私の思いと技術的覚え書き

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映画評 空母いぶき

2020-01-08 | 論評、書評、映画評など
 この邦画は昨年5月に公開されたものだが、昨今レンタルDVDがあるのを知り見た次第だ。世に戦争好きと公言する者は希だろうが、世界を牛耳ろう儲けようと戦争を望む者もいるのだろう。そうは云うものの、我ながら国防という面では感心があるし、万国共通の正義なんていうものがある訳ないと確信する以上、侵略されたら徹底抗戦して撃退するしかないだろうと思うしかない。そういう意味で、我が国は70年前に占領軍の意向で作られた憲法を、種々の論議はあれども、一言一句改定できないまま過ごしているのだから、誠におめでたい国だと思う。

 まあ、自己的には自虐史観を持つつもりは毛頭ないが、世のマスゴミだとか、多くの言論人は、強い自虐史観が渦巻いている。その様な訳だからして、あまり期待もせずに見たのだが、違和感出まくりの演出と制作費をケチったという感が大きいB級映画と云うのが結論的な感想だ。

 この映画だが、原作はかわぐちかいじという作者のコミックだそうだが、見てはいない。原作では交戦する侵略国は中国ということになっていて、尖閣事件の件などもあり、一定のリアリティはあるのだろうが、映画では何故かカレドルフもしくは東亜連邦という架空の国になっているところで、いきなり現実感がなくなってしまっている。何故に原作を変更したのか、中国に気遣うという例の忖度としか考えられないと云うところに、既に自虐史観ありありの展開だ。

 また、この映画の各部に、戦争を怖れるというか、憲法9条絡みというか、自衛隊がよく云う専守防衛という亡霊の如き迷いの場面が出てくる訳だが、ここまで先制攻撃を受けていて、なおかつ都度戦闘で、迷いまくるんじゃ余程の戦力差がない限り防衛なんかできないだろう。尖閣事件の件でも、当時の民主党政権は相手国が海保の巡視艇に体当たりして来ているビデオを流さす、たまりかねた海保の職員がYoutubeにビデオを公開して、やっと国民が、世界が、事実を知ったと云うことがあったが、この映画でもその気風を彷彿させる思考が至るところにちりばめられている。

 それと。制作費の問題だろうが、リアルな戦闘機の躍動シーンなどほとんどないが、それを期待して見る視聴者をがっかりさせる。また、物語の緊迫シーンの間に、あまり脈略なく挿入されるコンビニのシーンだとか、たまたま「いぶき」に取材で乗り合わせたという設定になっている男女ペアの記者だが、男の方がまるで軽い男に演出され、女性の方がよほどしっかりしているという演出だが、あまりにも男をバカにしているんじゃないのかとも見えてしまう。同じことが、報道局側のシーンでも同様で、軽い男と、しっかりした女性上司という感じで、正に今の時代の風潮を表しているが如きだ。

 最後に主人公の「いぶき」艦長に、「自衛隊の誇りはこの戦後に1名の戦死者も出していない」と宣わせているのだが、北朝鮮拉致事件の責任が総て自衛隊にあるとまでは云わぬが、責任の一端はある自覚するのが当然であり、何を云わせるんだという反発しか思い浮かばぬ。


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