私の思いと技術的覚え書き

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水上バイク事故・ちょっとバイクのこと調べてみた

2021-09-16 | 事故と事件
水上バイク事故・ちょっとバイクのこと調べてみた
 この15日に、淡路島で水上バイクが消波ブロックに激突して3名死亡の事故があった。
 この事故以前にも、事故が増えているといい、また海水浴者の至近で高速で飛ばす、暴走族同様の反社的な水上バイクも問題視されているところだ。

 個人的には、水上バイクに乗りたいとかの感心はないが、この運動諸性能などをちょっと調べ、また車の事故との違いをちょっと考えてみたい。

 添付図にカワサキの最高スペックの仕様を表すが、4気筒1500cc、SCと記してあるのはスーパーチャージャー付きを表し、最大馬力300ps、整備重量500kg未満とあるから、3名乗ったとしても600kg船重で300psだから、そこそこの加速性能と最大速度は如何ほどなのか。ちょっと調べると米国で規制があり最大速度は105km/h(米国はmph表記)だそうだ。しかし、100km/hを船舶で使うノット表記に換算すると52ノットだから、高速艇でもなかなかない速度だ。これは米原潜は水中速度の方が高速となるが、それでも40ノット出せればいいとことだろう。日本の最新型そうりゅう型DE(ディーゼルエレクトリック)でも、水中速度は30ノット程度だろうと思う。

 クルマの場合、およそ自然吸気の軽4でも100k/h以上出せるが、そこに達するまでの加速は弱い。しかし、ボートも含め水上水中移動機器でもっとも苦手は、ブレーキがないというところだろう。潜水艦などはモーターを逆回転させて、水上艦ではギヤを介して逆回転させて制動を掛けるが、およそ地上を走るクルマの減速度におよばないだろう。

 今回、3名死亡の水上バイクの損傷は、艦体の前部が大きく割れて欠損していることが判るが、外部がFRPで内部は高密度発泡ウレタンが充填されている様だ。クルマの場合、車両の前後はクラッシャブル構造とされ、構造体を塑性変形させることで、衝突時の運動エネルギーを吸収することで、なるべく速度変化のピークGを押さえる思想が取り入られている。だから、フルラップバリヤ衝突テストなどを見れば判るが、衝突後の衝突車はバリヤから50cmも跳ね返らないで停止する。つまり、クルマは、一定以上高速の衝突では、塑性衝突となる。

 ところが、このFRP構造で、弾性性能の良い船体だと、ある程度反発係数を考慮しないと、速度変化にも大きな影響が出て来ると思う。つまり、反発係数は0~1の間の値となるが、0では、完全塑性衝突(例粘土の衝突)、1ではスーパーボールなどのゴムボールの衝突を考えてもらえばよいだろう。

 ここで、仮に反発係数が0.5だったとすれば、速度50km/hで衝突した時、衝突時間(物体間が接触している時間で0.1sec程度の短い時間)で、50km/hが0になり側鎖に反対方向に25km/hで反発することになるから、衝突時間における速度変化は75km/hにも上がってしまうのだ。

 この時、人はシートベルトなりで艦体に固定されていないから、この大きな速度変化、すなわち加速度で前方に投げ飛ばされることなる。固い消波ブロックに叩き付けられる訳で死ぬのもムリからぬところと判る。




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【事故】波消しブロックに衝突痕 水上バイク事故
2021/09/16 【公式】日テレNEWS
 2021年9月15日、淡路島で3人が死亡した水上バイクの事故で、波消しブロックに水上バイクが衝突したような痕が見つかったことが分かりました。(2021年9月16日放送「ヒルナンデス」より)


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