私の思いと技術的覚え書き

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自動車整備業および損保調査員に知ってもらいたい(自研センターとの一問一答)

2022-12-22 | 問題提起
自動車整備業および損保調査員に知ってもらいたい(自研センターとの一問一答)
 この自研センターとの一問一答たる質問は、電話での一問一答形式とした。なお、質問は口頭ということもあり、あまり相手側の敵意を生まないことに留意しつつ、かなりだじょう文章となった口述もあり、適宜文意を伝え得る文章に編集し直した。

 なお、ここで、質問した内容とか、相手がどう答えるかは、従前より繰り返して来た自研センターおよび損保調査員としての経験から、ある意味こう質したらこう答える、もしくは答えがないということを容易に予測できる内容をあえて質しているところである。この意味は、これを見て下さる皆様の知識レベルとか問題意識が千差万別であろうことを予測しつつ、ある程度の全体的な方向付けもしくは意識レベルを一定レベル以上に揃えたいという思いから、あえてそれを整理する目的で行ったのだった。

 この意見たる一問一答を見て、見て下さった方に直情的な言動だとか行動として、何をどうせい、行動を即座に変えろとかいうつもりは毛頭ない。ただ、指数と云うものにはこういう問題が内在していて、一般社会的な公平とか公正という視点では、いささか問題があり、もしそれを変えていこうという意識があるのであれば、各自ができる範囲で何らかの意識改革をして行かなければ、未来永劫この様な矛盾は解消されないというところだろう。

自研センター相談室との一問一答
日時:2022/12/19 am10:30~11:30(約1時間の会話)
質問者 木村栄二(ペンネーム:元損保調査員、現事故アナリスト)
回答者 自研センター相談室 ○田氏

Q1 自研センターは指数を自研センターの環境で作成したものであり、それを使うも使わないも自由で強要するものではないと聞いていますがその通りでしょうか?

A1 その通りです。

Q2 自研センターでは、指数は基表を基に作成しています程度の説明はなされていますが、実際の基表値だとか、そうやって具体的に積算しているのかということを、企業秘密なりという理由から未公表のまま推移していますね?

A2 その通りで、それが実情です。

Q3 ところで、ある修理工場などが、指数の使用を拒否し、米ミッチェル社の工数を使用するからと宣言すると、当該損保はにわかにそれを否定しないながらも、何時まで経っても修理費が未確定のまま推移する、つまり塩漬けになされるという現象があることは知っていますか?

A3 ・・・返答なし。

Q4 それでは、ある工場が指数の個別項目について、どうしてこの指数値になるのか質問すると、当該損保調査員(アジャスター)は説明できないと云う現実があることを知っていますか?

A4 それはある程度理解できます。

Q5 そうですよねぇ。自研センターは指数について、概略としての「指数の解説」というものは公開していますが、それを超えた個別指数の中身に立ち入る説明を、自研センターは指数を実運用する損保にすら、また修理工場にも説明してこなかったという実情があるのですから。

A5 そうですね。

Q6 しかし、実際のところ、私が多くの修理工場にたずねる限り、相当数の潜在的な工場側意見としては、現状の指数値だとかに、何故この数値が決まったのかというべき不審や疑念というべき思いが存在していると認識しているのですがどう思います?

A6 ・・・回答なし

Q7 私は思うのですが、自研センターならびに損保は、指数の使用者に対し、何らか疑問を訴えられたら、これに答えるべき説明責任が生じるのではないかと思っているのですがどう思いますか?

A7 ・・・回答なし

Q8 今までの質問と回答を受けて、私は改めて思うので質します。自研センターは指数は使うのも、使わないのも、自由で強要するものではないとしていますが、実運用する損保は、その使用を強要するとまでの発言はないにしても、その使用をしないとなると、何時までも該当事案の修理費を未確定のまま推移させ、工場側の譲歩を待つという姿勢が見られる様に感じます。しかも、個別損保は、指数の個別具体的な説明もできぬまま、あたかも信頼ある自研センターの策定した数値だからという論理なき抗弁で使用を促している様に感じます。このことは、もしかすると優越的な地位の濫用という独禁法で禁じられている行為に等しいのではないかという疑念も生じて来るのですがどう思いますか?

A8 ・・・回答なし

Q9 指数の使用を拒否する工場に対し、ある場合の損保の対応は、これはまともに云ったら大変な問題となるのでしょうが、受け取る工場にとって「あたかも悪い工場だと受け取れる」かの対応として受け取れる場合もあるやに感じられます。また、よもや当該損保が積極的にそのことを周辺に喧伝しないとは思うものの、社内とか代理店、そして周辺工場に対し、そういう指摘を繰り返しているという疑念を持つ(このことは実のところ自研センターの某OBの方曰わく、そういう工場は潰されると表現しているのを聞いたことすらあります)が本当でしょうか?

A9 ・・・回答なし

Q10 無回答の質問が続くので、質問を変えますが、自研センターでは、指数の組み立てとして準備+正味+余裕で構成されていることと、基表という作業の構成要素をテーブル化した科学的な時間として策定したものとしていますね?

A10 その通りです。

Q11 では、準備時間が、どの項目に如何ほど含まれているとか、非公表ですよね?

A11 その通りになります。

Q12 私の想像となりますが、指数のすべての項目に準備が入っていないことは明らかでしょう。もし、そんなことをしたら、総合作業としての指数の積算値に相当な重複が生じるからできないですよね?

A13 その通りとなります。

Q14 それと、余裕時間は、指数の説明では正味の30%加算(実計算としては正味×1.3)で計算していますが、そもそも準備時間にも余裕時間は含まれているとうのが当然ですよね?

A14 その通りです。

Q15 基表値テーブルの策定については、過去の作業観測の主にビデオ映像などから、データをサンプリングして基表値を策定したという自研センターとしての説明があったと理解しています。ですから、事故車特有の作業の困難性なども、この基表値に含まれているという説明がありますよね?

A15 その通りの説明を指数マニュアルではしています。

Q16 ところで、この基表値は見直しすることもあるのでしょうか?

A16 詳細は申し上げ難いのですが、当センター内で問題を感じた部分については、まったく見直してはいないと云うことではありません。ただし、これも見直し結果などの公表は控えています。

Q17 これは私の想像ですが、自研センターが基表化した指数を策定するに際し、過去の作業観測ビデオの分析などから基表化を進めて来たのでしょう。そして、その作業観測を記録したビデオというのは、1970年頃に自研センターが設立され、1975年頃から指数がリリースされ始めたという歴史的経緯から考えるに、その当時の車両における修復作業が前提とならざるを得なかっただろうと想像するのです。つまり、何をいいたいのかと云えば、1990年頃から、車両はいわゆる衝突安全ボデーという、車両の前後やサイドが強化されたボデー構造に変化して来た歴史を持つのですが、そういう衝突安全ボデーに何処まで対応しているのであろうかと、ささやかな疑問も生じて来るのです。この辺りについて、ご見解をお聞きしたいのですが?

A17 ・・・回答なし

Q18 米ミッチェル社の工数表が必ずしも正しく、指数が間違っているとは思いもしませんが、ここでは米ミッチェル社と指数との食い違いが判り易い作業例としてヘッドライト脱着または取替の値で意見を云わせて戴きます。
 指数では、個別車種で云えば多少の上下もあるのでしょうが、平たく云えば、片側0.3、両側0.4と云うのが、一般的な指数値となるでしょう。この指数の適用には、含む(両側の)焦点調整ということが記載されており、これらからすると、片側の焦点調整を除いた指数値は0.1(つまり実時間6分:余裕含む)となる訳ですが、6分でネジ3から4カ所の作業とはいえ、これには隣接部位との合わせ作業が含まれているのですが、特に急いだりしない作業としてできると思えますか?
 なお、合わせ作業については、グリルなどの水平的隣接パネルだけでなく、ボンネットとかバンパーなどの垂直的隣接パネルとの合わせ作業も含まれる訳で、私には作業者に競技的意識でもない限り難しい作業だと思えます。
 さらに、ヘッドライトなどは、左右それぞれ離れて装着されている部品で、そこに同時作業だからと云え、重複したりする要素もない訳で、この項目については、米ミッチェルでは片側0.4という工数値(除く焦点調整)で、両側の場合は当然倍の0.8となる訳です。
 さらに、焦点調整についてでが、指数の設定から、焦点調整分としては0.3相当の指数値と判る訳ですが、つまり実時間18分:余裕含む)ですね。ただし、この焦点調整とは、個別作業ベイにヘッドライトテスターがある訳でなく、ヘッドライトテスターの設置された、いわゆる検査ラインに車両を移動し、またライト調整完了後は継続作業のために元の作業ベイに車両を戻す時間も含まれていると解される訳です。こうなると、米ミッチェルで記載されているヘッドライト焦点調整0.8工数(実時間48分:含む余裕時間)という組み立ての方が合理性があると考えているのですが、これらどう思われますか?

A18 ・・・回答なし

Q19 これは質問ではなく、元損保調査員であり、この自動車修理だけでなく自動車事故のアナリストとして、この道40年を過ごして来た者の意見として聞いて戴きたいのです。1994年(H6年10月)に損保は、公正取引委員会から修理料金の指数算定について、主にその対応単価の扱いについて、公正さに疑念があるとの警告を受けたと云う歴史があるのはご存じのところでしょう。私思うに、それ以来自研センターの対応も変わったと意識するところなのです。つまり、この公取警告以前となる、1993から1994年前後に、私は損保本社で調査員教育を担当する部署に所属していたのです。そんな中、当時自研センターでは、指数の内容を個別調査員(アジャスター)が修理工場に説明できない現行体制のままでは、今後の理解進展が得られまいと意識したのであろうことが理由と思われますが、実のところ基表の一部テーブルを損保損調本社所属員に提示しつつ、具体的な指数値の積算方法までをレクチャーし始めていた一時期があったというのが歴史事実として私は直接体験しているのです。そして、その動きは、公取警告でパッタリと止まったということを私は意識せざるを得ないのです。

A20 これについては、「エッ、そんな動きがあったのですか!」と驚きの言葉が聞かれたのであった。これについては、おそらく現在の自研センターには、その当時の歴史を知る人物も存在しないであろうし、それに類する書類は破棄された可能性が高いとも想像でき、もし残されていたとしても、秘匿されている可能性もあるのかもしれない。そんな想像から、質問相手者には、今や退職されたOBなど、そういう方に聞いて確認して欲しいということを伝えるに留めた。

Q21 ミッチェル工数表を様々読解して行くと、次の様な文意での解説が記されています。曰わく「このミッチェル工数表は、リリース時の工数はあくまで暫定としてのものです。(必ずしも利用者のすべてではないでしょうが、一部専任された有力工場などの)外部意見により、適宜ミッチェル社で再検証してリリースされた工数を見直し修正する場合もあります」ということが記されています。何を云いたいのかと云えば、米ミッチェル社は、利用者からの「聞く耳」を持つという、いわば、自由民主主義下で当然の、討議、交渉などの要素が、その内容に含まれていることが伺えるところなのです。それについては、質問と云うより、こういう意見があるとして自研センターに知ってもらいたいこととしてお伝えするところです。

A21 ・・・「はぁ、そういうことまであるのですか」という、正に今更知ったという感想の言葉が聞かれた。

Q22 さらに、これも質問と云うより意見としてお伝えしますが、今や国交省の保安基準に相当するような法整備とか基準について、EU基準とか米カルフォルニア基準とか、ワールドワイドに世界の基準を睨みつつ、できるだけ基準を合わせ込もうと云うのが世界の潮流としてあるのです。例えば、ヘッドライトの光軸基準とか排ガス規制値など代表的ですし、ISOという基準もその動きですし、EV車などの基準も正にその辺りを睨んでいることは感じるところではないでしょうか。
 ついでに云わせてもらえば、三菱で国産中型旅客機をこの10数年開発し続けて来ましたが、未だ米FAA(米連邦航空局)の型式指定の認証が取得できずに頓挫しているのですが、実のところ国交省における国内認証は取得できているのですが、世界販売のためにはFAAの型式認証は必須なのです。また、FAAで型式認証済みであると、国内型式認証はほとんどフリーパスというのが実情の様です。これを成し遂げたのが、正にホンダジェットの小型ジェット機であり、米工場で認証用量産試作機を作り先にFAA認証を取得し、その後の国交省の型式審査もほとんどフリーパスという実態にあるのです。ちょっと余談として航空機絡みに流れましたが、現在の様にグローバリゼーションが進行しつつ、インターネットなどで直ちに世界の情報が見通せる時代になり、国内独自のローカライズとかを無視はできないものの、自研センターも科学的な数値を追求するのであれば、そういう視野で眺める必用があるのではないでしょうか。 以上


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