【《対象外》の助け方は「分からない」という法則(a)】
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明治のはじめ。
海外視察後の誰かが言った。
「文明国では、こういう子を教育し、助けるのが当たり前らしい」
「そうか、我が国もやってみよう。何もしないと、諸外国から相手にされなくなる。で、どうやって教育し、助けるのだ?」
「いや、それがいいということは分かったのですが、どうやったらいいのかがさっぱり分からんのです」
「そうか、江戸時代にはなかった《助け方》だからな。よし、では今は、やる気だけでも示すことにしよう」
「では、《ソノタ 廃人学校アルベシ》というのはいかがでしょう?」
「よし、それでいこう」
◆
150年後。令和。
1年前。国連から勧告が届いた。
「世界では、こういう子も一緒に教育し、助けるのが当たり前のようです」
「そうか、我が国もやってみよう。何もしないと、諸外国から相手にされなくなる。で、どうやって教育し、助けるのだ?」
「いや、インクルーシブという言葉を使うのは分かったのですが、どうやったらいいのかがさっぱり分からんのです」
「そうか、昭和にも平成にもなかった《助け方》だからな。よし、では今はやる気だけでも示すことにしよう」
「では、《日本型・インクルーシブ教育システム》というのはいかがでしょう?」
「よし、それでいこう」
(つづく)
※写真:仲村伊織