観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

若者と高齢者の世代間の不公平の是正について

2024-12-21 07:03:06 | 厚生労働
70歳まで働ける企業は30%余 厚労省 ハローワークなどと支援へ(NHK 2024年12月21日)

努力義務もいいんですが、65歳まで働けないと年金受給開始までの生活のためにお金を貯めざるを得ないでしょう。貯金を取り崩すことを想定しているのかもしれませんが、一刻も早く、年功序列の賃金、退職金の制度の改革とセットで65歳までは働けるようにしないと、過剰な貯蓄癖は直りません。

繰り上げ受給ですが、働ける環境の整備と共に、減額率を高くするべきだと考えます。労働力の確保と年金財政を良くすることが狙いですが、現時点で過剰に良くなるのであれば、少子化対策にお金を使うべきです。年功序列賃金による貯蓄過剰の問題は再分配の維持強化で対応するしかありません。

繰り下げ受給ですが、働く高齢者の年金受給所得制限があるので、どちらをターゲットにするかで結論が変わってきます。いずれにせよ、労働力の確保と年金財政を良くすることが狙いであれば、70歳まで年金を貰えなくする方向性でないと大した意味がなく、今の高齢者は公平性・経済で貰い過ぎが問題です。

なお社会保険料の逆進性と少子化対策への使用への批判があるようですが・・・・

社会保障費の負担は保険料6割、税4割。人口構造の変化で若い人の貰いが少ないことが不公平なのであって、貰いを大きくするなら、重負担になるのは必然です。一応再分配政策なので、縮小の方向に持って行くと、人がバタバタ死に始めるでしょうね。子育て支援金は子無し家庭と子育て家庭の不公平調整。

医療・介護・福祉分野の仕事と給与

2024-11-09 08:58:06 | 厚生労働
政府 新経済対策で医療 介護 福祉分野での賃上げ支援策を検討(NHK 2024年11月8日)

医療・介護・福祉分野は隣接していますが、看護師はサービス残業が常態化しているようです。これでは人手不足になるのも当然です。待遇改善まったなしですが、急激な改革は人手不足に拍車をかける可能性もあります。財源も無限ではありません。必要でお金をかけるべき仕事の選別=生産性上げも同時に検討するべきでしょう(医療健康産業は小さくない業界であり、別に考える必要があると思いますが、基本的には税金を使う業界であり、この業界の給与を上げれば上げるほど、経済が好循環するとは考えていません)。

医師はよく分かりませんが、看護師は寿退職をしている人が少なくないんじゃないかという気はします。そうであるならば、配偶者控除をどうにかしたら、人手不足は解消に向かいますね。潜在労働力が少ないなら、資格取得者を増やさない限り、人手は増えません(「無駄な/生産性の低い」仕事は減らす選択肢も無論要考慮です)(資格に関して言えば、持たないと危ない知識・技能の認定であり、経験が補うケースもあり、必要最小限で構わないと思いますが、厳密な運用が求められる気がします)。

勤務医の過重労働は専門技術を身に着けるためとも言えます。残業代は勿論支払われるべきですが、タスクシフトや医療DXで専門家でないと出来ない仕事に集中することで、更に専門技術は伸びるものと思います。従って低いと言われる給与も、少なくとも健康寿命を延ばす専門家は劇的に伸びる方向性だとも考えられます。

開業医の仕事は一般的な疾病の対応と紹介状を書く役割でしょうか。僻地でもない限り、競争は激しいと思いますが、引き続き住民の健康寿命を延ばすため重要な仕事だと考えます。

夜勤の対応は難しいですが(基本寝ている人の見守りを効率的に行う仕事でしょうが、「難しい人=介護度の高い人?」は少ない人数で対応が難しい問題があると思います。難しい人は勿論昼でも難しいですが、昼は人数がいます。が、人手不足でギリギリの人数で仕事をしようとすると、難しい人のケアはおなざりになり、事故が発生する確率が高まります。この状況で責任を負わされるのは酷だというのが介護のキツさだと考えます)、急変があると(どの程度特殊技術・高度技術が必要なのか私には分かりませんが)、技術や装置・人手が無い介護施設では対応できません(救急車は呼べるかもしれませんが)。

老衰は介護施設でも対応可能でしょうが、看取りでも例えば癌患者の場合は緩和ケアが必要ではないかと思います。無駄な延命措置は縮小の方向でしょうね。

「事故」があると忙しくなります。この業界、普段は余裕をもっていい(紹介状で来た患者を捌く専門家を除き、完璧で細かい仕事を詰め込む仕事ではない)仕事のような気はします。

障害者福祉に関して言えば、基本的には働けない人、生活できない人を保護する仕事でしょうか。本当に困っている人を助ける仕事であり、手厚すぎる保護は障害者になりにくる人が現れる可能性も考えられなくもありません。

健康な人の生活保護に関して言えば、医療・介護との関連性が薄く、寧ろ経済労働問題かと思うので、ここでは触れません(削減が政策目標のように思え、権利を強調されると違和感があります)。

高齢者・障碍者の生活保護に関して言えば、年金の範囲で生活してもらう制度設計が必要だと思います。それでは満足な生活水準を確保できないと考える人は、保険(≒有事の備え)や民間の年金を利用するべきでしょう。自己責任で貯蓄・投資で老後や万一の際に対応しきるという認識が政府の制度設計・支援で一般的になると、(不安対応はキリがなく)デフレ経済の原因に成り得ると考えます。

介護(施設と訪問)雑感

2024-05-17 03:52:22 | 厚生労働
介護保険料が最高の月6225円 65歳以上、2024~26年度(日経2024年5月14日)

まぁ、介護保険料が上がるのは普通ですね。その中で負担を上げないために考察してみると、(訪問ではなく)施設型が効率いいとは思います。一方、訪問は認知が強かったりすると難しい面があるのか知りませんが、在宅介護は利用者にとって、負担が少ない面はありそうです。

おむついじりのあるなし等、介護は人によってやるべきことが変わってくるところもあって、一般化しにくいところはありますが、保険料がこれほど自治体によって違ってくるとなると、安くて質の高いサービスを提供できている先進自治体があっても不思議ではないような気もします。

過疎地ほど施設、都会ほど訪問ですかねぇ。地価と住宅間の距離の問題で。訪問介護は儲かっているようで、報酬が引き下げになっていますが、利用者としては、家賃を支払わなくていい分、お金を支払い易いんでしょうね。サービスを提供する側の効率は悪そうですが。

生活保護は施設に入れるしかなさそうではあります。家(財産)が無いでしょうし、効率を考えると。健康で文化的な最低限度の生活の定義にもよりますが。障害者も財産が無ければ、施設じゃないと生活は難しいかもしれません(働くのが難しく、設備投資(バリアフリー住宅とか)が必要そうで)。

訪問介護はよく分かりませんが、食事のデリバリーは需要がありそうです。食事(や生活用品の買い出し)さえどうにか出来れば、生活できる人は少なくないでしょうから(後は排泄・入浴)。バリアフリー住宅も施設に入るより安くて、質の高い生活が送れる可能性も。中古とかで人気は無いんでしょうか?

認知が入っていると施設は重要になってきますね。特に徘徊とかどうしようもありません。自由にさせておいて、健康な人が引きずり回されるのが我々の目指す社会でしょうか?本人的にも危なくて仕方がありませんし、交通事故が起こる可能性も高く、誰も得しません。

便乗値上げの横行を許せば、賃金と物価の好循環は実現しない

2024-05-15 18:16:07 | 厚生労働
今、岸田政権は日本経済を再浮揚しつつあると思いますが、賃金と物価の好循環に関して、一番危機感を持っているのは私かもしれません。というのも、企業はこの期に及んで便乗値上げして、内部留保したり、手元資金を厚く積んだりしているんじゃないか?と疑っているんですね。

賃金と物価の好循環を実現するのは、企業の自主性に任せた賃上げではなく、政府の規制や企業間の競争や労働者団体の圧力で止むに止まれず、賃金を上げるケースではないかと私は思います。とにかく便乗値上げを許せば、賃金と物価の好循環等、夢のまた夢なのは明らかです。

便乗値上げを防ぐには企業の良心に頼ってはならないはずです。人間、誰しも自分に甘いですから。では政府がどうするかと言えば、一つに内部留保・手元資金を削るインフレですし、最低賃金上げであったり、サービス残業、差別待遇(同一労働同一賃金違反)の摘発だったりすると思います。

日本人の給与を低く抑えている年功序列終身雇用制に関して言えば、産業、地域、職種別の欧州型の労働組合の導入が、横の移動を容易にし、改善に成功する可能性があると思います。少なくとも日本型の企業別労働組合は年功序列終身雇用制を維持する方向に働くはずです。

これまで問題になってないことで重要なのは、競争に敗れた経営者や個人事業主の生活の問題かもしれません。年をとっていれば、就職も容易じゃないでしょうが、そのために年金を雑に増額すれば、日本が滅びます。若い内に掛け金を増やしたり、高齢者の雇用を促進したりすることが穏当な解でしょうか。

年金とか保険とか上げると、実質増税ダーッって難癖つける人もいますが、これは人口逆ピラミッドの自然な帰結に過ぎません。生活できなくなった人を始末したり(姥捨て山?)、ホームレスを増やさない限り、結局生活保護がありますし、どうやったって負担は生じる訳で、我儘言っても仕方がありません。

若者の負担を上げるのは心苦しいですが、賃上げでお釣りが来るように努力するのが政治の仕事だと思いますし、少子化を促進しないためには、少子化対策(再分配)が重要だと思いますが、負担が上がることで、稼げる仕事につくインセンティブを上げることも出来ると思います。

中間管理職や高齢者の雇用に難しい側面があるのは否めません。ただ最後は生活保護で何処かが負担しなければならず、企業を強くするため、安易に切れるものではありません。私は何も弱肉強食を主張している訳ではなく、悪習の固守を目指している訳でも勿論なく、漸進的な変革を促したいだけなんです。

大学病院勤務医(及び国立病院勤務医)の給与上げを

2023-11-02 00:42:14 | 厚生労働
大学病院医師の給料はなぜ安い?私立病院との違い・勤務医の年収UPを目指すには(メディカルキャリアナビ 2023.10.27)

独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した調査
経営形態 平均年収
国立 882万4,000円
公立 1347万1,000円
公的 1353万4,000円
社会保険関係団体 1280万7,000円
医療法人 1443万8,000円
個人 1414万円
学校法人 739万5,000円
その他の法人 1406万4,000円

>大学病院は研究・医師の育成を目的とした施設(医療機関)です。利益の追求を目的としていないことから、人件費の予算が低く設定されています。
>人件費の予算が少ないにもかかわらず医者の数が多い
>年功序列の風潮が残っている病院が多い

お医者さんの給与は高いイメージですが、大学病院の平均給与は学校の先生の平均給与並みであるようです(国立病院勤務医も低いようですが)。多分、低賃金激務の代わりに技術を身に着け易い環境にあって、それが魅力で大学病院や国立病院の勤務医の成り手はあるのでしょうが、年功序列でもあるようで、若い内は低賃金激務で働いて技術を身につけよという発想自体が古いと考えます。医者というエリート層が時代に適合しないモデルで働いていたら、示しがつかないところがなくないですか?他の業界でも医者がやっている、何が悪いとなりかねないでしょう。

具体的にどう改善するかですが、①人件費を増やす。②予算に併せて人員を減らす。の2通りしかありません。私は理由なく既存の秩序を壊したいと思っていませんから、①の方がいいと思う訳ですが、②でも他の医療機関が受け皿になる可能性は考えられます。その辺は実情を調査して政策に落とし込まなければならないんでしょうが、①だと技術を身につけられて給与も悪くないということで、医師の人気が集中する(コネがものを言うようになる?)可能性もあるでしょう。まぁ粗探しすれば、何でも言えますが、何にせよ調査が事実だとすれば、他の医療機関との格差が大き過ぎます。私は今の国民皆保険の制度は維持すべきと思いますが、時間やお金を投資して医者になっているでしょうに、技術料が安く搾取されるのは、適正価格の労働という理念に反する訳で、これからまだ高齢化社会は進行することは承知の上で、多少医療費を増大させることは止むを得ないと考えます。

その代わりと言っては何ですが、医療の質を上げ、コストを下げる医療DXをサボタージュするのを止めてもらいますし、相対的に富裕な高齢者の医療費負担は上げる余地があると思います。低所得の高齢者の1割負担自体は、病気になり易いことを考えると破綻させないために止むを得ないところがあると思います。ぶっちゃけ生活保護を切るという決断でなければ、破綻させたところで、寧ろ公費負担は上がる可能性もあります。1割or2割で壁を造るのではなく、なだらかに所得制限を設けてもいいでしょう。ただし現役以上の所得がある人の医療費を現役より安く抑える意義はよくよく考えられていいとは思います。

また年功序列の風潮は有り得ません。とにかく丁稚奉公の文化はどうにかした方が良く、少子化の原因になっていると共に、働かない高給取りの高齢者を逆ピラミッドで養うこと等、物理的に出来ません。医療報酬を国が設定できるのであれば、若い勤務医の給与をとにかく上げていき、単純に物価に併せた給与スライドをしないことです。勿論(技術を身に着けてない内から)一人前の給与という訳にもいかず、給与格差があっていいと思いますが、何事も程度問題です。今の若い人搾取=年功序列は有り得ないと思います。高齢者が若い内はそうして働いていたとしてもです。出来ないものは出来ません。

一方、今の少子高齢化の流れで、高齢者は死んでもいいというような風潮が一部にあることは否めませんが、私はその手の「理論」を全く評価していません。それは高齢者医療/介護に携わってない人の一方的思い込みに過ぎないと思うからです。確かに認知症等で訳が分からなくなった高齢者はいますし、そうなってまで生きてどうするんだ(自分はそこまでして長生きしたくない)という考え方は有り得るでしょうが、だからといって殺していいというのは人道上有り得ませんし、そうさせたくないという家族の気持ちがある高齢者も少なくないでしょうし、何より大病を患っても意外と意識のハッキリしている期間は長く(良性腫瘍と悪性腫瘍の区別は難しい面も?)、手術等で病気が治って、それからわりと(意識がハッキリしたまま)長生きすることも少なくないんですね。人は誰でも高齢者になります。ユニバーサルメディカルアクセスは一つの理想だと思う訳で、国民皆保険はそれをそれなりに実現してきたのだろう(維持すべき)と思います。医療だけでなく、日本人の働き方を変えるべき時期に来たとしても。

追記:こんな意見も・・・火鍋チャンネル(妖精)@hinabe_ch X
>玉木雄一郎さんの発言は突き詰めれば「家族からの支えがなく、資産のない高齢者に対しては、行政は一定年齢以上(例えば75歳)になったら支援しません」という意味で社会保障の水準を下げましょう、そのためには国庫が負担する医療費にはシーリングつけましょうという話に直結するんよね。

①人はどれだけ長生きするか分からないので、誰しも適切に資産を貯めることなんて出来ません。共助のシステムは意外と合理的です。
②家族に頼るシステムが機能するのは、あくまで生き延びる人が少なかった時代の話で、少子化社会では多くの人が切り捨てられることになります。

さすが火鍋(中国を中心に香港や台湾、マレーシア、シンガポールなどアジアで親しまれている鍋料理)。中国はこうやって(行政の切り捨てと家族システム依存で)少子高齢化を乗り切るつもりなのかもしれません。

ゆるブラックなる逆ベクトルの言葉

2023-10-28 06:44:25 | 厚生労働
「ゆるブラック」浮上、働き方改革の罠 成長求める若手(日本経済新聞 2023年10月15日)

ゆるブラックなる言葉ですが、私は違和感があります。過酷なブラックの逆ベクトルの言葉で、本当の問題を隠す効果があるからです。若者が成長の機会を求めることはいいことです。

しかしそれがサービス残業で働くという風なことでは、日本の悪習/デフレ体質が一向に改善しません。日本の病巣は賃上げが無いこと(実質賃金が他の先進国に比べて上がってないこと)です。それをダンピング(不当廉売)して働く若者がいたら、改善策が全てブチ壊しになりかねません。

サービス残業志向の人は良く働くモラルのある人ではありません。ダンピングして、他の従業員の足を引っ張り、日本経済の足を引っ張るモラルのない人です(物価の上がらない理由の一つに企業のダンピングがあるかもしれません)。勿論、企業が給与を出すから働けというなら、それもアリだと思いますが。

成長の機会を求めるなら、家で勉強も出来るはずです(無論、それは会社のためでなく、個人が報われるため勉強するのです)。給与支払いのある残業の無い会社は業界自体、人手が足りている(有効求人倍率が低い)可能性が高いです(サービス残業だらけの業界がブラックです)。

緩いのが問題と思うのであれば、働く業界の変更を考えた方がいいと思います。DXが進むと仕事が無くなる業界もあると言いますよね。今は否応なく終身雇用年功序列が通用する時代ではなくなっています。意欲のある若者はダンピングは封印して是非自分のキャリア形成を図って欲しいと思います。

季節外れの感染症の薬不足

2023-10-07 08:28:22 | 厚生労働
今、感染症の薬が不足しているようです。

感染症の薬は需要を見極めるのが難しいんでしょうね。季節外れの今の流行に上手く対応できていないということでしょうか。在庫を豊富に持って廃棄もそれはそれで問題でしょうし、一定の確率で発病してくれれば、対応が楽なんですけどね。

普段、工場を眠らせておいて、兆候が見えたら稼働させるとか考えられますが、休眠工場を抱えるなら、薬価は高くなるはずです。一時的な働き手をどう確保するかの問題も(長期保存の効く薬を暇な時につくるとか?)。あるいはある程度つくって使わなければ廃棄の方が安い可能性もあるかもしれません。

薬の有効期限は製造から3~5年とも言います。期限の近い薬を普通に使っていれば、感染症の薬の在庫の問題も解消するように思えます。

有効期限の長い薬の在庫を多く持って、期限が長くても使わなければ期限に近づきますので、特に他の薬を使う理由が無ければ優先的に使えばいいと考えられます。

このぐらいのことを製薬会社や厚労省が思いつかないのか知りませんが、分かってて薬価吊り上げ目的のサボタージュしているようにも見えなくもありません。

職務給がもたらす高い初任給

2023-09-29 20:18:20 | 厚生労働
まず終身雇用年功序列制はピラミッド型の人口構成を前提とする途上国型制度ですから、これは持続不可能です。現に若い人に負担がかかり過ぎていて、少子化の原因にもなっており(労働者に社会保険料の負担が重くのしかかります)、高齢者に偏在する金融資産は眠ったままになっています(何時死ぬか分かりませんので、持ち家ありの厚生年金でもなければ、上手く貯蓄を取り崩すことは出来ません)。従って、終身雇用年功序列制と相性のいい職能給も廃止の方向に向かうできでしょう。結論として(同一労働同一賃金をむねとする)職務給しかない訳ですが、これは一定の労働分配率下で、年功的賃金の増加を抑制できますので、その分初任給の上昇をもたらすと考えられます(実際に職務給の欧米の初任給は日本より高いです)。

職務給は職務内容を明快にしなければなりませんから、人によらず、一定の品質の仕事を保ち易いとも言えそうで、日本に馴染まないとは私は思いません。

日本企業、蓄える賃上げ力 経常利益4~6月最高の31兆円(日経 2023年9月28日)

2024年卒の大卒求人倍率は1.71倍で、コロナ禍前水準に戻っています。建設業、流通業等、有効求人倍率が高い業界は改革まったなしだと思います。人件費を上げるか、DX化(設備投資)か効率を考えて、早急に対応しなければなりません。

賃上げ・設備投資の原資は価格転嫁、融資、投資等の手法が考えられますが、融資、投資は結局儲からないと持続可能ではないので、価格転嫁といった儲けるスキームの話は避けて通れません。価格転嫁して減収になるなら、過当競争の可能性が高く、弥縫策は問題を長引かせるだけでしょう。

賃上げ余力のある企業を煽って賃上げを求めていきたいところですが、現役労働者で構成される労組主体の賃上げだと初任給が上がらず、中高年の給与が高い年功序列制が温存されるような気もします。この問題点は経営者の視点で若い労働者のコスパが良くなり、中高年が不要な人材になることだと思います。

(金を稼ぐ力に差が出にくい)普通の業界では職務給でいいと思うんですよね。スポーツ選手や芸能人なんかは能力主義というか、本来の意味での職能給だと言えるかもしれませんが、いずれにせよ、日本の大勢は少子高齢化の影響を受けざるを得ず、年功序列終身雇用は持続可能でありません。

公務員に限って言えば、職務給にして、初任給を上げて、なだらかな賃金上昇で高齢者の賃金は抑えめにすることは簡単です。政府がそうすればいいからです。高い初任給で新卒を奪われるのが嫌であれば、民間もそれに倣うでしょう。気を付けないといけないのは、初任給を上げた上で、年功賃金/職能給を温存したまま、中高年の給与まで上げないことです。それをやると公務員天国の増税路線、民間部門の縮小で共産主義路線まっしぐらですから。

民間部門の評価は難しいですが、業界ごとに適正な労働分配率があって、初任給で評価すれば、間違いないでしょう。職務給ですから、同一労働同一賃金で非正規は実質的に禁じるべきかと思います(短時間勤務の待遇の問題はあると思いますが、長時間勤務の正規と基本的に変わらない非正規は社会保険も含め、同一給与同一待遇にしていくべきでしょう)。

では頑張る人が報われないのかと言えば、そうではないでしょう。職務給でも(賃金を支払って)繁忙期に働いてもらうことは可能だと思いますし、業界によって、職務が明確になっていれば、技能をつけることで、ステップアップすることも可能なはずです。

欧米風の職務給にすれば、(価格転嫁で)物価が高くなって、生活が苦しくなるかと言われれば、そうではありません。実質賃金が上がっていないのは、日本だけなのですから。

実は2020年4月から正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止されています(「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」厚生労働省)。政府は既にジョブ型雇用に誘導しているとは言えますが、公務員もそうしているか、民間が政府が誘導する方向に動いているかは検証の必要があるかもしれません。

第3号被保険者の変革こそが日本の力になる

2023-09-29 16:00:39 | 厚生労働
[社説]社会保障ゆがめる「年収の壁」助成金(日経 2023年9月28日)

今の補助金案で、期限が来た時、人手不足を補った配偶者が、そのまま働いてくれればいいですけど、扶養に戻ると、人手不足が再来します。それを避けるため、補助金を続けるのであれば、「専業主婦」に国がお金を出すということになります。専業主婦とは仕事が無い途上国型の制度であり、家電が無く家事労働の負担が重かった旧時代の遺物であって、事実として少子化対策として機能していません。少子高齢化が進んだ日本では、社会保険料を納める労働者の数は多い方が、高齢者を上手く支えられます。第3号被保険者の変革こそが日本の力になるのであって、私は今度の補助金案に反対です。

(社説)「年収の壁」 厚生年金拡大が王道だ(朝日 2023年9月29日)

>まずは厚生年金の適用を広げて3号を絞り込み、残る人たちの実情に合わせて今後の制度のあり方を考えるのが、現実的ではないか。

仰る通りで、岸田政権の「年収の壁」対策は人手不足問題を先送りするバラ撒き弥縫策に過ぎず、問題の根本解決になっていません。厚生年金拡大が王道という指摘に耳を傾けるべきだったのではないでしょうか?これは専業主婦幻想に阿る選挙対策に過ぎず、私は明快に反対です。

今の若い女性に専業主婦に憧れがある人は少なくないようですが、玉の輿に乗れる人はそう多くありませんし、富裕層の男性が専業主婦を求めているとも限りませんし、求めているとしても、生涯配偶者を大事にしようと思っているとは限りません(「女房と畳は新しいほうがよい」と夫の浮気で熟年離婚される可能性もあります。その時、十分な補償が出来、実行する男性がどれだけいるでしょうか?女性が稼げば、浮気を防げる訳ではありませんが、夫に依存していなければ、浮気されても問題が少なくなりますし、逆に気になる男性が出てきたケース等で、熟年離婚を切り出す基盤があるとも言えます。実家がお金持ちだったら、あるいはよほど自分に魅力があって、ほどほどの相手で我慢したのであれば(幾ら一定の魅力があっても、自分より魅力のある相手は新しい相手を見つけてくる可能性があります)、手に職が無くても心配は要らないのかもしれませんが、普通の家庭では女性も仕事をした方が安心ではないかと私は思います)。

政治家の妻や支援者の妻に(働いてない)第3号被保険者が多いってことではないんですよね?

インドのIT人材から考える外国人労働者、日本のIT業界

2023-09-29 11:37:20 | 厚生労働
インド人は日本で働いてくれるのか 人材獲得競争は劣勢(日経 2023年9月28日)

日本のIT企業は人手不足ですし、ITスキルがあって、英語が出来るインド系人材の活躍の場は少なくないかもしれませんね。ただ日本は今円安ですし、国際比較でIT業界の平均給与は安く就職先として魅力がない可能性も考えられます。IT関連で在留資格の壁があるとしたら、もったいない話だとは思います。

外国人労働者と言えば、技能実習生のイメージもありますが、IT業界は技能実習の対象ではないようで、IT人材を求めるのであれば、技能実習生は特に必要でないと思われます。現地の日系企業で特に日本語を使うことも無く、帰国後のキャリアを活かした就職口も少ないなら(技能実習がキャリアアップにならないなら)(借金してまで日本に来ることあるでしょうか)、日本人の賃下げに繋がる技能実習の制度はそろそろ考え直した方がいいのかもしれません。

キツイ仕事で日本人の応募が少なく外国人労働者が必要な(価格転嫁したくない=増税に繋がる公の支出に依存している)業界があるなら(建築は民需主体で賃上げのための価格転嫁は(健全な)物価の上昇に帰結します)、(期間限定の)技能実習という形ではなく、就労ビザで普通に定着してもらうのがお互いのためではないでしょうか?

日本のIT業界(や理系人材)は国際的に(相対的な)待遇が良くない(IT業界におけるサービス残業の撲滅を)/平均給与が低いことで知られます。これは経営の問題でもありますが、民間の報酬は官が先導する(人材を高報酬で官が奪にいく)ことでも上がります。デジタル庁や理系技官の(特に初任給)を(増税に繋がるのを承知の上で)引き上げることでしょう。IT等の先端産業は日本が先進国で居続けるのに必要な産業だからです。経営の技術を理解した技術経営を進めるには、フランスのグランゼコールよろしく理系の教育を強化することで、技術を理解した経営者候補を育てること等、考えられます。