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トラッククレーンで破壊事故を考える

2023-02-01 | 事故と事件
トラッククレーンで破壊事故を考える
 昨日記した沖縄のトラッククレーン破壊事故だが、『写真を見て「ギョッ」としたが、報にはクレーンアームが折れと記しているが、旋回体のリングギヤ根本のフレーム(基部)側でくじけているではないか。こんな損傷について、各種産業機械を40年見てきたが初めて見た。これは尋常じゃない破損に至る理由がありそうに思える。』と記したが、気になり若干調べてみた。

 事故を起こしたクレーンメーカーも不明だが、構造そのものは大きく違わないと思える。クレーン専用車では、上部旋回体と下部走行体という区分で別れ、ここの内歯の旋回ギヤがあり、これを油圧モーターのピニオンで駆動して旋回させる。これは戦車の砲塔構造でも、概ね同じと想像できる。

 ただ、クレーン機構の場合は、上部旋回体にブーム伸縮などの油圧駆動装置があるので、これらの油圧シリンダとを回転接続できるロータリジョイントという油圧接続回路構造が必ずある。

 実物を見たことないが、この旋回ベアリングも、通常のボールでなく、平べったい恐らく超鋼合金製のベアリングピースが、内側レース平面と外側レース平面との間でグリスもしくは作動油で潤滑される方式になっているのだろう。旋回といっても高速回転する訳ではなく、ゆっくり廻って停止し、そこで局部負荷を受けるので、この様な平たいベアリングピース構造が取られているのだろう。

 今回の事故写真を見ると、クレーンアーム側の固定ボルトは特に歪みもせず付いているところを見ると、インナーハブが破壊したか、インナーハブを固定してるボルトが破断したか、それとも基台となるクレーン用フレームのインナーハブ取付面が破壊したのか、3択ではないかと想像できる。ここで、ベアリングを入れていないのは、例えベアリングが破損したとしても、多数のベアリングピースが一気に破損することは考え難く、例えそうなっても旋回においてガタガタと異音を交えて異常が発現するだろうが、インナーレースとアウターレースの段違い構造により、今回の事故の様にクレーンポストが倒れる事態にはなり得ないと思える。

 今回の事故だが、クレーン装置を規定する法令は労働安全衛生法だから監督官庁は厚生労働省管下の労働基準監督署となるのだろう。慎重に事故原因を調査し、それが管理の問題にあるのか、製造の問題にあるのか見極めて欲しいところを思う。



トラッククレーンで作業中にクレーン破損で死亡
2023-01-31 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/0475d36d944f6ef66ac05a649eab18f4


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