観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

賢人論(武内和久氏中編)雑感

2019-11-22 15:42:54 | 厚生労働
「賢人論。」第105回(中編)武内和久氏(みんなの介護)雑感

>家族や近隣住民に金銭を給付して介護をお願いするというのは、大胆かつ画期的なアイディアだと思います。

良い方向性だと思います。現実に介護離職という言葉もある中、正面から介護という重い課題に向き合う考え方ではないでようか。制度的には要介護認定にかかっており、継続的に専門家との何らかの関わりを持つことが必須条件かと思います。介護のアウトソーシングという訳ですが、率直に言って給付というシステムにモラルハザードの可能性も否定できない中、病気を無くすと医者の仕事が無くなるという一面もありますが、医療に近似する介護という仕事における高い専門性をどう確保するかという話ではないでしょうか?こうした課題をクリアできれば、犠牲に正当な報酬を与える政府の賢いお金の使い方になるのではないでしょうか?
>孤を味わう・・・急激な少子高齢化が進んでいる日本の現状では慎重に扱うべきテーマではないかと思います。逆に言えば日本という国は集団や子供を始めとした自分以外のものに対する犠牲を尊び過ぎているがゆえに少子化が進んでいるのかもしれません。子供の存在が重過ぎるがゆえに少子化が進んでいる可能性があるかと思いました。出産子育ての負担軽減が少子化問題解消に向けての大きいテーマという訳で、この問題では個人の問題にし過ぎない方が良さそうです。ただ人間関係が負担になる側面も必ずしも否定できず、弧を味わうというかメンタルヘルスと人間関係というテーマは重要課題でその一環として弧も部分的にあるのかもしれません。また考えることは孤独な作業で実現には調整も必要でしょうが、その前提として個人が考えておくことは重要かもしれません。多分実務に携わる人・携わってきた人・忙しい人には独りになる時間も必要なのかと思いました。そして忙しいことに慣れている人は、そうでない時間が必要としても戸惑うのかもしれず、そうであれば心構えは必要なんでしょう。

>デジタル面での医療介護のプラットフォーム化は、中国などに比べると、日本は愕然とするほど、遅い。

何とも残念な話です。金融緩和以前は日本全体で顕在化してなかった人手不足問題が背景にあると思いますが、こうして一定程度経済が回るようになってみると、人手不足傾向で業界同士で人の奪い合いをしていても始まらないということが分かってきて覚悟も決ってきたのではないしょうか。やれば日本は早いと信じます。

>在宅医療

隣接する資格等に規制緩和でどう開放するかという話でしょうか。忙しい仕事に新しい仕事は無理ですが、仕事を抱えたがる向きがあるとしたらどう説得するかかもしれません。医療は高いモラルと技術が要求されると思いますが、どこで過剰な完璧主義から解放され、現実とのバランスをとるかなのかもしれません。

>薬剤師の有効活用

医療従事者としての原点を確認することは重要なのかもしれません。医療は病気がないことが(完全な実現は無理にせよ)理想で警察や自衛隊も同様の面があります。一方で薬売りは販売業にも通じる面があって、これだと薬が売れてくれれば病気があった方がいいに変な話ですがなりかねない危うさがあることは否定できないと思います。薬剤師は資格ですから、当然に販売業者としてより医療従事者としての高いモラルが期待されています。薬が売れるより病気が治った方がいいという訳ですが、現実的には医療との連携で処方箋も出る形式になっているはずです。ですから本質的な業界の特性から、どちらかと言えば予防/健康の視点から逆算するより、医療の原点に返りながら考えた方がいいのではないかと思いました。具体的には遠隔診療の窓口としての薬局という考え方はないかと思います。医療機関は基本的には日中にしか開いてないことで潜在的なニーズに対応できていないと考えるからです。これに対して薬局の方は資格を持っている方が夜にも対面で働いている現状があります。また現状では武内氏の指摘にもあるように資格を持っているだけになっており、せっかくの知識がもったいない現状があるようです。業界の特性もありますから、ただ単に規制緩和という訳にはいきません。ただ現状で診療→処方の流れですから、それを前提に考えると薬局だけが開いていても診療はどうするのということになるということです。他に具体的には医療との兼ね合いですが風邪薬の販売等でかかりつけ医的な働きができるか、睡眠薬の販売等、現代的な問題に対して相談に乗れるかといった現代社会の生活と薬という地域に密着したアプローチはあるかもしれません。医療に対する相談のハードルが高く悩みが放置されている可能性が考えられるからです。また健康と薬で言えば、医療用ビタミン剤もあるようで、健康管理士の資格取得などで(一般に隣接する資格や経験があれば、難易度が下がる措置があっていいように思います)、診断できる可能性を探ってもいいのかもしれません。ビタミン剤の乱用などの問題が現状であるように見受けられるからです。基本的には忙しい医療の仕事の負担軽減でどうアウトソーシングするかというかという発想になりそうですが、必要な診断のプロセスがカットされたら不味いという実務的な話なのかもしれません。前提として例えば電子カルテ規格統一化の話もあり、医療の情報化が進んでいないという話も聞いたことがありますが、サイエンスとしてこういう症状はこうというノウハウが共有されていないと進む話も進まないと考えます。診断には高度な知識や経験が必要としても突き詰めると(成熟すれば)細部で話が食い違うはずがないと思え、個の経験に依存しすぎた医療があるとすれば研鑽は必要としても寧ろ危険のように思えます。

>予防歯科医療。健康診断でもチェックされない現状はおかしい。予防が見えやすいし、因果関係もつかみやすい。

その通りなんだろうと思います。歯科医師法と医師法が分かれていてある種の離れ小島のようになっているのかもしれません。隣接する業界は必要な部分は統合していくことが一方で重要であり、放っておくとおなざりになる政治の仕事の範疇なのかもしれません。セクショナリズムの壁は何時でも重要なテーマでしょう。

※筆者のfacebookコメントの再録

神武天皇から例外なく男系継承というのはどちらかと言うと誤り

2019-11-19 19:07:42 | 皇室・日本文化
 神武天皇から例外なく男系継承というのはどちらかと言うと誤りですね。何処が例外かと言えば持統天皇から文武天皇が例外です。草壁皇子から男系と言えなくもなく、天武天皇から男系とも言えますが、順番的にも明らかに持統天皇から女系継承しています。従ってややこしいですが、元明天皇・元正天皇・聖武天皇も広い意味で女系継承と言えそうです。他に天武天皇の血筋は幾らもいたことが理由ですが(例外なく男系継承なら有り得ない継承の仕方です)、持統天皇の血筋だけが淳仁天皇まで正統だったと考えられます。これは筆者の特殊な見方というより、当時の正統的な見方だったでしょう。日本神話は明らかに女系継承が含まれ、日本書紀最後の天皇は持統天皇です。元明天皇・元正天皇は中継ぎと言われますが、そうではなく即位しています。仮のトップとは神功皇后のように摂政を指すはずで、中継ぎ投手が正式な投手であるように、元明天皇・元正天皇も何ら他の天皇と変わることがない正統性と力があったと考えられ、古事記は元明天皇の命で成立しています。この見方で孝謙天皇も女系ですが、孝謙上皇は問題なく淳仁天皇を廃嫡にしています。これが例外なく続いた男系継承の皇室の出来事でしょうか?
 神武天皇から続く皇子・皇女(推古天皇・皇極天皇)による継承を男系継承と捉えることが許されるなら(そういうことは何処にも書いていませんが)、持統天皇に関係する(息子の妃である妹を含む)皇子・皇女による継承を女系継承と言って何ら差し支えないと考えます。まぁ持統天皇からの継承は天武天皇からの継承と読み替えることは出来はしますが、虚心坦懐に見て持統天皇を中心とした女系継承が行われていたことは疑いないところです。要は第41代持統天皇から第42代文武天皇への継承は祖母から孫への女系継承と解するしかなく、事実持統天皇の子でない第40代天武天皇の子孫は皇統を継ぐことは出来ませんでした。淳仁天皇が皇統を継いだのは元正天皇から女性天皇が未婚になったからですが、持統天皇から遠くなりなし崩し的に始まった女系継承がなし崩し的に男系継承に戻っていったとも考えられます。持統天皇は上皇の嚆矢(史上初の太上天皇)でもあり、要するに持統天皇が例外そのものです。天武天皇が崩御した後、大勢いる皇子に継がず、皇后が即位したことが例外の始まりでした。持統天皇そのものは男系とも言えなくもありませんが、男系天皇すなわち天智天皇の子として即位したのでは全く無く、天武天皇の皇后として自分の子孫に継ぐため(女系継承するため)即位したのは明らかです。
 養老律令は双系を定めた規定(女系を容認した規定)と読め女系継承があった傍証になります。結局臣下の継承方法がありますから、男系継承に戻るしかなかったのかもしれませんが、女系継承が無かったということは出来ません。
 そもそもは神功皇后の摂政も推古天皇の即位も全くの例外であるに違いありません。神功皇后は何故摂政となったでしょうか?開化天皇の子孫だからでしょうか?仲哀天皇の皇后の資格で摂政となったのではないでしょうか?推古天皇の即位もそれ以前に女性天皇の即位があったでしょうか?物事の始まりは例外であるものです。ルールが明文化されていたらそのルールと異なるものは違法です。明文化されていてもルールを変えることでそれまでと異なるやり方が成立します。例外とはこういう厳密なやり方ではない曖昧なやり方ですが、正に持統天皇が例外であるということです。

コンビニの商圏とロードサイド

2019-11-15 19:52:16 | 経済財政
コンビニはロードサイドに向かない?(Yahoo知恵袋 2011/9/20)

>駅前や都会のコンビニは粛々と営業しているのに、ロードサイドのコンビニはつぶれて廃墟になっています。なぜですか?

>ロードサイドの方が競合が激しいのかもしれません。もともと人口自体が都会に比べ、少ないと思われるところに、みんな自動車に乗るため、少々遠くてもスーパーなどに行ってしまうケースも多いのではないでしょうか。

 コンビニの商圏が狭いと言われる理由がようやく分かってきました。賃料と広い商圏のバランスでロードサイドはそんなにコンビニ向きではないんでしょうね。ロードサイドの24時間に一定の需要はあるとは思いますが。ゆえにテナントよりオーナーを募るフランチャイズの方が特にロードサイドではいいんでしょう。ロードサイドのテナントには早期撤退されると、中古不動産が残ってしまう問題があって、フランチャイズならそういう心配があまりありません。逆に言えば代わりが直ぐに見つかる都市部ではテナントでもありそうですが)。廃墟となっている店舗がロードサイドに多いとすれば(廃墟は何処であっても、政策的問題の一つではありますが)、特有の問題を解決していかねばなりません。
 筆者は国道レベルの典型的なロードサイドにおいて、あまり廃墟のロードサイドという問題意識がなく良く知らないのですが、新道に対して旧道への出店が難しい傾向があるよう(出退店が激しいよう)に思っています。だとしたら、基本的な解決策は賃料下げだと思います。また、新道・新店が出来て苦しくなるのようなリスクが一定程度あるなら、フレキシブルな店舗の方が望ましいと考えられます。新道リスクはそうはないと思いますし、賃料下げで一部対応可能かもしれませんが、人気の新店が現れるリスクは予想が難しいですし(競合する新業界も含みます)、広い商圏を前提としたニッチな商売はまず当たるかどうかを事前に判断するのも難しいのかもしれません。
 このニッチにはコンビニのような何でも屋でない限り、メニューによっては食の好みでレストランを含む可能性も考えられます。データをとって商売できれば、それで問題ないかもしれませんが、最初からデータは中々なく、当るかどうか分からないチャレンジシスクはニッチ(細胞部分)にあって然るべきの可能性も考えられ、新陳代謝の高さが必ずしも悪くとられるべきではないとも思います。amazonなんかがロングテールでニッチを取り扱っていますが、あれは総合商社のようなもので、amazon自身が小さな仕事をしている訳ではなく、小さな仕事の方にはリスクがあるかもしれませんが、それはそれでそういうものという話です。無論成功しないことが分かっていて出店する店舗はないのであって、商売は立地が一番重要とも言いますが、極力リスクを抑えたチャンレンジが出来ればそれに越したことはないと考えます。地価下落傾向が言われて久しいですが、賃料を保っていれば、一発逆転で何かあるという訳でもなく、ロードサイドの廃墟の店舗や入れ替わりの激しさでいろいろ考えてみた次第です。なお賃料と固定資産税の関係は検討していません。
 その話は以上ですが、一方でロードサイドにコンビニ同士の競合がない訳ではありません。同じ道で複数のコンビニがあるなら(大体あるでしょうが)、どちらの商品が魅力的かという勝負になります。当たり前の話に見えるかもしれませんが、これが狭い(徒歩圏の)商圏ではほぼ有り得ません。近いコンビニが単に有利だからです。あるいは商品が魅力的かというより、何となく入ったコンビニ、新店の機会に使い始めたコンビニ、何らかの広告やキャンペーンで入ったコンビニをずっと使うという形もあるかもしれませんが、その時は利益率というより、売上高・スケールメリットやそれに伴う商品開発力等が活きてくる可能性も考えられます。オーナーサイドに立ってみると、狭い商圏なら利益をただ重視する戦略になってくるでしょうし、広い商圏なら(賃料やオーナーかにもよるかもしれませんが)、スケールメリットを追及しておいた方が競争力があって利益もついてくる可能性が考えられます。
 PB全盛の今、商品力という視点も軽視できない要点の一つであり、その土地にあった品揃えは確かにあるんじゃないかと思います。この辺はAIとタグで発注革命が起きる可能性があるポイントではないでしょうか?(驚いてはいけません。昔はPOSなどなく全て手計算・電卓だったはずです)(無人店舗化に関して言えば、実証実験されていますが、当面ないような気はします。まず品物をどう補充するかの問題が大きく、フードの売り上げも結構メインで、それも調理ロボを入れるの?と思いますしモノをお客様が例えば落したら、コンビニロボットが補充するんですかと思いますし、お客様が手に取れない形にするなら、現状でも自販機を並べておけばいい話です。つまり人間のマルチさが勝るように思えますが、化石の発想なのかもしれません。

給油所、コンビニ併設可能に 規制緩和へ経産省会合(日経新聞 2018/2/22)

 今どうなっているか知りませんが、ガソリンスタンドは建設に1億円かかると言われており、多分オーナーがフランチャイズでやっていると思うのですが(調べていません)、入れ替わりの激しいロードサイドにおいて、継続的に営業できる店舗になるとも考えられます。GSの問題は急速な数の減少らしく、維持するためには無人化や他業種との併設を選択肢から排除すべきでないようには思えます。いろいろあるようですが、コンビニに限って言えば、ロードサイドに早朝需要がある場合、これを切るのはもったいないかもしれません(GSは計算して日中に給油できるかもしれませんが、今日食べるものは朝にその時買います)。また食品を扱うのでGSとそうは相性が良くなく、店にはよるかもしれませんが、ある程度専門スタッフが必要に思えます。コンビニで日用品はそうは動かないと言われ(何でもあるために置いてあるのだとか)、GS併設店でフルに何でも売るかの疑問もあります。逆に深夜時間帯にコンビニ店員がGSの番を兼ねることも出来るのかもしれません。こうしたチャンスを創出するのが規制緩和だと思うのですが。

不動産業界小考

2019-11-15 17:13:58 | 経済財政
中古住宅が売れないのにはワケがあった(ads.kaiteokou.com)

 記事の見解に全て賛同する訳ではありませんし、詳しくないアウトサイダーですが、不動産業者が早く売って早く手数料を稼ぎたいという見方が面白く、デフレマインドの一部か分かりませんが、保守的な体力勝負の取り組みが不動産業界にあったら、あるいは自律的な物価上昇に繫がり、面白いのかなとふと思いました。多分体力がないか、デフレマインドが安売り早売りの原因と考えられ、待てば高く売れるなら待てばよく、トレンドとしていい方向に行くと考えられるからです。業種が違っていい例えではないかもしれませんが、アメリカ西海岸のバンクオブアメリカは保守的で体力勝負の待ちの経営と何かで読んだ覚えがあります。経済で保守的で体力勝負の待ちの経営はあまりいいイメージがないのか分かりませんが、事によりけりで、焦って早撃ちするぐらいなら、ジックリ機会を待った方が望ましい業界もあるのかもしれません。
 住宅は高い買い物かつマッチングが重要と思います。AIが一定の選別をする流れは強まるかもしれず(誰が目も眩むほどの不動産の山から購入者にとってベストに近い物件を見つけてくることが出来るでしょうか?)、これ以上ない物件を見つけることが出来れば、顧客は寧ろ高いお金を出すと思う訳です。これがあるいは不動産業界の良いサイクルなのかもしれません。無論、早くに処分したいという需要を無碍にする必要がある訳ではありませんが、それにしたって精度の高いマッチングがあれば、まだしも高い値段で処分できるとも考えられます。
 ペーパー(サイト)だけを見て即高い買い物をする顧客はまずいないのであって、その他諸々街の不動産屋の仕事が無くなる訳では全くないのでしょう。ただ業務の一部がAIに代替されるとすれば、働き方改革に繫がり、労働生産性を上げて、日本経済に資するとも考えられます。
 そもそも不動産業は資本集約型ビジネスという説もあるようですが、それが業界の常識ではないのかもしれません。日本で資本集約型産業とされるのは重厚長大な第二次産業系の業界ばかりですが、資本がある方が適正な値上げ=ハイクオリティに繫がる(待ちの)業界を資本集約型と呼んであるいはいいのかもしれません。体力勝負と言えば、値下げ勝負のシェアを取りにくいく我慢比べ大会のようなイメージがあるような気がしており(それ自体必ずしも否定はできませんが)、それが一種のデフレマインドと言えるかは分かりませんが、まぁデフレマインドに確たる定義がある訳ではないようですので。

※筆者のfacebookコメントより転載。

躍進するインバウンドから

2019-11-15 16:33:38 | 日本地理観光
訪日客が過去最高 インバウンド取り込みで佐賀、青森が躍進(2019/09/11 J PRIME)

 2013年~2018年の訪日客数増加率が最も高かったのは佐賀県で6.75倍に増えています。タイの映画ロケを誘致したことなどが功を奏したようですが、タイは成熟しつつあるとはいうものの、だからこそ旅行する余裕があるとも言え、親日度ランキング1位で旅行先として日本は4位だそうですから、まだまだ潜在的に旅行者が伸びる国ではないかと思います。旅行先で多いのは東京でタイは暑いのであまり歩かず、公共交通網が充実している地域を選んでいるそうです。佐賀が伸びたのはロケ地を中心にしたツアー商品が人気だからのようですが、伸びる東南アジアをターゲットにする場合は、あまり歩かないを意識するべきなのかもしれません。同じく暑さで甘いものが好きなど特徴があって、戦略的な対応でタイ人に選ばれる観光地をつくっていける可能性もあります。タイ自体旅行先では日本の先輩とも言える観光大国で、インスタ映えする観光地が多いだけでなく、新しい観光スポットも強化されている最中のようです。貿易収支は日本の黒字で来てもらうだけでなく、こちらから行くという意味でも注目の国だと考えます。
 2位の青森県は台湾で注目があり、特に10,11月の奧入瀬渓流の人気が高いようです。台湾人の日本観光の最大の目的は風景・景色の観光だということですが、台湾の場合は緯度が高く四季がハッキリしてないから紅葉に注目があると見られます。漢民族で風景と言いますと、山水画が想起されます。山水画とは再構成した「創造された景色」なのだそうですが、矛盾するようですが、身近な自然というより、言わばある種不自然な自然に興味があるとも言えるのかもしれません。紅葉に関する観光需要は台湾に限らずあって、香港人は都市生活で(香港では自由に出来ない)サイクリングが好きなど日本の自然でノンビリしたい需要があるようです。グランピング(ラグジュラリーなアウトドア体験)需要もあるとか。対して台湾人は鉄道好きで紅葉だけでなく温泉や日本庭園といった日本文化に興味があるとか。タイ人にも紅葉ツアー人気があるようですが、やはり四季が明快でないところに需要があるのかもしれません。欧米人にも日本の紅葉ツアーへの注目があるようで、日本は長期休暇を利用した国内需要が比較的秋に少ないと考えられますから、観光地にとっては開発に取り組む意味は小さくないのではないかと考えられます。台湾人が鉄道好きの理由はよく分かりませんが、台湾は日本と同じく人口過密の島とも言え、観光の足としても鉄道が成功していることが理由として挙げられるのかもしれません。八田ダム(烏山頭ダム)に対する注目もあると思いますが、公共投資に対する興味があるとすれば、インフラツーリズムなんかも興味ないかのかと思わないでもありません。
 3位の香川は瀬戸内国際芸術祭に注目があるようです。芸術祭で検索するとさすがに瀬戸内が上位を独占していますが、東瀬戸内も自然環境や歴史と文化では負けていないでしょうし(芸術祭ファクターを脇におけばポテンシャルはあるという意味です)、種子島宇宙芸術祭なるものも2017年からスタートしているらしく、日本各地の地域の特色を活かした芸術祭が他にあってもいいんじゃないかと思います。瀬戸内芸術祭は3年に1度で春から秋にかけてのイベントですが、知名度向上による香川人気という波及効果があるらしく、瀬戸内芸術祭は成功事例として注目があるようですが、上からのトップダウンのボランティアを募るやり方ではなく、ボトムアップの瀬戸芸サポーターの「こえび隊」の役割が大きいとされています。住民主導で(傍観者にならない)自分ゴト化や地域ゴト化が鍵だという見方があるようです。
 4位の岡山はLCCによる拡大だそうですが、白桃ツアーに人気があるとか。岡山では他にブドウも全国ランキング上位の産地のようですが、観光農園の主たる課題はオフシーズンの取り組みだと思います。値段を下げてバーベキューをやる観光農園も検索上位(観光果樹園 オフシーズン)で出てきますし(アウトドアは近年好調のようで、車なんかもRV人気の時代です)(シーズン中でもやっているバーベキューの取り組みをオフシーズンでも値段を下げてやるという形のようで、経済原理に則った取り組みに見え、にわか感がないのがいいのかもしれません)、イチゴ農園でジャム作りのような可能性を探る動きもあるようです。また中四国に向かう玄関口としての位置づけもあるようです。広島市との行き来は船が便利だよねという中予人としては、まぁ地理的にそうなるかという気もしますが(岡山を基点に周遊するのが利便性が高いという意味で、あるいは岡山に隣接する地域に岡山から行く需要があるという意味で、直接中予に来るのに岡山から来ているという意味ではさすがにないんだろうと思います)(瀬戸大橋が中四国の底上げに繫がっているのは明らかで、第二国土軸に特に関空からの人の流れの潜在需要もありそうで、神戸とあわせて徳島だけでなく関西と四国もテーマであっていいとは思いますが)(しまなみ海道は周遊ルートに使えますし、島自体の魅力も高く、潜在性は高いと思っていますが、建設前から広島市と松山市を繋ぐルートとしては遠回りになることは前提で建設したと思います)(大和ミュージアムの呉と松山を結ぶフェリーもあり、船旅もそれはそれでいいものです)、瀬戸内芸術祭に対する拠点として岡山県宇野市に対する注目もあるようで、県域を跨いだ移動も視野に入れないと観光政策は難しい時代なんだろうと思います。
 訪日客の数的には東京が多いようです。元々首都圏で人口が多い上に、LCCへの取り組みでも関西に遅れた感じですから、一極集中の流れも今のところ止まるところを知らないようですので、やればやるだけ成果が出るんでしょう。新宿・新大久保、銀座、浅草といった定番が人気のようですが、東京というのは首都ですから課題も多く観光開発は二の次になっているとも考えられます。アジアはおろか世界最大の都市としてパリやロンドン並みの注目があっても筆者はいいと思っていますが、夢は大きくワシントンD.C.兼NYぐらいを目指して欲しいところです。五輪後云々なんてものは偏差値秀才の勉強してないぐらいの眉唾ではなのかもしれません。
 2位は大阪で、関西の盟主として他県との連携や波及効果はどうなってるの?という気が少ししていますが(隣県どうしの緊張感あるあるは良く分かるのですが、東京は隣県同士のライバル意識はともかく東京に対するライバル意識はあまり見らないような気がします。首都じゃない・規模が違う・伝統が違うと言われればそれまでかもしれませんが、京都や奈良のような大阪に対して上に立てるだけの文化遺産がある県ばかりではありません)、忽ちは百舌鳥古市古墳群で奈良県との連携も気になるところで、リニアや北陸新幹線、万博といった新しい話題も絶えない今後も要注目の地域だと思います。
 3位は福岡で福岡空港も拡大しますし、これまた注目の地域ですが、福岡県というより福岡市に勢いがあって、九州の首都的な位置づけで成長する福岡市がどう九州と共存していくかがテーマではないでしょうか?アジアに近いことに優位性はありますが、アジアの玄関口としては今の時代飛行機でひとっとびですし、中々難しいところもありそうですが、スタートアップに対する取り組みがあるように、恐らくアメリカ西海岸がモデルと思いますが、玄関口として実質的に機能することを目指すのであれば、まずは福岡市に1度止まらなければならないのではないかと思います。ただ世界の玄関口を目指すのであれば、広島にも神戸にも中部にも仙台にも国際空港はありますし、北海道や沖縄も国際的な拠点としてポテンシャルはあろうかと思います。確かにそうした地方の拠点都市は放っておいても内需で食べてはしばらく食べてはいけます。しかしながら、増える人口は何処からか移動してきているのであって、大都市が自ら子育て環境等を整備して産み出したものではありません。地方の方が国際都市になるのはよほど特徴がないと事実上不可能でしょうし、可能としてもアクセスする交通手段の問題があります。責任野党という何だかよく分からない言葉がかつてありましたが、国際都市の取り組みは国際的活動をする能力がある都市の責任でもあるんじゃないかと思いますが、如何でしょうか。
 米国の旅行者が宿泊費にお金をかけているということで宿泊費に注目してみますと、日本人の平均宿泊費の上昇に対して、訪日客の平均宿泊費は下がっていますから、全体的な流れで言えば、裾野を広げるのがインバウンドで(賑わいをつくるとも言い換えることも出来ます)、ハイクオリティを目指すのが内需という位置づけになっていると思います(ただし休みがとれない日本人のオフシーズンの問題も依然としてあると思います)。円高傾向で海外旅行を謳歌しているのも実は日本人なのかもしれず、能ある鷹は爪を隠すとは言いますが、目の肥えた日本人が多いのだとしたら、逆輸入で真摯に他人の意見を聞ける日本人は一方で素晴らしいとも思うものの日本に対する目利きとしての実力も発揮してほしいところです。贅沢禁止令で裏地に金をかけた江戸っ子の末裔がどれだけいるか分かりませんが、上に倣えで皆節約倹約では一番大きい内需が詰んでしまうのは火を見るより明らかです。ノーブレスオブリュージュとはよく言ったもので、お金がある人ほど変な話お金を使う責任があるという見方が生じた時、日本経済は劇的に復活するのかもしれません(反対とかヘイトとか嫉妬とかのマイナスパワーは賛成とかのプラスパワーを吹き飛ばしかねない力があるように見えます)。金は天下の回り物とは言いますが、税収を直接は産まない公共事業の文脈で使われる言葉なのが気になっている次第です。米国の旅行者の宿泊費に戻ると、内需主導でハイクラスの観光需要が伸びれば、世界は広いですから、後からついてくる面もありそうで、海外評価で逆輸入ばかりに期待するのは円高トレンドで難しいのかもしれません。客観的評価を忘れる必要はありませんが、一種の自己評価に取り組むのが今の日本に必要ではないでしょうか?なお円高トレンドは日本の輸出産業が強い証拠なので、弱くならないと円安トレンドには基本的にはならないはずであり、日本の強い輸出産業が没落したら少なくとも現状で日本経済自体が底抜けしかねませんから(お家芸とも言える自動車でも自動運転の波もある等、厳しい国際経済で何があるか分からない部分もありますが)、円安を前提とした政策なんてものは危機管理の部類であり、変動の一部を切り取ったものにしかならないと考えます。

※筆者のfacebookコメントより転載

国運の分岐点のグランドデザイン考

2019-11-11 16:34:43 | 経済財政
デービット・アトキンソン氏の「国運の分岐点」55p、56pのグランドデザインの十か条は大体よく出来ているように思います。ただ、最低賃金全国一律は東京一極集中が加速している現在、保留したいところで(少子化を加速させ、地方を支えるお金を増大させそうです)、継続的な引き上げはいいとして5%かどうかも保留とします。日本はドイツと並ぶ工業国で、イギリス型に生まれ変わるまで行くと間違いのようにも思え、手探りする余地は残すべきではないでしょうか。嫌なら海外に流出すればいい一本槍の弊害は英米でも見られ、今から単純になぞることではありませんが、最低賃金上昇は(内需型ではない)企業を海外に追い出す破壊力があります。

①地方創生のための観光戦略→現在進行している。重要。

②特に人口減少によって消費されなくなる商品の輸出促進→できるに越したことはないとは思いますが、日本は輸出に現状で強いこと(円高を促し輸出を阻害します)に注意すべきのような気がします。日本の主力が工業で業界の少子化対応を考えることが重要というなら、その通りと思います。途上国に輸出する場合は、途上国から何かを買う発想、あるいは日本から労働者に送金させる発想でないと持続性がなさそうです。

③強い中堅企業・大企業の増加→本書のキモでもありそうです。弱い中小企業がブラック労働を促進しているとも考えられ、確実に日本経済を強くしそうです。これはベンチャーと両立するでしょうし、町工場が有する特殊技術を潰していいかは疑問なしではありません(デンソーは強い部品会社ですが、技術に近い判断を軽視してはならないと考えられ、大企業病という言葉もあります)。ただ概ね内需型の一般企業で中小企業が経済にいい理由はなさそうです。また金融緩和は何時かは止めなければならないと考えられ、企業が価格上昇の決断が出来ることが重要ですが、これには寡占化することが重要とも考えられます。

④経営者教育→勉強不足ですが、多分重要。日本人は優秀な兵士を指揮官にする傾向があるようです。欧米は経営者候補に監査で俯瞰する視点を養わせているという話を見たことがあります。論功行賞・信賞必罰とはよく言い間違いではないと思いますが、上と下で求められる能力が違うことを意識しないのは問題含みに見えます。日本でよくいう背中を見せて引っ張る型は説明しないこととほぼ同一であり、説明は上で必要になる能力そのものですが、軽視されているようです。現代日本は地位やポストが評価そのものという傾向がありそうですが、お金や名誉が評価という選択肢をより重視していくべきのように思います。名誉に関連して一部に批判が有り難いとかいう見方もあるようですが、(批判が必要な)上(強いもの)に対して行われず(批判過剰気味の)下に対して行われる傾向があるようで、百害あって一利なしに見えます。間違いを認めると死ぬかのような絶対権力者も多分不要です。ただ昔の叩き上げ創業者は苦労しており、批判的な視点で自分を見れたのかもしれませんが、半ば伝説化しており、久しくそう言われる人は出ていないようです。この場合強いものとは権限があり地位が上のものであり、それ以上でもそれ以下でもありません(中央与党政治家なんかは権限もありますが、国会野党で批判過剰傾向もありそうです)。名誉を認めると、金コネが必然的についてくると考えられ、ブラック経営の大敵とは言えそうですが、成果を認めない経営はありません。

⑤技術の普及による生産性向上。論点はいろいろありますが、基本的には工場がそうであったように、オートメーション化は生産性を上げ、経済を浮上させるでしょう。また業界によっては解雇や採用抑制を促すかもしれませんが、日本全体として人手不足です。

⑥デザイン性の向上→勉強不足ですが、ブランド戦略に関係しそうです。ただ(デザイン)村社会の評価によるデザインに疑義なしではありません。そのデザインが消費者に訴えかけるかではありそうです。

⑦女性活躍→人口の半分を占め重要だと思います。転勤慣行は決定的に女性のキャリアアップを阻害しており、あるいは少子化の原因にもなっているでしょう。退職前提の数年に限った勤務は確実に給与上昇を阻害すると考えられ、外国人労働者も本来的には同じと思われます。

⑧社員教育→何を指していか勉強不足ですが、個人的にはこういう時はこうという基本的なマニュアルがない職場が多く、恣意的なルール設定が横行しているように見えることが気になっています。明快なルールがないことは正確性にかける噂話を暴走させます。恣意的なルール設定は辞めさせたい人を追い込んで「自発的に」辞めさせるには有効な戦術でブラック企業の武器になっているとも考えられます。明快なルールがあると上司をも縛りますが、明快なルール程度に縛られることに耐えられない上司が有能と言えるかは疑問でしょう。為にする議論は否定されますが、為にする権力がパワハラであり、能力があるというより、能力がないように見えます。基準無き印象論の評価も仕事に無用と思われます。基準がないことによる失敗を上が失敗と評価するのも誤りですが、(言い訳と切り捨てられやすく)結構あるようです。多分意見があるなら言ってくれと言えるのが、能力がある上司の条件と言えるのでしょう。逆に口答えするな言い訳するなが口癖の上司は疑問が大きいです。上司には先輩も含みます。細かすぎるルールで何でもルールかの疑問はあるでしょうが、それ自体を議論することも出来、同じ工業が得意でも、ドイツ人はルールばかりらしいので、その意味で問題がないという結論は見えていそうです。暗黙知は日本の強みというより弱みになっているように見えます。それは出来ているからではなく、出来ていないからです。どういうことかと言えば、朝令暮改や皆が言っていることが違うなど恣意的なルールでないルールが横行しています。一致を見せないルールはルールではなく、知でもありません。多分言葉には出来ない微妙な感覚に基づく技術がある町工場は例外なのかもしれません。

⑨最低賃金の継続的な5%引き上げ→数値はともかく、最低賃金を継続的に引き上げることは現代において重要です。企業より消費者の方がよく消費すると考えられます。

⑩全国一律の最低賃金への移行→考察不足でしたが、多分、全国において一番下にあわせるのが最低賃金であり、一番下をどうにかしないと継続的に賃金が上がらないということなのでしょう。つまり東京にあわせて時給千円に全国一律に上げるというような考え方は経済を致命的に破壊することは間違いなく(将来的にはともかく、数年スパンの公約でそれを言っている野党の公約は致命的に誤っているということであり、実行しないのが前提なのかもしれません)、一番下から段階的に上げていかねばなりません。つまり東京においては最低賃金の撤廃を意味するんじゃないかと思います。それで東京が人を集めるために問題なく時給千円払うのであれば問題なさそうです。ただ帰国前提の外国人労働者が東京に多いと考えられ、描いた絵通りに制度が機能するかはよく分かりません。

現代日本の経済政策考

2019-11-11 15:22:56 | 経済財政
①教育に関しては、人手不足が経済成長の足枷になっていることを意識するべきだと思います。人気就職先は重要ですが狭き門なので、そこを過度に意識した教育というのは、逆に経済成長の伸びを妨げかねません。教育等で人手不足企業に人が流れる態勢が整えば、焦ってお金に余裕がある人気就職先が初任給を上げてくるサイクルが出来てくるかもしれません。IT系が遅れているのが日本病の一つで特に地方はそうなのでは?官公庁等で古いシステムにもサイバー防衛(特殊なシステムはわざわざ狙いにくい)や効率性にメリットがあるのような一見妥当が改革を遅らせたかもしれません。スタートアップは資金面より人材面に難があるとか。やってみる教育、模擬する教育、チャレンジする教育が重要と思われ、技術はできる限り、地方でも学べる必要がありそうです。

②外国人労働者は人材難対応面で経済に良いと思われます。犯罪云々も言われますが、敬遠されがちのキツイ仕事に関連している面もありそうで、人手不足で困っている業界というのは、基本的にはお金を回す余裕がある業界と思われ、企業の金余りが指摘される中、経済政策の対象として重要度が高いと思います。機械化で対応できる業界は人手不足傾向の現在、対応していくのが基本的な筋のように思えますから、外国人労働者ありきで対応する業界ではなさそうです(工場は基本的にオートメーション化で成功しています)。

③解雇規制に関しては、代替可能な高所得層切りが給料の総額を下げる危険性はありそうです。若者は人手不足傾向で給料が安く解雇規制はあまり重要でなさそうです。

④技術があれば渡れる社会の方が総給与は上昇すると考えられます。人件費はカットではなく、自然な形で増加させていくのが企業が金余りの現代における経済政策だと思います。

⑤中途採用の待遇が生え抜きに比べて悪いことが、給与上昇の邪魔をしていると考えられ、現代的な問題でしょうが、一方で海外への技術者の流出の問題があって、中途採用のイメージが悪くなっていると考えられるものの、これは給与の総額が低いことがネックでもあって、マッチポンプとも言えそうです。どうせ流出するなら、安全保障上の障害でないところの方がいいとも言えます。強くなると円高の問題もありますが、日本のこれまでの主力に特化では難しい時代であることが今の伸び悩みに繫がっていると考えられます。

⑥斜陽のレッドオーシャンは基本的には採用抑制で上手に畳んでいくことが重要そうです。黒字倒産はゼロを目指していくべきでしょう。

⑦要は金余り傾向ですから、金を持続的に回せる機会を逃すべきではなく、内需拡大で給与を伸ばすべきでしょう。これは負の側面もありますが、日本全体で正の方が遥かに上回っていると見るべきです。

⑧公共事業で経済がどうにかなるのであれば、社会主義万歳ですが、そんな歴史はありません。


憲法改正小考~令和元年11月7日~

2019-11-07 15:51:28 | 憲法・法務・司法・立法
 改憲勢力が3分の2を割って発議は絶望的になりましたが、安倍総裁は発議を諦めてないようであり、審査会での審議だけでも価値がありますから、今思うことを書いておきます。無駄なことをしているようですが、国民民主党を筆頭に民主党系はそもそも改正議論には反対でないということを(今やれないと断固主張しているようですが)一応言っているので、熱心な改憲派の政治家の方々が何とかしてくれると信じることとします。国民の改憲の気運が足りないという話ではありますが、その辺を含めて、今回は9条について簡単に言及するものとします。
 改憲の目玉は言わずと知れた9条で(護憲派の方々に聞いても一番の焦点は9条改憲の有無と必ず言うでしょう)、今の自民党案は(何故か自民党案でないと仰る政治家の方もいらっしゃいますが)、自衛隊明記案です。これは加憲案で条文を付け加えていますが、明記して自衛隊が合憲であることをハッキリさせるだけと繰り返し説明されており、自衛隊が合憲だけで意義は大きい/やらなくていいで議論になっています。筆者は今の条文に反対点はありませんが、明記するだけという解釈には疑問を感じており、今のまま国会で議論になって発議されれば(発議に賛成ですが)、賛成で投票はするものの、消極的賛成であり、積極的に筆者が改憲を盛り上げる議論に参加したいという気持ちは現時点でありません。積極的に改憲議論を書いてきた筆者でも、やる気は相当削がれていますから、中々一般国民に改憲の気運が出てくるのは難しいような気はしています(言わずもがなですが、反対する気持ちも1ミリもなく、人の心は白黒で綺麗に分かれる問題ではありません)。
 やる気が削がれた直接のきっかけは改憲勢力の議席が3分の2を削がれたことです。これまで3分の2があっても憲法審査会が開かれなかったのですから、通常これはもう敗戦です。ただ改憲サイドにそれなりの勝算があるようですので、ここまで主に様子を見た次第ですが、やる気が戻ってくることはなさそうです。これは何なのかと考えましたが、やっぱりというか、明記だけで自衛隊を認める以外に何一つ変らないという説明がずっと引っかかっていたことを思い出しました。改憲議論が進んでいた時は、流れるままに半ば忘れかけていましたが、冷静になればなるほど、明記だけという説明をハッキリされた時の気持ちが戻ってきたという訳です。
 ただ、だからと言って一見強硬的な石破案は尚悪いという考え方に変わりはありません。何故2項削除の石破案が尚悪いかと言うと、公明党さんが加憲案と主張しており、現在の安倍案は発議されるために最大限議論して決った案だと考えているからです。2項削除の石破案は当然加憲案ではなく、公明党さんと石破氏が議論したというような話を聞いたこともなく、ただでさえ3分の2を割っていて石破案も何もないのであって、石破案というのは見た目強硬、実質反対の性質が悪いやる気がないから発議されない案という訳です。石破議員は自民党案の議論当時、確実に国民のムードを云々するなど、憲法改正自体に消極的な立場でした(だから保守派の改憲派が石破案についていかなかった訳です)。石破議員が公明党さんと勝手に話をつけるなど(そんなことが出来るのか知りませんが)、当時のやる気の無さを説明して、2項削除案を立派な発議できる案にしてくるなら、賛成できると思いますが、彼にはそんなことは出来はしないでしょう。石破議員という政治家は、安全保障に専門知識のある政治家で、当然詳しいと思いますが、平和安全法制の時も働きませんでしたし、自分の案でないと安全保障の法案に乗れない人で、よく言えば(?)理想的、悪く言えば書生と評されますが、発議されないと改正の可能性がないのに、発議に協力的ではないところがありありとしている政治家と言い切って間違いありません。勿論石破議員が反対に回ったら発議はならない訳ではありますが、元から半ば反対していますし、さすがに悪くなる訳ではない明記に反対まではしないだろうと思いますが、考察をするのに石破議員の問題を避けて通る訳にはいきません。総裁選も当面ない訳ですし、安倍総裁よりやる気がない人を担いで改憲の議論をする気は少なくとも筆者にはなく、他に有力な案もありませんし、あくまで筆者の考え方としては議論の叩き台は自民党案でしかありません。
 それではただボーッと見ているのかという話ですが、一点だけ、条文は今のままでいいから、明記以外は何も付け加わらないという説明を変えて欲しいと期待だけしておきます。そもそも条文が付け加わっているのに読み方が全然変らないというのはどうなのかという話ですが、安倍総裁は「読みようによっては~」と条文が出来たて当初には含みを持たせていたように記憶しています。これがどういう経緯で変ったのか知りませんが、条文案のまま素直に明記されると説明してほしい訳です。これで明記以外に何が変るかと言えば、自衛隊は存在そのものが認められますから、2項に矛盾しない範囲で、これまで駄目だった全ての安全保障政策が可能になります。これまでは「必要最低限の~」という解釈ベースで自衛隊の装備は制限を受けていた訳です。元々の安倍総裁案では必要最低限の~は明記されていました。これが議論の結果、必要最低限の~は削除されています。ただ、ここから必要最低限の~という解釈が復活しては、結局明記だけと説明しなければなりませんから、筆者のようなゴリゴリの9条改憲派はやる気など出てきようもない訳ですし、個人的な気持ちはどうでもいいとしても、国民の改憲気運など生じようもないだろうし、出来もしないことをやる気はないということになります。解釈というのは変えられる余地がありますし、自民党案が駄目な案とは思っていませんが(駄目なものを人に薦めるほど性根が腐っている訳ではありません)、改憲の結果のメリットが安全保障政策的には存在しておらず(元々解釈ベースの必要最低限の~です)、だからこそ自衛隊が認められるのが意義深いとしても、既に国民は自衛隊を認めているので、改憲の気運は生じない(だから国会の議論に期待するしかない)と見切っている訳です。憲法改正で条文が変って、解釈が変らないという説明も分かり難い話ですが、筆者としては憲法改正議論で明記していた必要最低限の~という従来解釈の明記を削除したにも関わらず(解釈を明文化したら、解釈を変えることが不可能になって、安全保障政策的には明快に後退でしかないので、その時は絶対反対した訳です。必要最低限という言葉がある以上は何かに対して必ず低くなければならないので絶対的に安全保障政策の足を引っ張りますし、現在の自衛隊の装備は見ての通りです。日本語が理解できる人で必要と必要最低限を同列に考える人は存在しません。必要最低限に対しては使いませんが必要最大限という言葉が考えられます。最低限は英語でミニマムの意味で最大限がマックス、必要はネセサリーで、そもそも必要があるから条文にあるのであって必要は解釈も明記もする必要がない前提ですから、最低限だけがミニマムとして意味があります)、解釈を結局維持するのかと怪訝に思いながらも、明記そのものは意義深いですし、他の3案もある訳ですし、憲法議論そのものも重要ですから、何だかんだで賛成したところ、3分の2を割って今となります。それでも憲法審査会開催の努力が続いているのは筆者が政治素人だから良く分かってないのでしょうが、またぞろ2項削除案とか出てきて、絶対やる気ないでしょ、その辺の説明は?と思い、その旨SNSで発言はしましたが、改めて(これまでいろいろ書いて来た訳ですから、これまでの自分の意見を自分で引き取って)自分の考え方をここに開陳する次第です。

山陰インバウンド雑考及び拉致問題小考

2019-11-05 06:09:27 | 日本地理観光
 拉致問題の早期解決を願う国民の集いが10年連続して米子での開催ということですが、米子は江戸時代に日本海海運で栄えた米子商人の拠点であり、あえて挑戦的な言い方をすると、日本の海を守ることが拉致被害の再発防止に繫がるのであって、専門家の発想もいいのですが、日本海を活用している人が日本海も一緒に守っていくという考え方もあろうかと思います。攻撃は最大の防御という言葉もありますし、日本が侵略国家になろうという訳ではありませんが、攻撃している間は攻められにくいところもあって、受けに回ると主導権を握られますから、守り中心なら籠城戦やカテナチオぐらいの防御力は欲しいところです。それはともかく、漁業者は不審者を見つけたら、漁業権との絡みで水産庁に通報することになっているようですが、海上保安庁との連携はどうなっているのだろうとふと思いました。漁業に限らず、海運関係の方々に海の監視の協力を要請できれば、海保の人員不足傾向を緩和し、なおかつ海の守りを飛躍的に高められるかもしれません。現時点で拉致を実行したあの国は漁業戦闘なる行為を日本海で行っており、戦いの相手は国交のない我々なのかもしれないという自覚が必要なのかもしれません。要は日本の漁場を荒らすことを意識して戦闘とか言っている可能性があります。戦闘には嘘がつきものの一面があり、大和堆を北朝鮮の漁場と信じているのではなく、確信犯的に嘘をついてある意味日本に侵攻しているのではないでしょうか?向こうの土俵に下りるのは残念ですが、連中の拡張された戦闘行為をどうにかしない限り、舐められてしまって交渉どころではないということなのかもしれません。警戒している相手には手を出しづらいという面も大きく、北朝鮮は警戒すべき相手でしかありません。そういう意味で米子という日本海随一の日本の拠点とも言える都市で拉致問題が話し合われてきたことは意義深いものがあるように思います。米子の近隣の境港は代表的な日本海の漁港でもあり、一帯は隠岐の島との関係も深い地域です。
 >外国人観光客の受け入れに積極的な松江城や大山隠岐国立公園、そして水木しげるロードでは、輸出に力を入れている酒蔵や外国人向けの地元農産品のアンテナショップなどを訪れました。地方経済にも大きく貢献する外国人観光客の受け入れに、来年4000万人の目標達成を目指して、さらなる環境整備を進めてまいります。・・・松江城のウィキペディアを見ていて人柱伝説かよ!と思いましたが、あれ多分、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)や記紀神話の黄泉の国/イザナミや水木しげるロードと併せて意識的にやってるのかもしれませんね。怪談話が好きな人は恐怖を自然なものとして受け入れているという考え方もあるようですが(特集「怖い話のウラ側」 ダヴィンチニュース)、裏を返せば勇敢な人があえて恐怖を好むのでしょうし、出雲は古事記の神話の主たる舞台の一つでもあって、イザナミの黄泉の国が地上の何処かにあったという話もありますが、撃退したのは桃の種で吉備との関連性も気になるところで、山陰地方ならではの怪談・妖怪がご当地観光の一つの売りになるだろうと思います。インバウンドに関連してクルーズ船が境港に寄航して、中国人観光客が水木しげるロードに訪れたニュースがあるようで、日本の妖怪をどう思ったか反応が気になるところですが、仁徳天皇紀の吉備中國川嶋河派の大虬はみずちですから、蛇ではなく、山海経にいう蛟=蛇似で角と四本足を有する水棲生物で、毒を吐く伝説上の妖怪ではないかと思います。つまり山海経には倭が登場しますし、当時の知識人は読んでいたのではないかと。仁徳天皇紀には他に飛騨に両面宿儺なる妖怪が登場していますが、二面四手が三面六手の阿修羅の祖形のようにも見え、こちらのルーツはインドや仏教の影響が気になっています。仏教の伝来は欽明朝が嚆矢とされますが、仏教は中国や百済では当時流行があったと言い、接触があった日本に何らかの影響があって不思議ではありません。飛騨は匠で知られますが、鶏が先か卵が先か仏教建築で動員があったことで技術を伸ばした一面があるような気がします。「怪談」は「怪力乱神」を語るものとは言えど、読みようによっては含蓄があるとも言えそうですし、ホラーは人気がある一ジャンルではあって、山海経がある種重要古典として残っている中国にはそういう嗜好が小さくないようにも見受けられます。
 松江城ですが、松江城の本丸は有事の際にだけ使用される「詰の丸」であり、天守は倉庫として使われていたのだそうです。また、松江城の防御のために厳重な築造がなされる正門の大手門は江戸城や大阪城に匹敵する規模ですから、松江城は防備に特化した城と言えそうです。山城は一般に詰め城というのがありますが、守る時は防御力が高い山城で平時は麓の館は戦国時代の遺風を残していると評価できます。また宍道湖北岸の湖城とされ、今は埋め立てている部分があるのか知りませんが、明らかに南に対する防御を意識した城だと思います。宍道湖・中海を天然の防壁と捉えるなら、アクセスしやすい交通路は限定されますし、北側には島根半島も横たわり、海側からの侵入も決して楽ではなさそうです。築城は関ヶ原の戦いで戦功のあった堀尾忠氏(堀尾吉晴の子)だそうで、月山富田城からの移転で築城したようです。月山富田城は山陽の毛利VS山陰の尼子の舞台で尼子氏の居城です。堀尾氏も入部するにあたって元々の住民や武士達に配慮・研究したようにも思え、また東軍方として西軍の雄の毛利氏の侵攻に対する防備を意識した城に違いありません。月山富田城をそのまま使わなかったのは、手狭で平時の拠点としての不便を意識したに違いないと思いますが、それでも当時として実戦を意識した城なんだろうと思います。今では県同士の戦争は考えられない時代ではありますが、今でも何処か山陰地方は山陽なにするものぞという気風が残っているように見えることもあります。
 山陰地方で唯一の現存天守で、国宝指定された5城のうちの一つでもあり、つまり残りがいいという点で特に価値ある城のようです。石垣の積み方は牛蒡積みというようで、石垣のルーツは近江(滋賀県)の穴太衆(明智光秀でも話題になる坂本付近の)にあるとされ、穴太衆は比叡山山麓に居住する古墳築造などを行っていた石工の末裔と言いますが、成務天皇の志賀高穴穂宮を嚆矢とし、あるいは戦国時代まで間を繋ぐピースは山門の発注だったかもしれませんが、だとするならば、前方後円墳の(板石で造る)竪穴式石槨や古墳時代前期の讃岐の積石塚と関係する可能性があります。ブロックやプラモデルじゃありませんが、今時3Dプリンターもありますし、牛蒡積みなる石の積み方が何処がどういう風に地震に強いのか実験というか直感で分かるような取り組みがあると勉強になるのかもしれません(丸い石の組み合わせが安定しないだろうことは分かりますが、石垣は外目には丸い石の組み合わせに見えます)。石垣の巨石の運搬は謎とされますが、長い石なら(整形している石は)転がりにくく引っ張りやすいというのもありそうです。石垣の石はサイコロ状でもないようですが、そうしないのには意味があるそうです。
 大山はダイセンと読み、山海経はセンガイキョウで、山に人と書いて仙人のセンですが、山をセンと読んでいた時代の読み方が残っているようにも見えます。円錐状の山で最高峰だから大山と言ったように見え、つまりは出雲伯耆(山陰)から見て大和・筑紫・瀬戸内・北陸ぐらいまでが日本だった頃の命名ではないでしょうか。円錐形の山は大和でも尊ばれ、富士山を意識していたか知りませんが、大和三山の畝傍山・耳成山を挙げることが出来ます。
 インバウンドの魅力に日本の自然もあるようですが、大山南麓の鍵掛峠は絶景だそうです(鳥取県の写真・インスタ映えするスポットまとめ 山陰ペディア)。大山まきばみるくの里も観光地として有力そうですし、大山の魅力は訪日客をも満足させること間違いなしだと思います。

※筆者のfacebook記事から転載。

京都観光考

2019-11-04 12:50:13 | 日本地理観光
 最近オーバーツーリズムで話題もある京都の観光について考察してみました。結論から言うと、リピーター重視の戦略を柱に据えてみてはどうかと思います。というのも京都は日本で一極集中とも言える伝統文化の集積を見せる地であって、つまり観光名所が多過ぎて的が絞れない地域だからです。仮に漠然と京都の魅力を高め、観光客を増やしたとして、オーバーツーリズムの問題が台頭するだけであり、現に今そうなっていると言われています。これに対して顧客重視のハイエンドの戦略なら、単価を高めるでしょうし、オーバーツーリズムの弊害を緩和することが出来ます。京都は元来5回以上の訪問の観光客が8割を超えており、最初からそういうヘビーユーザー層が訪れる観光都市と言えるようですが、修学旅行のイメージや日本の伝統的文化の中心地のイメージやインバウンド増の文脈でその特色があまり意識されないまま、議論されている気がしてなりません。京都は伝統と革新が並存する街とも言われますが、伝統もただ残すだけではなく、戦略的な発想で元々あるものを活かしていかないと、千年都市としての尊敬を取り戻せない時代になってきたと考えます。あえて刺激的な言い方をすると、売り出すのは京都では実はなく、京都に集積している文化伝統それぞれではないでしょうか?
 例えば代表的日本文化の茶道で言えば、裏千家の活動は海外に広がっており、裏千家の茶道総合資料館が上京区にあるようで、日本全国、世界中から茶道を志す良質の「観光客」を集めていると思う訳です。京都府のインバウンド需要 | 訪日ラボを参照すると、京都府のインバウンド消費金額は全国33位ですが、京都府に来ている訪日外国人TOP5のインバウンド消費金額で断トツなのはアメリカです。京都府に来ている外国人の数だけで言えば、中国人が4割で断トツであり、京都の観光客数は容量の問題で頭打ちだと言われる中、中国人も含めて注目されるべきは質の方です。中国人は古き良き唐の文化を京都に投影しているとも言い、確かにそういう見方も成り立つでしょうが、例えば裏千家の茶道をアメリカでやっていて、京都に観光に来ましたという方が、京都でなければならない動機を持つ京都が大切にしなければならない顧客なのではないかと思います。京都は日本が誇る伝統文化の集積地なのであって、ヘビーユーザーを誘うコンテンツに事欠きません。
 京都観光の問題点に足があると言われます。電車の便は悪く、バスの路線は複雑で、広大な京都であれば、もっとも良い観光客の足はタクシーなのかもしれません。観光客を案内する観光タクシーも有名なようですが、流しのタクシーが8,500台京都市内を走っていると言い、タクシーが捉まらないということはない世界だそうですが、春秋の観光ピーク時には空車がほとんど無くなるのだそうです(タクシーに関する疑問はココで解決 プロが語る!タクシー観光のコツ All About)。ピークにあわせたギリギリの数かもしれませんが、通常時に捉まらないといことがないのであれば、利便性だけで言えば、流しのタクシーで観光は事足りると言えます。戦略は総花的になっては意味がありませんから、観光を意識した京都の都市政策とはタクシー・車を意識した政策になるのではないでしょうか?つまり交通渋滞がなるべく起こらない交通政策・都市政策を意識するべきですし、北陸新幹線駅の周辺には広い駐車スベースや広い道が必要ですし、首都圏に三環状道路がありますが、空港や人口集積地からの導線と通り抜け需要がバッティングしないようにするのも一案です。観光ピーク時だけ営業する安い観光タクシーという考え方があってもいいかもしれません(短期バイトのようなもので探せば成り手はいそうです)。京都は知りませんが、タクシーは通常個別の会社にかけるものだと思いますが、近頃はタクシー配車アプリもあるようですので、そうしたネットワークが機能するようにしていけば、顧客の利便性・満足度は高まるはずでしょう。
 泊食分離という考え方も最近、注目されていますが(泊食分離(はくしょくぶんり)で旅館の稼働率をアップ。 インバウンドNOW)、京都こそ伝統的な都市であり、また一方で新し物好きの一面もあるようですから、泊食分離を意識した観光政策も有り得そうです。泊食分離とは要は宿泊施設が食部門を抱えず、周辺のレストラン等を利用するという考え方ですが、餅は餅屋で京都には良い食文化がそもそもあると思います。宿泊施設不足が言われて久しい京都ですが、宿泊施設を例えば寧ろ良い食べ物屋が集積している地域につくってしまう訳です。そうすれば、長期滞在してくれる質の高い顧客が京都の食文化をジックリ楽しめるという次第です。京都はインバウンドにおいては(米食圏の)アジアの観光客が多いようですが、京都人にはパン好きの一面もあると言い、旅行先で食べ慣れたものを食べたいという需要は多いと思われ、あるいはインバウンドが京都の美味しいパン文化を拡張するきっかけにもなるのかもしれません。ハラルミートも言われる昨今ですが、旅行における食の比重は大きいと思われ、選ばれる観光地、飽きの来ない観光地を目指すには分厚い食文化を選んでいけることも大切だと思われます。ドバイで茶道の売り込みもあるようですが、自家用ジェットで京都に来る日が来るかもしれません。そもそも宿泊施設が足りない環境下においては、泊まるために食を我慢するケースも多いと思われ、そのような状況下で顧客満足度は高まってきません。
 宿泊施設不足そのものに関して言えば、長期滞在型施設の周辺での規制緩和が考えられます。逆に言えば、駆け足型の観光に関して言えば、最悪宿泊施設が京都になくてもいい訳ですし、京都につくるのであれば、最近は朝観光・夜観光の取り組みがあるようですが、景観に配慮しながらも、そうした宿泊と一緒に京都ならではの散策が楽しめる地域につくってしまうのも一案です。
 あるいは寺に泊まる動きも最近はあるようですが(お寺や神社で修行体験!一度は泊まってみたい宿坊5選 一休コンシェルジュ)、京都ならではの伝統的宿泊を創造してみることも考えられます。宿泊施設が足りないようですし、広いスペースはあって、提供する宿泊文化や食文化、体験できる文化もあるのですから、チャレンジしてみて損はなさそうです。何事も最初は始まりがあります。京料理は和食ですが、寺社仏閣とも密接に結びついており、京野菜の需要が伸びれば、京都府にも恩恵があります。精進料理と禅宗が密接に結びついていることはよく知られる通りです。
 イベントで言えば、例えば平安神宮の時代祭は最初は明治維新、ついで江戸、安土桃山、室町、吉野、鎌倉、藤原、延暦と時代を遡って続くようですが、明治維新の主要な舞台の一つに京都があり、藤原時代/平安時代がもっとも京都が日本の中心だった時代であって、明治維新まで皇居があったという意味では首都であり続けた訳であり、それぞれの時代の文化施設・見るべきものが京都には多いのは勿論ですが、延暦時代とは平安京を造った桓武天皇の時代で昭和、明治、応永、平成に次いで、歴代で5番目に長い元号なのだそうです。応永は金閣寺の足利義満の時代で室町時代であり武士の都が京都にあった時代ですが、安土桃山時代の桃山は京都市伏見区桃山地区の伏見桃山城のことであり、豊臣秀吉の築城であって、一時代を築いて時代名にもなっています。足利氏の邸宅を花の御所とも言い、足利義政の銀閣寺もそうですが、室町時代は京都が特に日本の文化の中心地と言えたもう一つの時代であり、豊臣秀吉は近場の巨大都市大阪府の象徴的存在でもあって、大阪京都にライバル的な関係があるにせよ、大きな内需もあるかもしれません。もっとも著名な茶人は千利休で後世の茶道に与えた影響は極めて大きなものがあると思いますが、千利休は最期は悲劇でしたが豊臣秀吉に仕えてズバ抜けた存在になったところもあります。京都の郊外と言えば宇治はブランド化しているとも言えますが、桃山文化の桃山(伏見)も市内とは言え、本来的には郊外のはずで、伏見稲荷大社の千本鳥居など見るべきものは多く、このあたりも京都が日本文化の中心とも言えた時代だと言えるかもしれません。江戸は上方文化があり、吉野は皇室贔屓で武家から政権を奪還したと言える後醍醐天皇を意識しているのでしょうが、鎌倉時代というか(源平)武士の時代の起こりは京都にあるとも言え院政時代は京都が舞台で、京都で武家を意識するのは意外と本質的で根源的なところがあると思います。結局のところ千年の都には所謂平安文化だけに収まらない伝統や魅力もあって、テーマ別に時代背景を深く知っていれば、時代祭もより楽しめるのかもしれませんが、言いたいことは人気観光地を廻る修学旅行的旅行のその先に京都に関心を持って個別のテーマを廻る観光も有り得るのではないかと思います。そう考えると、京都観光に求められるのはブ厚い事典のような観光ガイド本・データベース・アプリなのかもしれません。何でも西欧とは思いませんが、彼の地のガイドブックはブ厚いと言い、研究熱心な観光に潜在需要はある可能性もありますし、そうでなくても京都は京都検定の地ですし、文化遺産を守るのに目録は必須でしょう。多言語対応も視野にあっていいはずです。
 清水寺は京都の代表的観光地ですが(KYOTOdesign)、戦火や火事で焼失した歴史もあり、現在の本堂は徳川家光の寄進によるものだそうで、千年の都が千年の都たる所以とも言えそうです。伝統で風雪に耐えた古さは重要ですが、失われても蘇るところに伝統文化の強さがあって、新しい技術によるバージョンパアップに見るべきものもあると思います。清水寺の懸造りが何時からある技術か定かではないようですが、山岳寺院で見られる建築様式であり、江戸時代の町家にも見られるようですが、さすがに元々あった様式を復活させたのでしょうが、その技術のルーツを探ってみるのも面白く、日本に波及効果もありそうです。京都が伝統建築の集積地なのですから、技術史的視点で京都の建築を解明できれば、日本の伝統建築そのものを半ば見切ったと言えるのかもしれません。歴史を知るのは今を知る一面もあると思います。
 事典を書ける知識もありませんし、以上としますが、京都の深い魅力を掘り下げることで、京都の観光の問題の解決の一助となり、日本や世界に波及効果もあろうかと思った次第です。