私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

玄人ストラットバーの考察

2021-02-21 | 車両修理関連
 昨日、ストラットタワー部上面にストラット取付ボルトを利用して、アルミプレートを付けるだけの商品を、かなりの皮肉を込めて、「まったく意味ないパーツ」と評価した。この意見に対しては、いやいや効果があるんだみたいな意見も聞かれたが、おおむねの方は理解されて下さったと思う。

 今回は、このストラットタワーバーというのが、チューニング用品としてかなり広く出回っているが、この道40年を超える「玄人」として考察してみたい。

 まず、玄人として見るにストラットバーは2種に区分できるだろうということだ。
 つまり、左右のストラットタロの字型の断面形状を構成させ、主にねじりに対する剛性(変形のし難さ)を向上させる目的を持っているのだろう。

 ここで、2種類と記したのは、1つは左右を連結するバーとストラット上部がボルト1本貫通式などで、いわゆるピンジョイントと見なせるもの。そして、もう一つは、左右のストラット上部から、バーに至るまで、いわゆる剛結構造になっているものに区分できるのだろう。(図1、2、3各参照)

 ところで、現代乗用車の多くはモノコックボデーと称されるが、このモノコックとは応力外皮構造のことを指し。純粋にモノコック構造を生かしている構造体としては、航空機とか潜水艦だという。それでは、トラックとかクロカン4WD以外の乗用車では、どのような原理により車体の剛性を確保しているかといえば、いわゆるラーメン構造体といわれるもので、接合される各部位をピンなどの滑接でなく、剛結することで、構造体の一部に与えられた応力が、広い範囲を変形させようと抗力を生じることで車体全体の剛性を確保しているという考え方がある。

 つまり、図4似示すように、ロの字の構造体に応力を受けた場合、ラーメン構造体は、それぞれの接合部が剛結されていて、全体で剛性を生み出す。一方、トラス構造の様な接合部が滑接だと、斜めの筋交いが入っていない限り、いとも簡単に変形を生じてしまう。

 ただし、後付けパーツとしてのストラットバーでは、一般的にストラット上部とボンネットの隙間が狭く、剛結構造を取りたいが、スペース上から困難だとか、なるべく直線化させたいバー本体も、様々な補器類をかわすために彎曲を強いられることもあるだろう。しかし、図5の様な細いバーでぐねぐね曲がったものを製造もしくは販売する業社の頭の中は素人以下だろう。(あくまで私見)

 また、ストラットバーを付けていたがためもあるのだろう。ストラットバー取付部のフランジ線に沿って、ボデーに亀裂が入っている図6(写真無断借用ゴメンね)まで、提示されたことには驚いた。ここでの亀裂は、繰り返し応力による疲労破壊だが、フランジ部の見切り寸法も適切でなく、応力集中という現象を生じたものだと思える。

 なお、関連知識として、剛結による結合剛性を向上させる構造として、結合部位の断面積が基本とはなるのだが、そこに補強部品として、パッチ、ガセット、スティフナーと呼ばれる部品が加えられることもあるのが常套手段として見られるものだ。(図7参照)








最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。