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牽引車のジャックナイフは何故起こる?

2023-02-01 | 事故と事件
牽引車のジャックナイフは何故起こる?
 写真は先日の名神での路面凍結でのセミトレーラーでの典型的なジャックナイフ現象例だ。
 この様なトレーラーのジャックナイフという減少は何故起こるのだろうか?
 トレーラー付き大型車では現在ABS装着が法令で義務付けられているのだが、トレーラーヘッド側とトレーラー側の制動力が均等に働いていれば、この様な牽引用カプラー部での折れ曲がりというのは起きない。ところが、トレーラー側の制動力が少ないとか作動が遅れたりすると、トレーラー側の慣性力が強くなり、その結果としてカプラー部を中心に押し廻す様な偶力が生じてしまうのだ。

 昨今のトレーラー用ABSでは、こういうヘッド側の左右へのヨーモーメントを検出し、ヘッド側とトレーラー側の制動力を制御してジャックナイフが起き難い様にしているものもあるというが、積雪凍結路など路面状況とか、登坂ではまず生じ得ないがカーブの下り坂路では生じる場合があり得る。これを起こすしているばあい、ヘッド側では進行方向を制御でき得ないことになる。なお、トレーラーヘッド車では、足動ブレーキペダルとは別に、シート脇に手動のレバーがあり、トレーラー側だけのブレーキを作動させられる装置が大型車では付いている様だ。これは運転者が、押されてヘッドが横に流れるのを察知した場合、トレーラー側だけを制動し、ジャックナイフを起こすのを防止する訳だが、制動能力は格段に低下するので、とっさの急制動では到底使えないだろう。

 それと、図の下部に示したものだが、レッカー車での大型車(セミトレーラーなどを含む)では、すべてがエアブレーキであるが、少なくともレッカー車の高圧エアーを被牽引車のエマージェンシーエアポートつ接続し、被牽引車のスプリングブレーキを解除してやらないと牽引することはできない。(被牽引車のエンジンが動作する場合を除く)ただし、レッカー車での牽引中は、ブレーキの作動はレッカー車のみで、被牽引車はブレーキ作動はできない。

 大型用レッカー車は、その接地性だとか牽引力を確保するためのウェイトを付けたりして、恣意的に車重を重くしてあるのだが、それでもレッカー車の自重よりよほど大きい被牽引車を牽引運搬する場合が多々あるだろう。この場合は、先の平面的なジャックナイフの他に、牽引部分が上に持ち上がるという、いわば垂直のジャックナイフと同様の現象を起こす場合もある様だ。過去の話だが、これにより頭上の道路横断橋に被牽引車を衝突させ、事故になった事例を聞く。


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名神高速でスリップ事故相次ぐ 追突した運転手死亡(2023年1月26日)
ANNnewsCH 2023/01/26
https://www.youtube.com/watch?v=U5Llh_6Al1E

 24日からの寒波の影響などで、滋賀県の名神高速道路で大型トレーラーなどがスリップする事故が相次ぎ、1人が死亡しました。
 26日午前7時半ごろ、滋賀県東近江市の名神高速下り線で、大型トレーラーがスリップし、ガードレールに衝突しました。警察によりますと、当時、路面が凍結していたということです。
 運転手にけがはありませんでしたが、トレーラーがすべての車線をふさぎ、後続の車両が進めない状況が続いています。


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