約2年前に埼玉県の修理工場(分解整備および車体整備工場)が某損保を訴えるに至った訴訟があり、一審(地裁)、二審(高裁)、最高裁(上告棄却で二審が各停)という事案があったことを伝えた。この訴訟の主題となるない様は、いわゆるレバーレート(工場の1時間当たりの単価[売値])だった訳だが、今回事案については、訴えた工場側(原告)の勝訴となりレバーレートは¥8千円が妥当だということとなった。
私は、損保にも工場側にもどちらにも組みするつもりは毛頭ないが、単なる自動車のユーザーとして、どう考えれば妥当性があるのだろうかと云うことを調べ考え続けて来た。その結果、自動車整備業界を指導する国交省(当時は運輸相)では、S56年局長通達およびH5年局長通達において、ほぼ同様の文意として「事業場(整備工場)ごとに整備原価を把握してレバーレートを設定し、作業の種類ごとに標準作業点数表等を活用して適正な整備料金を算定すること。」と示されています。
一方、同局長通達を受けてのことでしょう、分解整備事業を統括する組織である日整連では、H6年に自動車整備料金算出マニュアルというのを発刊しています。同マニュアルの「まえがき」でには日政連会長は、文末を以下の文章で締めくくっています。
このマニュアルを参考にして業界のすべての事業場が決算の数値を活用し、推測ではなく事実による「経営管理」によって、「適正原価」+「適正利益」=適正価格の原則を確立し、お客様に信頼される適正な料金を設定し、的確な整備の実施とともに信頼される整備業として発展されることを切に希望します。H6年10月 社団法人日本自動車整備振興会連合会 会長 上野 健一郎。
と云うことで、先の埼玉県の修理工場が勝訴した¥8千円のレバーレートは、判決文を読む限り、整備原価を精査して適正利益を加えたものでなく、単に打ち出したレバーレートが幾つかの損害保険会社に認容された事実を持って、妥当と認容しているに過ぎないのではないかと思っているところです。
と云うことで、賢明な自動車ユーザー、整備工場、損害保険会社の掛かる業を担う者は、レバーレートの基本は、整備原価に基づいて、そこに適正利潤を加えたものが妥当となるレバーレートだと云うことを再認識してもらいたいと思います。
ちなみに筆者は、昔ある保険会社で種々の修理工場を訪問し、修理費を打ち合わせる機会を多数持ちましたが、その中で、おそらく10件ほどの工場から、飛び抜けたレバーレートの主張を受けた経験を持ちます。この際は、局長通達のことまで熟知していた訳ではありませんが、そもそもレバーレートは工場が整備原価を把握し、そこに適正利潤を加えて設定することが妥当だと熟知していました。ですから、その様な問題というか主張がなされると、即座に整備原価は幾らになるの?、稼働率は何%で算出されているの?。利益率は何%を見込んでいるの?などの質問を行って来た訳です。ですから、今回訴訟の一件を知り、いったい関わる損害保険会社の者は、そんな整備料金の基本のことも知らぬまま、過ごしてきたのではないかと大変に驚いているのです。
最後に、今回勝訴した埼玉県の修理工場経営者は、全国各地の主に車体整備組合加入工場を対象に、講演会を開催しているそうで、その1事例となる文書を添付しておきます。なお、私の居住地県にも車体協会はあり、しかも居住市内に副理事長を担っている良く知る修理工場があるので、同氏の講演会を行ったのかを聴取してみました。その返事は、車体協会としては呼ぶつもりはなく経過していたのだが、工具商・商材のグループが招聘することになり講演会が開催されたそうです。なお、私は講演会に行っていないがねととのことでした。
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[過去のブログ記述リンク]
【意見】レバーレート訴訟判決・その検討に不足はないのだろうか?(国交省局長通達の示す内容)
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/68d526f008ff208a7f30eb52e8f2d3a1
追記その1 日整連が指導する修理料金算出マニュアル(如何に整備原価を把握しレバーレートの設定が大事か)
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/fc6cf251e5fbef063c71956052c90c21
〃 その2 高裁判決文を読んで思う
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/0b699fa8650ce5e8e6d795fe03789166
〃 その3 ある方の意見メールでの往診
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/01422d1be1d04893619ab0612ed2b83e
〃 その4 別の類似訴訟と結果
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/3bbeecf8bbb712a36e94d688c61a7767
私は、損保にも工場側にもどちらにも組みするつもりは毛頭ないが、単なる自動車のユーザーとして、どう考えれば妥当性があるのだろうかと云うことを調べ考え続けて来た。その結果、自動車整備業界を指導する国交省(当時は運輸相)では、S56年局長通達およびH5年局長通達において、ほぼ同様の文意として「事業場(整備工場)ごとに整備原価を把握してレバーレートを設定し、作業の種類ごとに標準作業点数表等を活用して適正な整備料金を算定すること。」と示されています。
一方、同局長通達を受けてのことでしょう、分解整備事業を統括する組織である日整連では、H6年に自動車整備料金算出マニュアルというのを発刊しています。同マニュアルの「まえがき」でには日政連会長は、文末を以下の文章で締めくくっています。
このマニュアルを参考にして業界のすべての事業場が決算の数値を活用し、推測ではなく事実による「経営管理」によって、「適正原価」+「適正利益」=適正価格の原則を確立し、お客様に信頼される適正な料金を設定し、的確な整備の実施とともに信頼される整備業として発展されることを切に希望します。H6年10月 社団法人日本自動車整備振興会連合会 会長 上野 健一郎。
と云うことで、先の埼玉県の修理工場が勝訴した¥8千円のレバーレートは、判決文を読む限り、整備原価を精査して適正利益を加えたものでなく、単に打ち出したレバーレートが幾つかの損害保険会社に認容された事実を持って、妥当と認容しているに過ぎないのではないかと思っているところです。
と云うことで、賢明な自動車ユーザー、整備工場、損害保険会社の掛かる業を担う者は、レバーレートの基本は、整備原価に基づいて、そこに適正利潤を加えたものが妥当となるレバーレートだと云うことを再認識してもらいたいと思います。
ちなみに筆者は、昔ある保険会社で種々の修理工場を訪問し、修理費を打ち合わせる機会を多数持ちましたが、その中で、おそらく10件ほどの工場から、飛び抜けたレバーレートの主張を受けた経験を持ちます。この際は、局長通達のことまで熟知していた訳ではありませんが、そもそもレバーレートは工場が整備原価を把握し、そこに適正利潤を加えて設定することが妥当だと熟知していました。ですから、その様な問題というか主張がなされると、即座に整備原価は幾らになるの?、稼働率は何%で算出されているの?。利益率は何%を見込んでいるの?などの質問を行って来た訳です。ですから、今回訴訟の一件を知り、いったい関わる損害保険会社の者は、そんな整備料金の基本のことも知らぬまま、過ごしてきたのではないかと大変に驚いているのです。
最後に、今回勝訴した埼玉県の修理工場経営者は、全国各地の主に車体整備組合加入工場を対象に、講演会を開催しているそうで、その1事例となる文書を添付しておきます。なお、私の居住地県にも車体協会はあり、しかも居住市内に副理事長を担っている良く知る修理工場があるので、同氏の講演会を行ったのかを聴取してみました。その返事は、車体協会としては呼ぶつもりはなく経過していたのだが、工具商・商材のグループが招聘することになり講演会が開催されたそうです。なお、私は講演会に行っていないがねととのことでした。
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[過去のブログ記述リンク]
【意見】レバーレート訴訟判決・その検討に不足はないのだろうか?(国交省局長通達の示す内容)
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/68d526f008ff208a7f30eb52e8f2d3a1
追記その1 日整連が指導する修理料金算出マニュアル(如何に整備原価を把握しレバーレートの設定が大事か)
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/fc6cf251e5fbef063c71956052c90c21
〃 その2 高裁判決文を読んで思う
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/0b699fa8650ce5e8e6d795fe03789166
〃 その3 ある方の意見メールでの往診
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/01422d1be1d04893619ab0612ed2b83e
〃 その4 別の類似訴訟と結果
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/3bbeecf8bbb712a36e94d688c61a7767