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これは邪道のレストアパーツではないだろうか?

2021-04-18 | 車両修理関連
 最近、Net広告で気づいたことですが、人気旧車のレストア用パーツで、ある部位をFRPで製作し販売しているものがあることを知る。また、必ずしも人気旧車のレストアだけに限らず、主に車体の軽量化を目的にしているのだろうと思うが、同様にFRP製の車体後部ストラクチャ一体パーツの販売も行われている様だ。

 ただし、先に記したレストアでなく車体後部のFRP化を行ったパーツは、「競技用・公道不可」などの注釈が行われている。このことは、何を示しているのだろうか。指定工場での検査員を業としている、もしくは自動車のモノコックボデーについての見識を持つ者なら、その意味合いを理解されるところだと思う。

 つまり、車体を構成するモノコックの一部であろうとも、そこが強度部位となると、メーカーの材質など仕様を変更することは、一種の構造変更となり、それなりの強度計算などを添えての構造変更申請を行い許可を受けていない場合、正規の車検は通らないことになってしまうことを知るからだろう。だから、先に記した様に「競技用・公道不可」なる注釈を付した商品もあると云うことだろう。

 しかるに、今回見たのはトヨタS800(通称ヨタ8)用のレストア用パーツとして、フロントエンドパネル、クォーターパネル、リヤエンド(バック)パネルなどの部位が、レストア用パーツが競技用とかの注釈もなく売られていることを知ると、これでいいのかなと思わざるを得ない。

 多分持ち込み車検にしても、指定工場における完成検査にしても、検査員がこれらの構造変更に類するモノコックボデーの強度部位の材質変更が、何ら構造変更の許可も受けずに行われいることを発見すれば、そのままスルーするとは思えない。

 この意見については、必ずしも鋼板をFRPに置き換えても、強度低下が起こるとは云えず、むしろその強度は増す場合もあるという意見もあるだろう。ただし。モノコックボデーというのは、最近のドライカーボンの一体成型と異なる、多数のパネルを組み合わせ、それらを剛結させた、ラーメン構造の一種であることは知られた通りだ。つまり、単品パーツとしての強度は例え鋼板製を上廻ったとしても、モノコックボデー総体としての結合剛性を含め、場合によっては一部の剛性強化が、他部位への負担を増すという場合すらも考慮に入れる必用がありはしないかということも思う。

 また、そのパーツが元々鋼板製だが、ボルトオンパーツである場合は、モノコックボデーの一部とは云え、多くの場合、強度部位とはならない場合もあるだろうし、単体で材質をFRPに置き換えても、単体としての強度が十分であれば、さほど問題は起きない様にも思える。しかし、ボルトオンでなく、溶接によって剛結されているパーツを異種材料のパーツに置き換える場合、溶接という結合方法は不可能になり、接着とかリベットという接合方法の変更を伴うから、さらに難しい問題を生じてくる。




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