この論者(田村秀男:元日経新聞から産経記者)は、ヒゲもじゃじじいと評価もしていない。それは、自分がジャーナリト時代に大企業の意を借りた記事を書いて来たくせに、自分がフリーの立場になるとジャーナリズムを批判している笑止千万な輩との評価だ。ただし、下記の携帯電話の価格を下げを意味ないと云う論は、正にその様に思うところだ。
だいたい、政府は資本主義民間企業の価格を統制できる立場にあるのかと思う。それだったら、トヨタ儲けすぎだ、クルマの値段を下げろと云えることになってしまう。ただし、許認可が絡む事業とか政策絡みで競争のない事業については、もの云う権利はあるのだろうが、だったら、電気料金を下げろと云ってもらいたいと記したのは先日の我が論だ。
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菅首相よ、都合良い“役人の数字”を信用するな! 携帯料金引き下げの「ゼロサム」とは
9/26(土) 16:56配信 夕刊フジ
話は少し前にさかのぼるが、9月12日の自民党総裁候補3人の日本記者クラブでの討論会終了後、菅義偉首相のライバル候補のスタッフから、筆者に電話がかかってきた。
「田村さん、菅さんは首相になっても長くは持たないぞ。解散、総選挙は近い。だって、討論会では菅さんしきりに役人が書いたとおぼしきメモに目をやりながら話していた。これでは予算委員会質疑を乗り切れないじゃないか、とみんな言っている」
経済ジャーナリストとしての視点は「スガノミクス」にある。「アベノミクスの前進」を標語とし、行政のデジタル化、携帯料金の引き下げなどによる規制改革、さらに最低賃金の引き上げによって経済の再生を実現するとしている。
デジタル化は新型コロナウイルスが長期化しそうな情勢の下、迅速に推進すべきで、とりわけ遅れや混乱が目立つ行政部門に檄を飛ばすのは大いに結構だ。だが、こと携帯料金の引き下げや賃上げで経済成長を目指すというのは、もっともらしく聞こえても、それこそ小賢しい官僚の作文の域を出ないのではないだろうか。
正しくは順序が逆なのだ。つまり、景気を力強い回復軌道にまず乗せて経済成長を持続させることが重要で、規制改革や賃上げはその後に続くべき課題のはずである。
ちなみに、携帯料金の引き下げの効果はいかほどか。
第一生命経済研究所首席エコノミスト、永濱利廣さんの試算によれば、1割引き下げで1人当たり5300円以上、家計全体で6700億円以上の負担減になるという。確かにスマホを使う時間が長い若者には恩恵があり、娘さんたちはデパートで高級化粧品購入を増やすかもしれない。しかし、経済のマイナス成長が続く中では「ゼロサム」になるだけだ。
ゼロサムとは限られたパイをだれかが切りとれば、だれかがその分、割を食う経済である。経済不振の中で料金を引き下げても、携帯サービス需要が高まるわけでもなく、収益が大幅減になる通信業界は5Gなど技術革新投資の原資に事欠く始末になりかねない。
賃上げはどうか。安倍晋三政権時代、安倍首相は経済界に対し、しきりに賃上げを求めたが不発に終わった。企業売り上げの大半を依存する内需が縮小しているためで、実質賃金はマイナスに落ち込んだ。おまけに2度にわたる消費税率の大幅引き上げによって物価が強制的に押し上げられ、賃金デフレを悪化させたのだ。
菅さんはアベノミクスで雇用が拡大し、正社員が増えたと力説したが、正社員の実質賃金すら下がっている。正社員雇用は確かに増えたが、非正規雇用がもっと増えている。今年1~3月をアベノミクス当初の7年前に比べると、正社員220万人増、非正規280万人増である。しかも、グラフが示すように、今年は12月時点に比べて150万人非正規が職を失った。
菅さん、都合の良いデータばかり差し出すお役人を信用しないほうがいい。(産経新聞特別記者・田村秀男)
【図で見る】自民党の新たな勢力図
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/fa/30fa9418129422a05a1a013d3d37949f.jpg)
だいたい、政府は資本主義民間企業の価格を統制できる立場にあるのかと思う。それだったら、トヨタ儲けすぎだ、クルマの値段を下げろと云えることになってしまう。ただし、許認可が絡む事業とか政策絡みで競争のない事業については、もの云う権利はあるのだろうが、だったら、電気料金を下げろと云ってもらいたいと記したのは先日の我が論だ。
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菅首相よ、都合良い“役人の数字”を信用するな! 携帯料金引き下げの「ゼロサム」とは
9/26(土) 16:56配信 夕刊フジ
話は少し前にさかのぼるが、9月12日の自民党総裁候補3人の日本記者クラブでの討論会終了後、菅義偉首相のライバル候補のスタッフから、筆者に電話がかかってきた。
「田村さん、菅さんは首相になっても長くは持たないぞ。解散、総選挙は近い。だって、討論会では菅さんしきりに役人が書いたとおぼしきメモに目をやりながら話していた。これでは予算委員会質疑を乗り切れないじゃないか、とみんな言っている」
経済ジャーナリストとしての視点は「スガノミクス」にある。「アベノミクスの前進」を標語とし、行政のデジタル化、携帯料金の引き下げなどによる規制改革、さらに最低賃金の引き上げによって経済の再生を実現するとしている。
デジタル化は新型コロナウイルスが長期化しそうな情勢の下、迅速に推進すべきで、とりわけ遅れや混乱が目立つ行政部門に檄を飛ばすのは大いに結構だ。だが、こと携帯料金の引き下げや賃上げで経済成長を目指すというのは、もっともらしく聞こえても、それこそ小賢しい官僚の作文の域を出ないのではないだろうか。
正しくは順序が逆なのだ。つまり、景気を力強い回復軌道にまず乗せて経済成長を持続させることが重要で、規制改革や賃上げはその後に続くべき課題のはずである。
ちなみに、携帯料金の引き下げの効果はいかほどか。
第一生命経済研究所首席エコノミスト、永濱利廣さんの試算によれば、1割引き下げで1人当たり5300円以上、家計全体で6700億円以上の負担減になるという。確かにスマホを使う時間が長い若者には恩恵があり、娘さんたちはデパートで高級化粧品購入を増やすかもしれない。しかし、経済のマイナス成長が続く中では「ゼロサム」になるだけだ。
ゼロサムとは限られたパイをだれかが切りとれば、だれかがその分、割を食う経済である。経済不振の中で料金を引き下げても、携帯サービス需要が高まるわけでもなく、収益が大幅減になる通信業界は5Gなど技術革新投資の原資に事欠く始末になりかねない。
賃上げはどうか。安倍晋三政権時代、安倍首相は経済界に対し、しきりに賃上げを求めたが不発に終わった。企業売り上げの大半を依存する内需が縮小しているためで、実質賃金はマイナスに落ち込んだ。おまけに2度にわたる消費税率の大幅引き上げによって物価が強制的に押し上げられ、賃金デフレを悪化させたのだ。
菅さんはアベノミクスで雇用が拡大し、正社員が増えたと力説したが、正社員の実質賃金すら下がっている。正社員雇用は確かに増えたが、非正規雇用がもっと増えている。今年1~3月をアベノミクス当初の7年前に比べると、正社員220万人増、非正規280万人増である。しかも、グラフが示すように、今年は12月時点に比べて150万人非正規が職を失った。
菅さん、都合の良いデータばかり差し出すお役人を信用しないほうがいい。(産経新聞特別記者・田村秀男)
【図で見る】自民党の新たな勢力図
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