私の思いと技術的覚え書き

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現代格差拡大の根源はタックス・ヘイヴン

2021-11-04 | 問題提起
現代格差拡大の根源はタックス・ヘイヴン
 ちょっと以前にパナマ文書流出という報道がなされたが、どういう意味を持つのか判らない方が多いだろう。私自身もそうであった。

 この都度、ある本を読み、その意味が良く判ると共に、日本だけでなく世界的に生じている現代の格差拡大という弊害をもたらしたのが、このパナマ文書に端を発するタックス・ベイヴン問題なのだ。

 タックス・ヘイヴンとは直訳すると租税回避地となり、その地では法人税、相続税などがほとんど課せられないという地なのだ。だから、それなりの資産を持っている企業や個人が、この地に法人を登記し、そこに財を溜め込んでおいても、法人登記に幾らか要するだけで、本国の課税から逃れられるという寸法だ。

 それと、タックス・ヘイヴンを名乗る地は、登記された法人などの情報を一切流さないと云う情報も有している。この問題以前から、富裕者はスイス銀行に預金を移すということが繰り返されてきたが、これもスイスの銀行が預金者の個人情報を余程のことでもない限り公表しないという特徴があったからなのだ。

 今回のパナマ文書の公開というのは、タックスヘイヴン地であるパナマで、4、5番手の法律事務所の合計2テラバイトを越える個人情報が何者かに公開されたと云う事件だったのだ。その中には、習近平、プーチン、日本の三木谷、孫正義などの名前もあったらしいが、されでもタックス・ヘイヴンの一国パナマだけでしかも、その中でも4、5番手の法律事務所だけの情報公開と云うことで、ホントに僅かな氷山の極一部が見えたに過ぎないのがパナマ文書公開事件の内容なのだ。

 と云うことは、世界各地に点在するタックス・ヘイヴン地には、世界の超富豪とかアングラマネーが何百兆ドル(もしくは円)が保有されていて、本来なら本国で課税される法事税とか相続制を逃れているということになるのだ。つまり富裕者は、本来なら相続税で60%課税されるところを一円の課税もされることなく、子孫に残すことができるし、法人も本来なら利益の30%程度を課税されるべきところを、そこを至近の経由地にして、そこに収益を集中させ、そこから適当な金額だけ本国に送金させ、税逃れをしているということなのだ。

 日本でも富める者とそうでない者の格差が広がっているが、この現象は世界的に起きている現象だと云う。そこで、各国政府は、その対策上から、止むなく消費税の様な形で徴税して何とか税逃れを抑止せざるを得なくなったのだが、この消費税は富めない者に税負担が大きいという致命的欠点を持つので、ますます格差が広がっているということなのだ。

 そこで、そういう地に何らか政治的圧力を与えて、租税回避を止めさせたり、情報開示をさせる様に促したいのが、ほとんどのタックス・ヘイヴン地が英国領地で、それができないということなのだ。また、世界の覇権国たる米国も、相当に課税逃れの被害に遭っているのだが、米国のデラウェア州とテキサス州も、ほとんどタックス・ヘイブンに近い税制を取っていることもあり、また宗主国たる大英帝国にまともに刃を向けることもできないという面がある様だ。

 しかし、ものには限度とか限界ということがあり、このまま世界の貧富の格差が広がっていくと、今の日本の様に国内内需が冷え込んで、国民は一部の既得権を持つ富裕層と多国籍化した大企業だけが生き残り、国が崩壊するという現象に至るだろう。その過程において、貧者の革命としての戦乱が起きる可能性もあるとすら思える。まったく矛盾に満ちているのが現代社会だが、資本主義も末期的な状態に入って来たと思える。


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