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トロンOSは生きていた

2022-11-12 | コラム
トロンOSは生きていた
 マイクロプロセッサーOSとして日本発の「トロン」というのが提唱されつつ、組み込み機器用OS(こういうのをファームウェアとも云う)として残っていることは意識していた。今回知る下記記事において、トロンOSが2018年にIEEE(米電気電子学会)のIoT向けの組み込みOSの標準として認定されていたことを今更知った。

 OSとはオペ-レーティングシステムのことだが、イメージとしてはマイクロプロセッサーのハードと密接に存在し、目的のアプリケーションソフトをこのOS上で駆動するものだ。ハード毎にOSはチューンする必用があるが、アプリケーションは同一OSであれば互換性を持つ。だから、OSを占有すると云うことは、個別アプリの設計に極めて影響を与えることになる。

 考えて見れば、Windows以前にもマイクロソフトが開発したというMS-DOSというOSが出始めのパソコンOSとして占有していたが、この頃は、日本のアプリケーションソフトはそれなりの国内シェアを持っていたと思い出す。そんな中で、より国情とかにマッチした業務用ソフトが生み出せていたと思う。ところが、Windows以降は多くのアプリケーションがマイクロソフトと海外製アプリに占有され、国内ソフトメーカーの低迷が目立つ。そんなか、本来海外製で、翻訳した様なメニューだとかヘルプ表示に辟易している方も多いのではないだろうか。

 このトロンOSだが、その当時PC用OSとしての発展も期待されたのだが、当時小中学校へのPC導入に際し、このトロンOSを導入する方向だったのだが、米国の非関税障壁という主張で潰されたのだった。しかし、組み込み用カーネルOSという本当に核の最小部分だが、こうして生き残っているとは嬉しいと感じる。実のところ、自主独立という意味で、OSというのは極めて重要な意味合いを持つと思える。つまり、ハッキングとか堅牢性という意味で、根本となるハードに密着した部分だからだ。今後も永遠にWindowsが続くとは思えないが、今やハードの進歩もあり、仮想化とかエミュレーション処理によりベースOS上での異種OSを実用的速度で駆動できる時代になりつつある。先頃、Windows11上の最新バーションにおいて、スマホ用のアンドロイドOSを駆動できる様になった。ただし、現在のところ、アマゾン経由でのアプリのダウンロードだからして欲しいアイテムが見つからず試すに至っていないが、こういう動きは良い方向で、Windowsに変わるOSへの移行を促すのではないかと期待している。

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「主張しないOSだったから世界に広がった」TRONの生みの親・坂村健が語る
Yhoonews 2020/05/06(水) 10:06 配信
ソーズURL:https://news.yahoo.co.jp/feature/1686/

 日本発のコンピュータOSで世界シェアの約60%を占めるものがある。1984年にプロジェクトが開始された、組み込み型OS「TRON」だ(現在、正式にはT-Kernel)。このTRONを発案・牽引してきたのが東洋大学の坂村健教授だ。現在のIoTの先駆けとして国際電気通信連合(ITU)の「ITU150周年賞」も受賞している。未来をいちはやく構想してきた坂村氏に、世界に広がった理由などを聞いた。(ジャーナリスト・森健、撮影:塩田亮吾/Yahoo!ニュース 特集編集部)

H2Aロケット、GoProなど多様な機器にのるOS
 コンピュータを動かす基本的なシステム=OS(オペレーティング・システム)というと、Windows、macOS、あるいはスマートフォンのAndroidやiOSなど「情報処理用OS」が頭に浮かぶだろう。だが、名前こそあまり知られていないが、世界中の多様なコンピュータに関わる日本発のOSがある。「TRON」だ。「組み込み型OS」というタイプで、最初から特定の機械に組み込み、その制御プログラムを作り込むためのOSだ。高いリアルタイム性を持ち、ある機器について必要のない機能は削除し、必要最低限の機能で動かすことができるのが特徴だ。

──2018年8月、TRONが世界におけるOSとして標準化されたという報道がありました。
 正確に言うと、私がつくったOSを米国電気電子学会(IEEE)が「IEEE 2050-2018」と名付けて、IEEEのIoT向けの組み込みOSの標準として認定したということ。原型は「μ T-Kernel2.0」というIoT用の組み込み型OS。IEEEはコンピュータ分野では代表的な標準化機関ですから、TRONが世界標準のOSとして認められたと言っていいと思います。
 ほかにIEEEで標準化されているOSはもう一つだけあって、情報処理用OSの分野で「POSIX」です。これは一般的にはLinux、もともとの流れで言うとUNIXです。このPOSIXをベースとしたコアOSの上にWindowsもMacOSもiOSもAndroidも作られている。

坂村健(さかむら・けん)。1951年、東京都生まれ、現在、INIAD (東洋大学情報連携学部) 学部長。東京大学名誉教授(撮影:塩田亮吾)

──パソコンやスマホのOSと違って、TRONは組み込み型OSです。どれくらいのシェアですか。
 把握できていないものもありますが、組み込み型OSとしてはシェアで60%ぐらいです。
 世界で使われているマイクロプロセッサの総数から見ると、パソコンやスマートフォンは総計でも5%程度と言われています。他の95%は機械の中に組み込まれたコンピュータです。その95%の中でTRONは半分以上のシェアを持っているので、台数ベースでは最も使われているOSになると思います。
 TRONが使われている機器で有名なものはたくさんあります。たとえば、小惑星探査機「はやぶさ」、H2Aロケット。あるいは、アクションカメラのGoPro、トヨタのエンジン制御、BOSCHなどのカーナビ、各社のプリンタや複合機、デジタルカメラ、携帯電話の電波制御部……と世界のさまざまな電子機器で使われています。


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