私の思いと技術的覚え書き

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違和感持つDCTのMT化

2016-06-16 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 世のAT比率は高まるばかり、日本や米国では乗用車の95%を越える(欧州では60%程と聞く)だろう。しかも、トルコンを使用せず2つのクラッチと奇数段と偶数段の2組のギヤセットも持つDCTに至っては、0-400などの加速性能も変速ロスのほとんどないDCT付きの方がMTを越える性能を発揮するという。

 燃費や回転範囲の狭いディーゼルエンジンなど、TMの多段化は世の趨勢だが、これをMTとするのは煩雑化をもたらしてしまう。今や、高性能スポーツカーですら、DCTのみしか選択できないというクルマが増えている様である。

 ところで、スズキが久方ぶりに登場させたワークスでは、当初DCTのみの設定であったが、その後6MTを追加したところ、約9割の販売利率がMTだという。やはり、単に数値ではないMTの魅力があるからなのだろうと改めて感じる。

 ところで、ポルシェもPDKというDCT機構を持つATが主流だが、このDCTのギヤ機構を流用して、MT化した7MTを発売し始めたという。7速DCTではシフトフォークが4本あり、しかもマニュアル変速には2本のシフトフォークを動かさなければならない。しかも、奇数、偶数で変速段が連続している訳ではなく、その変換機構が必用だという。これを、MeCoSa(Mechanically Converted Shifting Actuation)と呼ぶらしい。なお、クラッチは、当然ディアルである必用はなく、機械式の一組のはずだ。この記事を読み、新たなMTを設計開発量産するコストが惜しんだのだろうが、なんて愚劣なメカなんだろうというのが感じるところである。シフトフィールが良くなる要素はまったくなく、重量も大きく、軸受けが増える分だけロスも増えるだろう。ポルシェらしからぬ安易な手法でのMT化は、まるで日本メーカーの思想と変わらんものだ。

※DCT関連のことについては過去何度か触れてきたが、抵抗が大きい条件での発進時の半クラッチの違和感には、未完成商品として呆れ果てるものである。DCT付きのクルマを所有したい意欲はまったく感じない。

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