MSN産経ニュース(「普天間のグアム移転は無理」 鳩山首相、ラジオ番組で)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091226/plc0912261758011-n1.htm
>鳩山由紀夫首相は26日、ラジオ日本の番組収録で、米軍普天間飛行場=沖縄県宜野湾(ぎのわん)市=の移設先について「抑止力の観点から見て、グアムに普天間のすべてを移設させることは無理がある」と述べ、米領グアムへの移設の可能性を否定した。移設先をめぐっては、連立与党の社民党がグアムへの移設を主張している。
とりあえずグアムへの移転は無くなったみたいですよ(どうだかという気もするが)。それは一歩前進としても、気になるのは社民党がスケープゴートになるのではないかということです。私には民主党が問題の根源としか思えないので、あくまで追及します。
民主党のマニフェストを見てみましょう。51番に「緊密で対等な日米関係」を築くとあります。これがクセ者です。私も特にアメリカにへつらう必要があるとは思いませんが、民主党の自民党外交が従属外交だとの認識に基づく批判がむしろ問題で、勝手に勘違いして勝手に批判して勝手に自爆したのではないかとは思っています。
MSN産経ニュース(【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 「対等な同盟」論に欠けるもの)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091216/stt0912160227001-n1.htm
>普天間移設問題、日米地位協定「改定提起」論、はたまた就任前の外相発言、すなわち「米国は核の先制不使用を明言すべきだ」に見るように、「言うべきは言う」は花盛り。他方、「片務性」構造下でも「なすべき自助努力はなす」なら、日本の安全の対米依存は下がるし、その分、「対等」性に近づく。ところが、この面での首相、外相、民主党の決意表明はゼロ。ウソだと言うのなら、その具体例を挙げてほしい。
この記事はとても面白いというか、専門家に自らの気分を代弁してもらえた気がするので、私の主張に納得いかない方々はよく読んでほしいのですが、要するに対等を言うのはいいが利益だけ享受しようというのでは上手くいかないし、民主党は利益だけ享受しようとしているので上手くいかないということだと思います。私は昔(民主党に興味を持たざるを得なくなった安倍政権の頃)から民主党の対米追従批判に批判的というか納得いっていない(到底負担をお願いというか説得できると思っていない)ので、それが断固自民党支持者である理由のひとつ(明らかによりマシ)なのですが、これまでの歴史的経緯・文脈を無視して外交・安全保障が成り立つわけがありません。首相がトップであるという事実がある国内問題と違い、外交問題はそのような力学が働かないので、過去の積み重ねが極めて重要ということです。結局のところ民主党は対等な日米関係が軍備増強を意味することに本当には気付いていないのではないですか。気付いていれば安易な従属批判など出来たはずがありません。
マニフェスト51番に戻ると、「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍のあり方についても見直しの方向で望む」とあります。失笑モノなのは米軍再編のあり方を見直すという部分です。第七艦隊発言騒動(撤回に追い込まれました)も記憶に新しいところですが、対等な日米関係の文脈(マニフェストにもあるように民主党自身の認識です)で米軍再編を見直す=政策的に言えばより日本が軍事に関与するということになるはずだということが分かっているとは思えないということです。これは小沢氏・鳩山氏・岡田氏らだけの問題ではなく、民主党には経験がないこと、左派が党内で強いこと(これは不可避)からも分かる話です。
ここで自民党の公約を見てみましょう。同じことを自民党はこう表現しています。
>在日米軍再編を着実に実施し、抑止力を維持すると同時に、沖縄をはじめとする地元の負担を軽減する。
米軍再編の着実な実施・抑止力の維持ということは現行案でいくしかないだろうと認識しているということであり(選挙後もブレていません)、沖縄の負担の軽減にもふれています。見直すところが何処にあるのでしょうか。少なくとも民主党より以前より一貫して分かっていることは確実だと思っていましたし、実際に危険のある現状を見るにつけ、間違っていなかったなと思うわけです。
普天間問題は大政党たる民主党問題であるということを示すより分かり易い証拠となる記事があります。
MSN産経ニュース(シュワブ移設反対を確認 沖縄選出の民主議員ら)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090907/plc0909071844006-n1.htm
>沖縄出身の民主、社民、国民新、無所属の国会議員7人が7日、那覇市内で会合を開き、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に関し、同県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画に反対することを確認。3党連立協議の合意事項に盛り込むよう、それぞれが各党に働き掛けることを決めた。
沖縄選出の民主党議員が明白に関与しています。出来もしない甘い認識で沖縄県民の期待を煽ったと言っても過言ではないと思います。国民の支持が厚い大政党民主党でなければ、そうそう期待が煽られることもなかったと思います。結局3党合意文書には民主党マニフェストと同じ文言が載っているという事実があることも指摘できます。まだあります。
MSN産経ニュース(「民主党にだまされた」 沖縄県民に広がる鳩山政権不信)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091129/plc0911292214015-n2.htm
>県内の自治体首長経験者は「民主党は衆院選で『県外』を訴えたが、具体的な構想が全くなかったわけだ。あてもなく、ただ『県外』を強調し、反自民を印象づけることしか頭になかった。沖縄県民に過度な期待感を持たせた罪は大きい。沖縄はかわいそうだとか、口先だけの同情の声は出るが具体的な考えは全くない」と語った。
民主党が沖縄県民の感情を選挙で煽って結果として悪化させているという流れは明確だと思います。これを挽回するには針の穴にロープを通すしかない。現行案プラス沖縄・地元の負担軽減のような自民党と全く同じアイディアで今更挽回出来るはずもありません。
>平成11年、辺野古への移設受け入れを表明した稲嶺恵一前知事は「当時、県外が望ましいが、その可能性がないとすれば、苦渋の選択をしなければならなかった。7カ所ぐらい候補地を上げたが、結局、辺野古しかなかった。早期に普天間から移すことが優先された」と辺野古移設案の経緯を話す。
これで名護市長選で反対派候補が勝ったりしたら目も当てられません。鳩山首相が真剣に日米同盟を考えるなら、5月と言わずに、名護市長選の前に過ちを認めて現行案で決着させる決断を下すしかないと思います。無論、意見が近いからと言って、反対派候補を支援して勝手に退路を断って国民を鳩山無理心中に付き合わせるのも止めにしていただきたい。針の穴にロープを通すのに失敗したらどうするのかということが一番聞いてみたいところなんですよね。なんとなく「私は頑張った。一緒に死のう。」的なことを言いそうな気がしてなりません。とにかく針の穴にロープ一点張りは勘弁です。党益より国益を優先してほしいと願わずにはいられません。今なら民主党代表が間違いを認めればどうにかなる問題でしょう。