私の思いと技術的覚え書き

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エンジンオイルが増える・・・?

2016-05-13 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 エンジンオイルを点検し、減っていることを知る機会は時々あるものです。しかし、異常に減るのであれば、何処か外部へのオイル漏れてるとか、いわゆるオイル上がり(シリンダー壁のオイル掻き落とし不良)とか下がり(インテークバルブステム部からの漏れと呼ばれる故障が想像されます。但し、シリンダー内をオイル潤滑している以上、多少減る傾向にあるのは異常ではありません。それが、増えることがあるというのが今回の話です。

 これは、ディーゼルエンジンにおけるDPFの再生機能が関与していると聞きます。DPFはディーゼルの煤をトラップするフィルターですが、どうしても目詰まりを生じてきます。この目詰まりを、DPF前後のセンサーの差圧で検出し、メーターパネルにDPF再生の警告と再生操作を促す機構が取り入られています。DPFの再生機能は、ポスト噴射(排気行程での噴射)を増やし、生燃料を多量にDPFに導き、DPFの前段に装着された酸化触媒により再燃焼させ、高温(600°程度)で、DPF後段のセラミックフィルターに付着した煤を燃やし飛ばすことで行われます。このポスト噴射のすべてがマフラーへ排出されれば問題はないのですが、一部はシリンダー壁を通じてオイルパンに流れ落ちるということになります。これにより、エンジンオイルが希釈(ダイリューション)されるというのが、オイルが増える理由になるのです。

 ダイリューションによる油量増加を発見した際は、粘度が正規より低下していますし、油膜保持性能も低下していますから、エンジンオイルの交換を実施する必用があるでしょう。なお、走行条件もありますが、頻繁にDPF警告を繰り返す様な場合は、何か他の要因(例えばインジェクターの噴霧不良など)を調べてみる必用があるでしょう。

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