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阪神大震災のコンクリート構造物信頼の失墜は何が真因だったのか

2022-01-22 | コラム
阪神大震災のコンクリート構造物信頼の失墜は何が真因だったのか
 近時、韓国では建設中のマンションが大規模な壁の崩落事故を起こし大問題になっている。どうやら、その原因は、コンクリート打設後の養生時間(硬化時間)を十分に配分しないまま工事を進めていたという信じがたい理由の様だ。しかも、季節は気温の低い冬期であるし、養生時間は、夏期に比べれば長くする必用があるのに、工事の進捗を急ぎ過ぎたということらしい。


 さて、同じ様なコンクリート構造物として、道路や鉄道、そして大型ビルなどが多数の崩壊が生じたのが1995年初頭の阪神大震災だったろう。いわゆる、それまでのコンクリート構造物の安全神話が吹き飛んだ災害だったと云える。

 ところで、地震の大きさを表すものに、震度とマグネチュードと云うものがあることは詳しい意味は判らずとも多くが知るだろう。この内、震度とはその局地的な地における揺れの強さを、マグネチュードドは地震における揺れが影響した面積(深さもあるので体積なのか)の大きさ(規模)を示しているそうだ。

 この震度という地震の強さを科学物理として表す数値として、ガルとカインという単位があるということだ。この内、ガルとは加速度の単位で、1ガル=1cm/s^2で表すという、そしてカインとは、構造物の動きの速度を示す単位で1カイン=1cm/sだそうだ。

 ここで、非常に大きな被害を生み出したとされる関東大震災から、比較的至近の熊本地震までの6事例の各データを表にしてみた。これらを見るに、述べて来た震度、マグネチュード、ガル、カインだけでは、その被害が相関しないことが判る。特に関東大震災では、地震後の火災により被害が拡大したことが、東日本大震災では津波による被害が広域の大きな被害を生み出したという別の要素があるからだろう。


 それと、ここではあの巨大なコンクリート構造物が大きく破壊され甚大な被害を生み出した阪神大震災と比較的新しい熊本震災を比べてみたい。震度やマグネチュードは同じで、ガルやカイン値も熊本地震の方が大きい。熊本地震ではあの熊本城にも大きな被害を出したが、鉄筋コンクリート作りの建屋自体が崩壊するまでの崩壊には至っていない。にも関わらず、阪神大震災では、熊本地震より小さいガル値やカイン値で、何故あの様なコンクリート構造物が大規模に破壊されるに至ったのか。また、この阪神大震災によりコンクリート構造物の神話が喪失し、ある意味狂った様に日本中の鉄道高架、高速道路高架の橋脚や、建屋の補強が行われるに至ったのだろうか。想像だが、これら阪神大震災以後、10年程度の中で行われた耐震補強工事の費用総額は軽く1兆を越える資本が投入されたのだと思うが、Netから種々検索する限り、阪神大震災で巨大なコンクリート構造物が壊れた原因を集中的に研究するなり論評した記事はなかった。


 しかし、阪神大震災以前から、それなりに過去の地震動の被害とか力学的計算をした上で、十分な安全係数を見込んで高速道路高架とか大型ビルの建設は行われていたとみるべきだろう。ところが、現実には、熊本地震とかより余程低い揺れで崩壊しているというところに、素人的に見ても施工上の問題が絡んでいるのではないかということを疑うのだ。つまり、設計上は十分な余裕率を見込んでいたが、その施工が正しく行われなかったために、設計基準で得られるべき強度が欠落していたと思え、冒頭の韓国のマンション建築と同根の問題が潜んではいないかという疑いを持つのだ。

 本来、こういう問題は建築専門の学識経験者が研究すべきテーマになると思えるが、そういう論評がNet上にはない。そういうことを追求しないまま、人智不能の強度不足があったとして補強工事が国の予算も大きく費消しつつつ行われた様に思えてしまう。

 ここで話しを移すが、数年前より関西生コンという独立した単一企業の労組ではなく、生コンを扱う中庸零細企業を対象とする産業別組合が、警察、検察、裁判所から、労働組合法で許される行為であれば、そうでない場合は刑法だとか民法上の不法行為として禁じられるのを免責なされるのだが、違法だとして組合活動の弾圧を受けている事件が続いている。この事件を眺めると、どうやら根源は、セメントメーカーとかゼネコンと呼ばれる大企業の意向が大きく関与しているとしか見えない。そんな中、関西生コンの主張の中に、高度成長期70~80年代頃作られた、阪神大震災で作られた巨大コンクリート構造物の生コンに、値下げを迫るゼネコンに従う給与の策として中小零細企業の生コン業者が取った、生コンに過剰な水を加えて量を水増しする、いわゆる「シャブコン」というものが多用されてしまったということが内在している可能性が極めて濃厚にあると想像できるのだ。この生コンに加水することで、生コン量は増すが、コンクリートが乾燥して固まると水は放散してしまう訳で、このコンクリート(C)と水(W)の比は、コンクリート乾燥後の強度に大きく関わるとのことだ。


 それと、トンネル工事だとかダム工事のYoutube動画を関心を持って眺めるが、コンクリートの厚い層の打設(打ち込み)を行う場合、型締めと呼んでいる様だが、圧縮空気によるバイブレーター(振動機)を生コンクリート中に差し込んで、内部の空間(空気)を抜く作業を繰り返している。大断面のコンリート打設においては、この様な型締めに対する養生も不足していた可能性への疑念も持つ。

 最後に記すが、現在政権では、内閣の意に沿わない学者、このことは内閣は大企業の意に多大の影響を受けざるをを得ないのだから、大企業の意に沿わないと解釈してよいだろうを、政府任命から外すなど、非民主的なことをやりだしている。また、こういうことを報じるべきマスコミも、露骨な政権や大企業の報復を恐れ黙する。官僚も上位職になるほど、自らの栄達を優先し、時の権力者の意に沿うことしか考えなくなる。また、多くの勤労者も、自らの保身を最優先しつつ、自ら思考することを放棄し、権力者の意に沿うことだけを思考する。これは民主主義の本来あるべき姿ではないだろう。


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