私の思いと技術的覚え書き

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失敗学・畑中教授基調講演録に思う

2011-06-12 | 事故と事件
 過日記した、政府が新に設置した「事故調査・検証委員会」の委員長である畑村洋太郎東大名誉教授ですが、2005年に「失敗学のすすめ」と題して、基調講演を行っています。その講演録は下記リンクで見られますが、ここでは自己体験としても、頷ける部分として記してみたいと思います。

 同教授は、日本で今(2005年時点)生じている現象と前提として、以下のことを述べておられます。

①すべての産業は、萌芽(ほうが)期、発展期、成熟期、衰退期を通ります。その内、発展期から成熟期の終わりまでは、不思議とどの産業でも30年なのです。

②産業の萌芽気から発展期の期間において、各部署では自分が何をすれば最良なのか、まだ判っていません。迷ったり、失敗したりしながら切磋琢磨して技術を磨いていくのです。この期間に「知見」が蓄えられ、組織として知見の塊となります。従って。何か変わった事態が生じても、対処が可能な状態にあります。

③ところが産業の発展段階の終期に入ると、マニュアル化が進みます。すると、悩んだり試したりすることは無駄なこととされ、知見を身に付ける機会は失われてしまいます。ですから、マニュアルと違った条件が発生した場合には対応が不能となるのです。

④やがて、この環境(マニュアル文化)で育った者が組織体のトップとなります。マニュアル部分しか知らずに会社を動かしているけど、自分は立派に会社を運営していると思っているのです。恐ろしいことですが、2002年くらいから、各産業で信じられないような事故が、起こり始めているのです。

 以上が、講演録の序章エッセンスですが、私自身の通算30年程の勤務経験からも、まったく頷けることと実感します。もっといえば、勤務経験の後半では、下らない役に立たないマニュアルだけに依存し、者を考えない従業員を増産してきたのが現状ではないのかと思っているのです。それら、マニュアル依存人間は、未知への対応に怯えおののき、チャレンジする意欲を失っている者も多いように思われます。

失敗学・畑中教授基調講演録(郷原信郎 twitter リンクより転載:pdf文書)


※上記講演録は、他にも種々の含蓄を含む内容が多いと感じます。是非、お読みになることをお勧めしたいものです。


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