だと思います。ただ無条件無闇に公金を投入できる時代でもないと思います。種子法廃止で食料自給率の更なる減少の懸念がなくもないでしょうが、根本的には農地転用に関係する制度が食料自給率に深く関わると考えられます。農家が農地を売却して宅地にしようと思っても、自由に宅地にできる訳では現状ありません。これが食料自給率を維持するための根本規制だと思います。農地が自由に転用されれば、確かに食料自給率が危機に陥る可能性はあります。しかしそこに手をつけない限り、農地は基本的には維持されると考えられます。問題は農地があっても、人がいないケースです。賃上げでどうにかできるなら、賃上げすればいいと思いますが、農業だけが人手不足でもありません。また、人が減っても生産性を上げることで、食料自給率を維持することは可能です。農業界こそ問題点を整理して、政府に何を求めるか冷静に考えてみてもいいのではないでしょうか。筆者としては生産性を上げつつ担い手を確保していく現状の安倍政権のやり方を推進していくのが、日本にとって望ましいんだろうと考えています。

なお松前町で穀物と言えば、愛媛県松前町ははだか麦の生産でも知られます。松前町のはだか麦を支援するプロジェクトがこちら(愛媛県松前町『芽吹きと実りのはだか麦』プロジェクト~:愛媛大学)。

個人的には松前町の食と言えば、味噌が気になっています。ギノーみそは地元の有名ブランド。味噌は日本の食で欠かすことが出来ないスーパーフードです。

また、お隣の伊予郡仲間の伊予市にはかつお節やダシで有名なヤマキが存在します。「調味料×伊予郡」を狙ってプッシュが筆者は面白いと考えます。

松前町で食と言えば、シラス(稚魚)もよく知られるところです。筆者の好物でもあるのですが、現時点では知見もなく、今後の課題としたいと思います。松前港は加藤嘉明公が足立重信に軍港として整備させ、そこから朝鮮出兵したという歴史もあるそう(松山城を築く前は松前城が拠点でした)。中々難しそうですが、松前の港や漁業をどう考えるかという問題もあるような気はします。

後、町議会の傍聴で知り合った人に聞いて考えましたが、松前町の今の課題として、ショッピングモール「エミフル」とどう共存していくかがあるようです。いずれ取り組んでみたい課題です。