スパイ気球、日本も撃墜可能…浜田防衛相「国民守るため現行法でも状況次第で」(読売 2023/02/07)
お言葉ですが、自衛隊法が定める弾道ミサイル等に対する破壊措置は偵察用気球を想定していないという指摘があるようです(
日本にも飛来した気球、官房副長官「関連性分析へ」…領空侵犯だが自衛隊法では撃墜困難 読売 2023/02/06)。日本は情報をとられること(情報戦<ハイブリッド戦)にもっと危機感を持っていいのかもしれません。
自衛隊法(e-Gov)
>第八十二条の三 防衛大臣は、弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。以下同じ。)が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。
自衛隊法82条の破壊措置は読売2/6(現在は読めません)(
2/12yahoo記事の出典)で言及されており、偵察用気球の撃墜困難とされます(2/16追記)。個人的には気球は弾道ミサイルではなく、関係無い条文かと思います。風船爆弾=気球なら弾道ミサイルだとも読めなくはなく、判別は案外難しいのかもしれませんが(2/16追記)。
>第八十四条 防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。
自衛隊法84条の航空機ですが、気球やドローンも含まれるのだとすれば、現行法でも気球やドローン(非正規戦<ハイブリッド戦)の破壊措置は可能かもしれないとは思います。(無人機を)着陸させたり退去させたりの文言がやや大仰で滑稽にも映りますが。想定外を想定することも重要だと思いますが、公開で議論することは手の内を晒すことにもなりかねないとは思います。
自衛隊はポジティブリストの「軍隊」でネガティブリストの軍隊とは質が違います。想定外には弱いんじゃないでしょうか(実際宮城に来た時は野放しだった訳で)。憲法改正が必要なのでは?
ロシアのウクライナ侵攻で正規戦に注目が集まりましたが、(元はハイブリッド戦から始まっており)依然ハイブリッド戦にも注意が必要だと思われ、ポジティブリストで対応できるのかが問われている気がします。
(某国の台頭で)軍事バランスの均衡が破れると戦争が起こる可能性が高まると考えられ、日本は十分な備えを平時からしておいてほしいと思います。
小谷哲夫氏(
ツイッター 午前9:45 · 2023年2月8日)によれば、「昨年6月にハワイ沖に墜落した気球を回収・分析して初めて、米情報機関はこれが中国の偵察気球だと把握できたとのこと。」だそうです。日本は未確認飛行物体を野放しにしているのでしょうか。高高度偵察気球の対処は難しいとは思いますが、要は正体不明の「スパイ」ですから、野放しにしておく訳にもいかないはずです。
偵察気球は撃墜困難とも言われるようですが(
中国の「偵察気球」は撃墜困難 米専門家 yahooニュース afp 2/4(土) 17:22)、撃墜できたのはF-22ならでは(
ツイッター 午後1:12 · 2023年2月5日「気球はレーダーでは探知しにくいが、F-22本体の強力なレーダーをサイドワインダーとデータリンクさせることでロックオンが可能だったとのこと。」なのかもしれません。いずれにせよ、日本はどうするかが問われています。F-35はF-22と同等のレーダー性能がありますが、高度6万フィート(約1万8000m)以上まで上昇できないとのことです(F-15はF-22と同様に上昇できるようで、日本の主要装備です)。宮城上空で中国の気球が何をしていたのか(ただ目撃されただけで通過点だったのか、宮城に用があったのか)分かりませんが、その目的如何によっては、撃墜する必要もあるはずであって、日本の装備大系が改めて問われると思います。