2000年6月に、イングランド・マンチェスターで開催された
「国際特殊教育会議」のテーマは『インクルージョン』でした。
会議の中で、会議名(Special Education)と
テーマ(Inclusion)の矛盾が議論になったそうです。
つまり、「インクルージョン」の理念では、
「特殊教育(特別教育)」ではなく、
「ひとり一人のニーズに応じた教育」が重要だという指摘です。
「国際特殊教育会議」という名称も変更する必要があるという意見まで出たそうです。
もちろん、事務局はちゃんと回答できなかったようですが。
「特別教育(特殊教育)」の定義が問われるようになっています。
「特別な教育的ニーズ」という言葉も同じです。
何を「特別」とするのか?
何を「特別」としないのか?
そもそも、ひとり一人の子どもはみんな、
その存在自体が「Special」であり、「特別」なのです。
こうした議論を経て、国連の『障害者権利条約』では、
「特別な教育ニーズ」「特別なニーズ」という言葉に代わって、
「個別に必要なもの」という言葉遣いになっているということです。
でも、どっちにしても気をつけなければいけないのは、
言葉にだまされないことです。
「特別な教育」「特別な教育ニーズ」という
言葉や考え方に疑問が出されても、
日本では、「個別に必要なニーズ」という言葉で、
仲間集団から抜き出され、
「個別指導」される子どもが増える一方なのですから。
参考文献
『インクルーシヴ教育に向って』
嶺井正也 シャロン・ラストマイアー著 八月書館
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