私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

ヘッドガスケット抜けの話

2018-05-14 | BMWミニ
 昨夕のこと、副業で関わる旅館のハイエース100送迎車(E/G:1KZ)がエンジンが止まってしまったので、ちょっと見て欲しいとのこと。聞けば、どうやらオーバーヒートで、エンジンが止まりセルが廻らなくなった状態の様だ。つまりアルミピストンの熱膨張で、抵抗が大きく廻り切れないということだろう。見たときはエンジンは冷えていたので、すんなり始動して、それ程の異音もないが・・・。

 ラジエータキャップを外せば冷却水面は当然見えない。水道ホースで相当の水を入れ、エンジン始動すると、案の定のこと泡立つ水が溢れてくるという、何時ものパターンだ。

 いわゆる熱歪みによるヘッドガスケットの抜けが生じている様だが、この手のエンジンは面歪みだけでなく、クラックの怖れもありありだから難しいところだ。年式も古いし、適当な中古車探せばといいたいとこだが、このハイエース指名買いしようとするとバカ高いのだ。といって、中古エンジンと載せ替え様にもバカ高だ。

 とりあえず、何時もの掛かりつけの修理工場に連絡して見てもらうということに誘導したが、もし代替えすることになったとして下取り数万という訳ないから、その時は相談してと云っておいた。これは、以前に系列ホテルにおいて、今回と類似のパターンでハイエース下取り値をバカ安で取り引きしたことを耳にしているので釘を刺しておいた次第なのだ。

 話は変わるが、この前エンジン不調でNo4シリンダー圧縮ゼロのBMWミニ(R60・N16)の事後談として、ヘッドガスケットに関わることを記してみる。このN16エンジンのヘッドを外したのだが、ヘッドガスケットがいわゆるメタルガスケットだが、1枚物でシリンダー周囲に面圧を上げるパンチングプレス加工もされない真っ平らなもので驚いた。昨今はエンジン本体を分解することなどないが、Netで見ていると、メタルガスケットでも、3枚合わせでパンチング加工や折り返し加工が行われているものが多い様だ。しかし、このN16では、シングルシート(たぶんステンレス製)で、ウォータージャケットの周辺の両面にシーラント状物がたぶん機械制御で盛り付けられているだけなのだ。これなら、清掃して適するシーラントを盛れば、何回でも再使用できるのかもしれない。メーカーは否定するだろうが・・・。なお、国産車でも同様のシングルシートのメタルガスケットエンジンは存在する様だ。

 ちなみに、メーカーパーツリスト(http://www.realoem.com/bmw/ja/select)で調べると、標準厚は0.9mmであり、これの倍以上の価格となるが1.2mmのオーバー厚の部品が設定されている。ということは、ヘッド歪みの面研は0.3mmまで可能ということの様だ。

 それと、この様なシングルシートで気密を保つからには、ヘッドの平面度は相当に高いのだろうと、BMW修理書(TIS:テクニカルインフォーメーションシステム)で調べてみた。(https://tis.bmwcats.com/ロシア語サイトだが翻訳にて十分判読可能)残念ながらN16は掲載ないが、バルブトロニックなしの従前モデルN12は基本同一エンジンなので、それをざっと概観すると、ヘッドの縦方向の歪み限度は0.10mmまで、横方向の限度は0.05mmまでと、従来(40年前)からの国産車の歪み限度は縦横斜めすべてが0.05mmだから、それより甘いと判り唖然とした。

 さらに追記するが、ヘッドボルト(M10)は予想したとおり塑性域締付け法だが、ボルトは交換指定。締め付けは①初回30Nm②第1回転角90°③第2回転角90°という指定であることが判った。




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