言わなければならない事は言わないと前には進まない

生活する中において言わなければならない事や、他の記事で共感したことなどを中心に。今その時の思いを表す。

世界で最も「貧しい」大統領の演説

2014-01-06 04:30:55 | 言いたいことは何だ
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世界で最も「貧しい」大統領の演説

ウルグアイのホセ・ムヒカ大統領の、2012のリオ会議で行ったスピーチです。
彼は資産の80%を寄付し、個人資産は時価18万円のVWだけ。郊外の質素な家に住み、月$1000でくらしています。
ウルグアイと言えば南米のブラジルとアルゼンチンに挟まれた小国ですが、第一回W杯の優勝国です。前回の南米選手権でも優勝。いま・おれが最も好きなジョガドール、フォルランがいます。かつて、インテルミラノにいた出っ歯のレコバ(素晴らしいジョガドールでした)も忘れられません。
ちょっと示唆に富んだスピーチでそして、かなり「進んだ」考え方だと思います。南米の国はかつてアメリカによる新自由主義に「荒らされました」。そこで失敗したアメリカはそのターゲットを「日本」に向けたわけです。
南米の国々はその後、ほとんどの国で「左翼政権」となりました。その筆頭がこないだ亡くなったヴェネズエラのチャベスです。国連のスピーチにおいて、前日のブッシュの演説に言及し、「昨日ここに悪魔がいた。まだ臭いが残っている」という痛快なスピーチをしました。ムヒカ大統領はそこまで過激ではないですが、その社会を・世界を見る目に「俯瞰」を感じます。第三の見方のようなものを感じるのです。
以下はそのスピーチです。
読んでいろんなことを考えてみてください。では・どーぞ!

会場にお越しの政府や代表のみなさま、ありがとうございます。
ここに招待いただいたブラジルとディルマ・ルセフ大統領に感謝いたします。私の前に、ここに立って演説した快きプレゼンテーターのみなさまにも感謝いたします。国を代表する者同士、人類が必要であろう国同士の決議を議決しなければならない素直な志をここで表現しているのだと思います。
しかし、頭の中にある厳しい疑問を声に出させてください。午後からずっと話されていたことは持続可能な発展と世界の貧困をなくすことでした。私たちの本音は何なのでしょうか?現在の裕福な国々の発展と消費モデルを真似することでしょうか?
質問をさせてください:ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。
息するための酸素がどれくらい残るのでしょうか。同じ質問を別の言い方ですると、西洋の富裕社会が持つ同じ傲慢な消費を世界の70億~80億人の人ができるほどの原料がこの地球にあるのでしょうか?可能ですか?それとも別の議論をしなければならないのでしょうか?
なぜ私たちはこのような社会を作ってしまったのですか?
マーケットエコノミーの子供、資本主義の子供たち、即ち私たちが間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです。マーケット経済がマーケット社会を造り、このグローバリゼーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか。
私たちがグローバリゼーションをコントロールしていますか?あるいはグローバリゼーションが私たちをコントロールしているのではないでしょうか?
このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で「みんなの世界を良くしていこう」というような共存共栄な議論はできるのでしょうか?どこまでが仲間でどこからがライバルなのですか?
このようなことを言うのはこのイベントの重要性を批判するためのものではありません。その逆です。我々の前に立つ巨大な危機問題は環境危機ではありません、政治的な危機問題なのです。
現代に至っては、人類が作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていません。逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです。私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。
ハイパー消費が世界を壊しているのにも関わらず、高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しているのです。消費が社会のモーターの世界では私たちは消費をひたすら早く多くしなくてはなりません。消費が止まれば経済が麻痺し、経済が麻痺すれば不況のお化けがみんなの前に現れるのです。
このハイパー消費を続けるためには商品の寿命を縮め、できるだけ多く売らなければなりません。ということは、10万時間持つ電球を作れるのに、1000時間しか持たない電球しか売ってはいけない社会にいるのです!そんな長く持つ電球はマーケットに良くないので作ってはいけないのです。人がもっと働くため、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです。悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか。これはまぎれも無く政治問題ですし、この問題を別の解決の道に私たち首脳は世界を導かなければなりません。
石器時代に戻れとは言っていません。マーケットをまたコントロールしなければならないと言っているのです。私の謙虚な考え方では、これは政治問題です。
昔の賢明な方々、エピクロス、セネカやアイマラ民族までこんなことを言っています
「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
これはこの議論にとって文化的なキーポイントだと思います。
国の代表者としてリオ会議の決議や会合にそういう気持ちで参加しています。私のスピーチの中には耳が痛くなるような言葉がけっこうあると思いますが、みなさんには水源危機と環境危機が問題源でないことを分かってほしいのです。
根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです。そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということ。
私は環境資源に恵まれている小さな国の代表です。私の国には300万人ほどの国民しかいません。でも、世界でもっとも美味しい1300万頭の牛が私の国にはあります。ヤギも800万から1000万頭ほどいます。私の国は食べ物の輸出国です。こんな小さい国なのに領土の90%が資源豊富なのです。
私の同志である労働者たちは、8時間労働を成立させるために戦いました。そして今では、6時間労働を獲得した人もいます。しかしながら、6時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。なぜか?バイク、車、などのリポ払いやローンを支払わないといけないのです。毎月2倍働き、ローンを払って行ったら、いつの間にか私のような老人になっているのです。私と同じく、幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎてしまいます。
そして自分にこんな質問を投げかけます:これが人類の運命なのか?私の言っていることはとてもシンプルなものですよ:発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。これらをもたらすべきなのです。
幸福が私たちのもっとも大切なものだからです。環境のために戦うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な要素であるということを覚えておかなくてはなりません。

http://monile7777.seesaa.net/article/384169896.html (via kagemaru1014)

景気が回復しない原因の一つ。政府はブラック企業対策をしっかりやってくれ

2014-01-06 04:15:55 | 言いたいことは何だ

時代を読む~若手論客に聞く(4) NPO法人代表・今野晴貴さん、日本型雇用を逆手に



カナロコ by 神奈川新聞 1月5日(日)13時0分配信
 正社員として採用した若者を長時間労働や過酷な環境で使いつぶし、退職のみならず心身の病に追い込むブラック企業。NPO法人代表の今野晴貴さん(30)はベストセラー「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文芸春秋)でその存在と実態を顕在化させ、政府の対策を後押しした。ブラック企業の問題は若者だけではなく、社会を揺るがし、すべての人に関わる問題だと説く。

 ■社会壊す本質
 著書を通じ、違法で過酷な働き方を若者に強いるブラック企業は社会問題であると提起したことが、昨年の私の仕事の主だったことでした。

 若者から労働相談を受けるNPO法人「POSSE(ポッセ)」を立ち上げたのは大学在学中の2006年。当時は正社員ではない非正規の仕事に就く若者が増えていて、「勝手気まま」などと批判されるようになっていた。私は労働法を勉強していたので、それは違うと思った。会社側が「非正規で採用する」と言って非正規で雇われているにすぎないのに、なぜ若者が原因だとされるのか。付き合いのあった労働組合の人もそうした実態への認識が薄く、危機感を持ったのも大きかった。

 12年の相談は約千件で、13年は2千件に迫るペースだった。厳しい労働環境に置かれた正社員の問題が目に見えて増えてきたのは09年以降で、「ブラック企業」という言葉が使われるようになったのは10年。それまで相談をかなり受けていたので、これは正社員雇用の問題だ、とすぐにぴんときた。

 ブラック企業というのは若者が職場で追い詰められてうつ病になっているとか、いじめられて辞めさせられているという話です。働き続けることができない、体を壊す、精神疾患にかかる。最大の問題は、結果的に心身を破壊するということ、人を使いつぶすことなのです。

 その結果、得られるはずの税収が減り、医療費や社会保障費を増大させ、若者の未来を奪うことで少子化にもつながる。そういう社会的損失、人間の体や人生をないがしろにして成り立つ経済などあり得ない。問題の本質はそこにある。

 ■労使関係変質
 ブラック企業を生んだ一番の要因は、労使関係が変わったことです。日本の労働はもともと厳しいが、それでも基本的には日本型雇用の枠内に収まっていた。日本型雇用は労使関係が重視され、労組との交渉でつくられてきた。

 それに対し、ブラック企業は新興企業に多くて、労組もなければ従業員との話し合いも一切ない。すべて会社が決めた通り、会社が自由に決められるという世界的に見てもまれな雇用形態だと思う。

 労務管理のやり方を変えた、あるいは今までと違うやり方の企業が増えてきたということ。普通なら労組が入るところを全部勝手に決められる。その中で使いつぶせば利益が出るぞ、という認識が広がった。何やってもいいんだ、こいつら何やっても黙ってるよ、と。労組がどんどんなくなって、何をやってもいいという状態になったときに、ブラック企業が出てきたということだと思います。

 産業構造が転換する中で、新興企業が増えている。その新興企業が新卒を採用する。そうすると必然的に、新卒のところばかりが労使関係不在の、新しい形の労務管理をやっているブラック企業になってくる。何も問題が起きないんだから、入れてすぐに辞めさせればいいという機運が高まっている。代わりはいくらでもいるし、日本自体がつぶれてきたら外に出て行けばいいとも思っている。

 日本の場合、特殊なのは、どんな条件でも我慢しなさい、ということがまかり通ってきたことです。日本型雇用というのは、頑張って我慢すれば報われる世界。そうしたいつか報われるという信用を逆手に取る、裏切る企業はあるということを前提に、社会は行動しなければいけなくなっている。

 そこをまだ社会全体が認識できていない。例えば教育現場では、何かあれば専門家に相談しに行くとか、勤務記録をつけておいて、後で裁判になったときに対応できるようにするとか、そういう労働法をぜひ教えてほしい。

 認識が変わることで、本人が自分を追い込んでしまう、自分が悪いんだと思い込んでしまうことから脱却していく可能性が広がります。

 ■再生の一歩に
 昨年大きかったのは政治が動いたことです。実際に与党、厚生労働相がブラック企業の対策をしなければいけないと言明し、厚生労働省が対策に乗り出した。きっちり企業に責任を取ってもらわないと、若い人たちに未来がなくなる、国の未来がなくなるとまで言っている。これは画期的な思考の転換だと思います。政府が言うことで、認識がかなり変わった。

 悪い企業もあるということをしっかりアナウンスしたことで、当事者は立ち上がりやすくなる。企業の側が悪いんだと、少なくとも行政が言っているわけですから。そこで取り締まれなくても、裁判で権利を回復しようかとか、労組に入って対等な立場で条件を見直そうかとか、そういう話につながる後押しになります。

 最近、福祉関係者や教育者、弁護士らと「ブラック企業対策プロジェクト」を立ち上げました。ブラック企業の見分け方を説明する冊子の無料ダウンロードなど、いろいろな取り組みをやっています。相談を受けている人と、さまざまな現場の人が事実を共有して対策を一緒に考え、それを広げていくと。そういうことで包囲網を作っていくイメージ。解決していくためには、認識が広がるだけでは駄目で、当人が被害を回復することを社会が支えなければいけないんです。

 今までみんな対岸の火事だと思っていたはずです。そうではなく、一人一人がこの問題に向き合わないと日本の再生はできないんだと意識を変えていかなければ本当の解決はできない。それには時間がかかります。

 ブラック企業対策は、ここを起点にもっと日本が働きやすい、豊かな社会になることを目指すという取り組みでもあると思います。マイナスからゼロにすると考えなくていい。もっとずっとマイナスだったんだ、と。これから全部いい方向に一歩ずつ進んでいこうと考える方が、私はいいと思います。

 ◆ブラック企業 長時間労働やパワーハラスメントなどで過酷な労働を強い、若者を精神疾患にしたり、退職に追い込んだりする企業。新入社員を大量採用した上で選別し、パワハラを繰り返して多数を辞めさせることや、低賃金で長時間労働をさせ、追い詰められた若者を使い捨てるのが特徴的なやり方。就職難で採用市場が企業側の買い手市場となっていることが背景にある。

 2000年代に入り、IT企業で働く若者が自らの劣悪な労働条件を訴えるためにインターネット上でこの名称を使い始めたとされる。いまではITだけでなく小売り、外食、介護、保育など幅広い業種で同様の企業が増えている。

 ◇こんの・はるき 1983年、仙台市生まれ。NPO法人POSSE代表、「ブラック企業対策プロジェクト」(http://bktp.org/)共同代表。一橋大学大学院社会学研究科博士課程在籍。著書に「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文芸春秋)など。