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ビックモーター保険修理費水増し問題

2022-08-29 | 事故と事件
ビックモーター保険修理費水増し問題
 政治もデタラメが続く昨今だが、企業の不祥事も舌を巻くようなものが続いており、予てこの業界に関わる筆者としても驚き呆れている。
 ことは車両買い取りをメインとして全国展開している「ビックモーター」だが、車両買い取りだけでなく、中古車販売、自動車整備や板金塗装や保険販売なども行っている。今回の報は、内部通報によるものだというが、保険修理費を水増ししていることが発覚したという。

 報では全国33ある整備工場の内の25工場で、水増し請求が疑われる案件が80件超見つかったとしている。ここで、このビックモーターは保険代理店として、保険販売も行っているが、その元請け保険会社として関わる損保は損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上の3社だが、最もシェアの大きいのは損保ジャパン社であるが、その他2社との事後対応に差異が出ているという。つまり、損保ジャパンは,ビックモーターが説明する今次の水増しは、担当者個人の属人的なもので組織的な関与はないというという云い分を鵜呑みにして幕引きを図る姿勢を見せている。しかし、東京海上日動と三井住友の2社は、納得ができず追加調査の説明を求めていると云うのだ。

 この自動車保険の請求疑義を巡る事件だが、元損保調査員として思うに、損保調査員(アジャスター)とは損害額の妥当性を適正化するのが業務ではないのか。今回の事態は内部通報により発覚したとあるが、であるなら、これら関わる損保の損保調査員は正に節穴であり、なんら存在価値がなかったことを示すことではないだろうか。

 以前にも記したが、これが損保調査員の現在の実情を示すものであり、CASE化(onnected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電気自動車))が進行する車関係の世界では、将来的に自動車保有台数の大幅な低下傾向を惹起し、車両ディーラー淘汰、自動車保険の販売低下、国内自動車製造の低下、そして損保調査員の大幅な削減が進むと私見として判断している。つまり、いわゆる自他共に「見積屋」を任じるアジャスターは、今後必要性はないし、現在行われているアジャスター規則や制度も自然消滅するだろうと云うのが私の考えだ。ただし、アジャスター(損保調査員)は、見積屋ではないし、保険の正当性を精査できるの能力を持つ者は、現在の約8千名の内で、10%程度は残存するのではないだろうか。

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保険の「不正請求疑惑」めぐり大手損保が大揺れ、中古車販売大手ビッグモーターの組織的関与が焦点
東洋経済オンライン 8/29(月) 6:01配信
 車両保険金の水増し請求をめぐって、大手損害保険会社が揺れている。

 疑惑の渦中にいるのは、中古車販売大手のビッグモーター(東京都港区)だ。広告チラシなどで「年商6500億円!  社員数6000人!」と業界大手であることを強調している同社は、中古車の買い取り、販売のほか自動車保険の代理店事業や自動車修理などの板金事業も手掛けている。

 実はその板金事業において、車両修理費用の水増し請求を組織的に行っている疑いが浮上し、取引のある大手損保各社が今まさに対応に右往左往しているのだ。

 ビッグモーターの複数の関係者によると、水増し請求が表面化したのは2021年秋のこと。損保の業界団体に「上長の指示で過剰な自動車の修理をし、その費用を保険会社に請求している」という旨の内部通報があったことがきっかけだ。

■全国の工場で水増し請求の疑い
 内部通報を受けて、ビッグモーターと取引のある損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社は2022年2月以降、修理費の請求書類を各社それぞれ数百件抽出してサンプル調査を実施。すると、全国に33ある整備工場のうち25の工場で、水増し請求が疑われる案件が合計80件超見つかったという。

 中には、損傷のない車両のパネル部分に板金塗装を施したり、中古部品を新品と称して付け替えたりといった不正が疑われる悪質なケースもあったようだ。

 そのため、3社はビッグモーター側に自主的な調査を要請。大手3社ともにサンプル調査で疑いのある案件が見つかった関東地域の4工場について、さらに詳しく調査をさせたところ、4工場すべてで水増し請求が確認されたという。

 問題はここからだ。ビッグモーターによる自主調査の結果、複数の工場で水増し請求が発覚したとなれば、各工場における社員個人の過失というより、組織的な関与が疑われることになる。であれば、弁護士など第三者の協力も得ながら、詳細な追加の実態調査が当然必要になるはずだ。

 ところが現在、一丸となって対応するはずの大手損保3社で、足並みが乱れる状況に陥ってしまっている。

 その要因は大きく2つある。1つ目は、ビッグモーター側の姿勢だ。同社は水増し請求について「工場と見積作成部署との連携不足や、作業員のミスなどによるもの」「意図的なものでないことを確認している」などと整理し、兼重宏行社長の指示をはじめ組織的関与はないと主張しているためだ。それゆえ、水増し請求の対象になった車両の持ち主に経緯説明を行っていない。

■早期の幕引きを図った損保ジャパン
 2つ目は、ビッグモーターが保険代理店として所属する会社(代理申請会社)の損保ジャパンの対応だ。損保ジャパンはビッグモーターの自主調査や独自のヒアリングなどを基に、同社の主張をほぼ鵜呑みにするような形で、組織的関与はないと早々に結論づけてしまっている。

 そうした判断を行った理由について、損保ジャパンは東洋経済の取材に対し、「組織的な不正の指示がなかったことを確認できたため」「(事務の)仕組みや作業員などの技術力不足が当該事象の真因であることから、全国的に同様の事象が発生しているとの認識のもと、会社として全社的な再発防止策を速やかに実施していることが確認できたため」と説明している。

 だが、関東地域4工場の調査以後、追加の実態調査が行われていない段階で、仕組みや技術力不足などが「真因」と言い切れるのか甚だ疑問だ。

 一方で、東京海上と三井住友海上の2社はどうなのか。ビッグモーターの関係者によると、2社は追加調査の必要性をビッグモーター側に訴えているという。ただ、年間の収入保険料が100億円以上にのぼり、大型の保険代理店であるビッグモーターへの忖度もあるのか、追加調査を求める圧力はお世辞にも強いとは言えないようだ。

 大手損保3社のビッグモーターへの対応が及び腰に見えるのは、自動車保険をそれぞれ数十億円も売ってくれている大型の保険代理店であり、各社の営業成績に与える影響を無視できないからだろう。

 損保ジャパンがビッグモーターの主張をほぼ丸のみし、早期の幕引きを図ろうとした7月以降、「東京海上と三井住友海上の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)を扱わないという通知が社内であった」(ビッグモーターの関係者)という。これは、ビッグモーター側に水増し請求をこれ以上深く追及して来ず、水に流してくれそうな保険会社とだけ付き合おうとする素振りのように映る。言い方を変えれば、厳しく調査を求めるべき損保が振り回されているわけだ。

■金融庁も損保各社の今後の対応を注視
 ビッグモーターをめぐる組織的な不正請求の疑惑について、損保ジャパンから報告を受けている金融庁のある幹部は、「必要十分な調査をしたうえで、組織的関与はないと判断し幕引きしたのだと思っていた。彼ら(損保ジャパン)の当初の説明内容と現状がだいぶ異なっている。改めて確認したい」と憤慨した様子で話す。

 そもそも板金事業における水増し請求といった不祥事案は、保険業法上の報告義務がない。損保ジャパンは監督当局に対する任意の報告であることを逆手に取り、最小限の説明で幕引きを図ったとみられる。だが、金融庁は関心を強めているだけに、ビッグモーターをめぐる一件は早期の幕引きとはならず、今後大きな問題に発展しそうな気配だ。


#ビックモーター保険修理費水増し請求恒常化


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